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2.共鳴の証明

「これが俺の紋様だ。」

ケンは、シャツを持ち上げて左下腹部に浮かぶ奇妙な紋様をカイルに見せた。それは、カイルの左手の甲に浮かぶ紋様と同じように微かに光を放っていた。


「これは、ファントムの持ち主に刻まれる“力の印”だ。君の紋様と同じように、これが俺のファントム――“ライトニング・フューリー”の発現源だ。」


カイルは左手を握りしめながら戸惑いの表情を浮かべた。

「じゃあ、これが……俺のファントムと繋がってるってことか?」


ケンは深く頷き、真剣な眼差しで答える。

「そうだ。そしてお前のファントム、“ヴァイオレット・スカイ”は特別だ。俺のファントムが反応したのは、紋様同士が共鳴したからだ。」


「共鳴……?」

カイルが困惑する中、ケンは少し間を置いて話を続けた。

「お前のファントムは伝説的な存在だ。名前は古い文献に残されている。“ヴァイオレット・スカイ”――その力を持つ者が現れること自体が奇跡だってな。」


ケンの声には興奮と驚きが混じっていた。

「正直、実際に会えるとは思っていなかった。俺自身、これをすぐには信じられない。」


会話の最中、工場の外から爆発音が響いた。ケンは即座に反応し、刀を構える。

「奴らだ。追手が来た。」


黒い装甲服を着た戦闘員たちが工場内に侵入してくる。指揮官らしき男が冷たい声で命令を下す。

「“ヴァイオレット・スカイ”を確保しろ。」


ケンは刀を抜き、青白い稲妻を刀身に纏わせた。ファントム「ライトニング・フューリー」の力がその場を覆う。

「カイル、ここで待っていろ。俺が片付ける。」


ケンは瞬く間に敵の間を駆け抜け、刀に纏わせた雷撃で次々と戦闘員を打ち倒していく。


一人の戦闘員がカイルの元に迫る。

「やめろ……!」

カイルは左手を掲げるが、体がすくんで動けない。その瞬間、彼の左手の紋様が再び熱を帯び、「ヴァイオレット・スカイ」が姿を現した。


「これが……俺の力……?」

カイルの目の前で、ヴァイオレット・スカイは空間を歪め、敵の攻撃を弾き返した。その反動で戦闘員が吹き飛び、戦闘は終わりを迎えた。


戦闘が終わり、ケンがカイルの元に戻ろうとしたその時、銀髪の女性が工場の影から姿を現した。


「思った通り。君たち、なかなか面白い組み合わせね。」

シエラ・ヴァンダークは妖艶な微笑みを浮かべながら歩み寄る。その余裕ある態度に、ケンは即座に刀を構えた。


「シエラ……! 何のつもりだ?」

「ただ様子を見に来ただけよ。そんなに怖い顔しないで。」

彼女はカイルを一瞥し、楽しそうに続けた。

「ヴァイオレット・スカイが目覚めたなんて、本当に驚きだわ。これから先が楽しみね。」


「ふざけるな。お前は何を企んでる?」

ケンが問い詰めても、シエラは答えず微笑んだまま背を向けた。

「安心して。今は何もしないわ。ただし――君たちの力がどれほどのものか、しっかり見せてもらうつもりよ。」


そう言い残して、シエラは静かに廃工場を後にする。ケンは刀を下ろさず、その背中を睨み続けていた。


ケンはカイルに、自分たちの仲間が集まる「隠れ家」への同行を提案する。

「そこには、お前と同じような力を持つ仲間がいる。お前一人じゃできないことも、仲間となら乗り越えられる。」


カイルは迷ったが、ケンの言葉を信じて立ち上がった。

「分かった……俺に何ができるか分からないけど、とりあえず行ってみるよ。」


こうして、カイルは運命を受け入れ、異能者としての一歩を踏み出した。彼を待つ仲間たちとの出会い、そしてさらなる試練――その幕が開かれる。

第2話 あとがき


第2話「共鳴の証明」をお読みいただき、ありがとうございます!

今回はカイルのファントム「ヴァイオレット・スカイ」の力が覚醒し、初めての戦闘を経験する中で、ケンとの出会いや隠れ家への導きが描かれました。そして、謎の人物シエラの登場によって、物語にさらなる緊張感と深みが加わったかと思います。


「共鳴」という新たな要素を通じて、カイルとケン、そして彼らを取り巻く仲間たちの絆がどのように強まっていくのかを楽しみにしていただければ幸いです。また、シエラが放った「これからが楽しみね」という言葉が何を意味するのか――それも今後の物語で徐々に明らかになります。


次回は隠れ家での新たな出会いや、カイルが異能者としての第一歩を踏み出す姿が描かれます。仲間を集めるための旅がいよいよ始まりますので、ぜひ引き続きお楽しみください!


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