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18.揺れる均衡

夜明け前、カイルたちが次の目的地への準備を進めていると、通信装置からエイデンの声が響いた。


「皆、昨晩の戦闘の詳細を教えてくれ。」


カイルが前に出て答えた。

「霧の中から現れた巨大な機械兵器を倒した。それがエクリプスの仕業であることは間違いない。」


エイデンは少し間を置き、低い声で答えた。

「それは『グラディス』だろう。」


「グラディス……?」

ケンが眉をひそめて聞き返すと、エイデンが説明を続けた。


「エクリプスが開発した機械兵器だ。ファントムの力を封じ込めて駆動させる技術が使われている。」


「ファントムを兵器に……?」

カイルが驚きの声を上げる。


「グラディスはエクリプスの象徴とも言える兵器だ。試作機だった頃は完成度が低かったが、今は量産が可能なほどに改良されている。」


「量産型もいるのか?」

ミゲルが冷静に問いかける。


「ああ。『スレイヴ』という小型の量産型が配備されている。動きは鈍いが数で圧倒する戦術を取る。」


「どこまでも姑息なやり方だな。」

ケンが険しい表情で吐き捨てると、エイデンが言葉を続けた。

「気をつけろ。グラディスの本体はただの機械ではない。ファントムが内部で制御されている限り、予想以上の力を発揮する可能性がある。」


通信が切れた後、カイルたちは険しい山道を歩きながら、次の行動を話し合っていた。


「ファントムを兵器にするなんて、そんなことが許されるのか……?」

カイルが困惑した表情で呟く。


「エクリプスには倫理なんてものはない。」

ケンが冷静に言い放つ。

「奴らにとってファントムも異能者もただの道具だ。」


「でも、封じ込められたファントムが苦しんでいるなんて……考えたくない。」

カイルはナイフを握りしめ、悔しげに言った。


「焦るな、カイル。感情に流されては、奴らの思う壺だ。」

ミゲルが穏やかに話しかける。

「我々がするべきことは、ファントムを解放し、エクリプスの計画を止めることだ。」


「なら、そのスレイヴとやらを片付けながら進めばいい。」

アリが右腕を軽く叩きながら言った。

「道中の邪魔者は俺たちが処理する。」


カイルは仲間たちの言葉に頷きながら、自分にできることを探そうとしていた。


鬱蒼とした森を進んでいると、不気味な金属音が響き渡った。空を覆うほどの数の小型兵器スレイヴが、森の上空に現れた。


「来たな!」

ケンが刀を抜き放つ。


「こいつら……数が多すぎる!」

カイルが驚きの声を上げる中、スレイヴたちは一斉に突進を始めた。


「こっちは数じゃねぇ。質で勝負だ!」

アリが砂を操り、槍を作り出して迎撃する。


ミゲルが杖を振り、足場を整えながら言った。

「まずは数を減らす。集中して動きを封じるんだ。」


カイルは盾を構え、突進してくるスレイヴを防ぎながら仲間たちの援護を行った。


スレイヴの数を減らし終えると、霧の中から巨大な影が姿を現した。それはグラディス本体だった。黒い外装に鋭い刃が複数突き出し、重厚な歩みでカイルたちに迫ってくる。


「また厄介な奴が来たな。」

アリが警戒を強める。


「動きは鈍いが、一撃が重そうだ。」

ケンが刀を構え、冷静に分析する。


グラディスは咆哮のような音を響かせ、全身の武器を解放して攻撃を開始した。


カイルたちはそれぞれの力を駆使しながらグラディスに挑む。ケンが刀で装甲を削り、アリが砂の防壁を作りながら攻撃を仕掛ける。


「ミゲル、弱点はどこだ!」

カイルが叫ぶと、ミゲルが杖を突き立てながら指示を出した。

「胸部のコアが制御装置だ。そこを狙え!」


カイルは盾にファントムの力を纏わせ、突進してグラディスの攻撃を受け止める。その隙にケンとアリが連携し、胸部のコアを破壊することに成功した。


グラディスが倒れ、森に静寂が戻った。


「これで少しは前進できたな。」

アリが砂を払いながら笑った。


「だが、エクリプスはさらに新たな手を繰り出してくるだろう。」

ケンが険しい表情で言う。


「それでも進むしかない。」

カイルはナイフを握りしめ、決意を込めて前を向いた。


次回予告

グラディスを退けたカイルたちだが、次なる脅威が迫っていた。物語はさらに緊張感を増していく――。

第18話「揺れる均衡」をお読みいただき、ありがとうございます!

今回、再び登場したグラディスと量産型スレイヴが、エクリプスの脅威を改めて感じさせる展開となりました。エイデンの通信で明かされた機械兵器の背景は、物語の核心に迫る重要な要素です。


カイルたちが連携を深めながら戦いに挑む姿は、少しずつチームとしての成長を見せています。今後の試練と新たな謎が、彼らをどのように成長させるのか――ぜひ次回もお楽しみに!


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