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6.砂塵が結ぶ縁

サラとの別れから数日後、カイルとケンはエジプトの小さな町へ向かっていた。手掛かりは、「この地域にファントム使いがいる」という漠然とした情報のみ。だが、ケンは自信を見せていた。


「共鳴がある。ファントム同士は自然と引き寄せられるんだ。」

車の中でケンが言うと、カイルは少し眉をひそめた。

「でも、それだけで本当に会えるのかな……?」


「心配するな。俺たちが動いてるのも何かの縁だ。」

ケンの言葉にカイルは小さく頷き、旅の疲れを感じながら静かに目を閉じた。


町に到着すると、二人は宿屋を探し、併設された酒場で体を休めることにした。賑やかな雰囲気の中で、彼らの視線が一人の男に向けられる。


カウンターの端に座る男――片腕がサイボーグ化されたアリ・シファがグラスを片手に軽快に話していた。


「おい、あの腕……。」

カイルが小声で呟くと、ケンが小さく頷いた。


アリは二人に気づき、陽気に笑いながら声をかけた。

「そんなにじっと見られると、俺でも恥ずかしくなるぜ。」


ケンが前に出て尋ねる。

「お前がファントム使いか?」


「まぁ、そうだな。ってことは、あんたたちもそういう口か。」

アリはグラスを置き、ゆっくりと立ち上がった。


「俺たちはカイルとケン。仲間を探してるんだ。」

カイルが自己紹介をすると、アリはにやりと笑いながら右腕を掲げた。

「俺はアリ・シファ。まぁ、気ままな旅をしてる男さ。」


「俺たちはエクリプスを止めたい。お前の力が必要だ。」

ケンが真剣な表情で語ると、アリは一瞬だけ笑みを消した。


「エクリプス、ね……まぁ、俺も少しばかり因縁がある。」

アリが口を開こうとしたその時、外から轟音が響き渡った。


「この音……!」

酒場の窓から外を見ると、エクリプスの装甲部隊が街を包囲していた。


「ファントムを引き渡せ!」

装甲服の兵士が叫びながら突入してくる。


「やれやれ、せっかくの酒が台無しだな。」

アリは軽く腕を回し、サイボーグ化された右腕を調整しながら笑った。


「仕方ない、付き合ってやるか。」

その言葉と共に、「ストーム・ブレイカー」が彼の背後に現れる。砂嵐を纏う巨大なコブラが威圧感を放ちながら咆哮を上げた。


アリの右腕に砂嵐が纏わりつき、硬化して鋭い爪のような形状を形成する。彼はそれを振るい、敵の装甲を切り裂いていく。


「おいおい、俺が全部やる気か?」

冗談混じりに笑いながら敵を蹴散らすアリ。


ケンも「ライトニング・フューリー」を召喚し、刀に雷を纏わせる。電撃が敵を貫くたびに、ケンは素早い動きで次々と部隊を切り崩した。

「こいつら、数だけは多いな!」


一方、カイルは「ヴァイオレット・スカイ」を召喚し、そのままの形で戦場に送り出す。空中を舞う巨大な鳥が翼を広げ、敵の動きを封じるように空間を歪ませる。


「俺も……やらなきゃ……!」

カイルはぎこちない動きながらも敵の攻撃を弾き返していた。


「カイル、落ち着け!」

ケンが叫び、カイルを援護しながら刀で敵を切り裂いていく。


「お前たち、いいコンビじゃねぇか!」

アリが砂の槍を生成し、遠距離から敵を狙撃しながら笑った。


エクリプスの部隊が撤退し、静けさが戻った酒場。アリは砂を纏った右腕を振り払い、軽い表情で笑った。

「いやぁ、楽しい戦いだったな。」


「で、どうする?一緒に来てくれるのか?」

ケンが尋ねると、アリはグラスを手に持ちながら答えた。

「さぁな。ま、気が向いたら付き合ってやるよ。」


「ありがとう。それでも十分だ。」

カイルが感謝を伝えると、アリは笑って肩をすくめた。


「そんじゃ、またどこかでな!」

そう言い残し、アリは酒場の奥へと消えていった。


次回予告

新たな仲間との縁を結びながら、カイルたちは次なる目的地へ向かう。その旅路で待つのは、さらなる試練と敵――。

第6話「砂塵が結ぶ縁」をお読みいただき、ありがとうございます!

今回は、ムードメーカー的存在であるアリ・シファとの出会いを描きました。彼のひょうきんで軽妙な性格と、強力な戦闘スタイルが際立つエピソードとなったのではないでしょうか。砂嵐を操る「ストーム・ブレイカー」の力と、サイボーグ化した右腕の描写には、彼の過去や独自の戦闘スタイルを詰め込むことを意識しました。


また、今回の戦いではカイルが未熟な部分を見せつつも、一歩ずつ前進しようとする姿を描きました。彼がどのようにファントムを制御していくのか、その成長がこれからの鍵となっていきます。アリとの関係がどう深まるのかも楽しみにしていただければと思います。


次回、第7話では、さらに新たな試練と仲間との関わりが描かれます。異能者たちの絆がどのように強まっていくのか、ぜひご期待ください!


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