裏切り者の忍者
勝浦兄弟は桜からの提案に少し驚いてしまう。
麗子「怪異を生み出す・・・元凶?」
慎二「そんなものいるのか?」
桜「はい・・・。その男は私達と一緒の忍者の里出身のもので・・・。」
桜「その者は触れてはならぬ禁忌に触れ、あちこちで悪行を
行っていました。」
桜「彼は悪行を続けに続け力を増していき、
誰も太刀打ちできない状態にまでになってしまったんです。」
桜「その男の名は・・・。慚愧。」
慎二「聞いたこともない名だな。それ本名なのか?」
桜「いいえ、この名前は我々忍者の中での名前です。もう一つの名は
海翔啓之輔と呼びます。」
麗子「その男が怪異の存在を生み出してると?そんな話聞いたことないよ。」
桜「えぇ・・・そうでしょうね。でも、私は実際に江戸の時に彼と対峙
したことあります。」
桜「すぐには信じてもらえないでしょうが、どうかあなた達の
お力をおかしください。」
桜は二人に頭を下げて頼み込む。
麗子「ど、どうする?お兄ちゃん・・・。」
慎二「困ったなぁ・・・。」
少し考えた後結論を出す。
慎二「わかった・・・とりあえずその慚愧っていう男を探せば良いんだな?」
麗子「え?お兄ちゃん協力するの?」
慎二「まぁね。一応組織の連中にもこの情報は伝えておかないとね。」
麗子「まぁ・・・確かに、彼女の話が本当なら相当有益な情報だし。」
すると桜は二人の素性を聞き出す。
桜「あの・・・先ほどの怪異との戦いで武器を取り出してましたが、
お二人はただの兄弟・・・ではないみたいですけど。」
麗子「あぁ、そうか話してなかったっけ。」
麗子「私達はね。この世界にはびこる怪異を唯一討伐できる超能力を持った
人間なんだよ。」
桜「ちょう・・・のう・・・りょく?」
慎二「まぁ簡単に言えば通常とは別の力を持った存在ってことだ。」
慎二「俺達二人は武器を自由自在に取り出して、戦うことができる。」
慎二「俺達の能力は近接戦闘が主だけど、中には長距離を専門とする者もいる。」
慎二「まぁ、こればかりは実際に見てもらったほうが早いけど・・・。」
麗子「まぁ、その傷じゃあ、しばらくは無理そうだね。」
桜「うぅ・・・面目ない・・・。」
その後、数日間桜の看病をしつつ、桜の行っていた事を組織に報告していた。
~怪異討伐専門組織(MARS)~
組織での報告会では慎二、麗子兄弟の他に各部門で最高能力者が結集する。
慎二「というわけだ。報告は以上。」
・上野原京作「おいおい、その話、信用できるのか?」
【上野原京作:炎を自由自在に操ることのできる超能力者。】
・猪狩佐堂「江戸時代からタイムスリップ?にわかには信じがたいね。」
【猪狩佐堂:氷を自由自在に操ることのできる超能力者。】
・石宮綺咲「でも、今まで怪異の発生原因の可能性として大きいんじゃない?」
【石宮綺咲:水を自由自在に操ることのできる超能力者。】
・荒木九次郎「その慚愧という男を倒せば、この怪異事件も終わると・・・。」
【荒木九次郎:岩を自由自在に操れる超能力者】
慎二「俺も協力するとはいったものの、まだ半信半疑だ。」
慎二「だが、彼女の情報はかなり細かく内容が刻まれている他、俺達が普段討伐している
怪異にも身に覚えがあるというのは信憑性が高まる。」
綺咲「でも、名前がわかっても肝心の男の場所がわからないんじゃあね。」
慎二「それについてなんだが、その男からは特殊な雰囲気が漏れ出ているという
事だけはわかってる。」
京作「はぁ、これじゃあ進捗は変わらねぇな。」
佐堂「ちょっと、今まで何もわからなかった時に比べたら大躍進でしょ?」
慎二「まぁ、情報に関してはこれ以上のことはない。他になにか質問は?」
九次郎「その桜っていう子自体、その元凶や怪異とやり合った実力があるのなら、
ここの組織に引き入れても良いかもしれない。」
九次郎「少なくとも超能力を使える人は数に限りがある。」
九次郎「少しでも実践経験を持っているのならそれはかなり心強いと思うのだが?」
慎二「まぁ、彼女の怪我の具合からみて復帰できるのは少なくとも、
半年後にはなるかもな。」
慎二「他にないのなら報告は以上とする。」
報告会が終わり慎二は帰宅の途につく。すると麗子が桜になにか着せていた。
~自宅~
慎二「お前、何着せてんの?」
麗子「何って、これセーラー服!桜さんに似合うと思ってね。」
桜「えっと・・・これは・・・少しひらひらし過ぎなのでは?」
慎二は何も言わずにぐっとする。
慎二「(わが妹よ、よくやった。)」
麗子「(ふっ。どんなもんよ。)」
桜「あのっ・・・これを着せてどうする気なのですか?」
麗子「決まってるでしょ?桜さん、この時代の事何も知らないみたいだから、
勉強しに行くの。」
麗子「つまり・・・学校へ行ってもらいます!」
桜「が・・・学校!?」
~そして月日が過ぎて、学校前~
桜「ここが・・・この世界の学び舎・・・。」
麗子「この学校は超能力を使える人が多く居て、多くが私達と同じ組織に入るんだ。」
麗子「いわゆる育成学校だね。」
慎二「だが、突然入学手続きして良かったのか?」
麗子「あぁ、それなんだけど、私達の名を使ったら余裕だったよ。」
慎二「それはそれで困るんだが・・・。」
桜「わ、私が行って大丈夫なのでしょうか・・・。」
麗子「まぁ、大丈夫でしょ。」
慎二「軽いな・・・お前・・・。」
麗子「あ、そうだ。君のことは一応組織のボスにも話をしてるから、
一応学校に行きつつ、組織にも顔を出すって感じになるかな。」
麗子「まぁ、今の身体じゃあ思いっきりの戦闘はできないけど。」
桜は覚悟を決めて、学校へと向かっていった。
~都立三河高校、1-B~
教室内では生徒達が賑やかに過ごしていた。
???「やっほー。茜っち。」
新城茜「なにか用?西川さん。」
西川照「聞いた?私達のクラスに転校生がやってくるって。」
茜「あぁ、もしかして、今朝学校の門の前に居た女の子かな?」
照「多分そうなんじゃないかな。どんな子なんだろうね。」
すると先生が教室に入ってきた。生徒達は自分達の席に座る。
先生「はいはーい。みんなー静かにー。」
先生「早速だが君達に転校生を紹介する。入ってきなさい。」
桜が入ってくると、教室内はざわつき始める。
男子生徒達「おぉ・・・。かわいい・・・。」
女子生徒達「小柄で、肌綺麗ー・・・。」
先生「では、自己紹介を。」
桜「あ、はい・・・。」
桜は自分の名前を黒板に描き始める。すると達筆な文字にみんな驚く。
照「うわぁ、あんな風に文字書くんだ・・・。」
桜「せ・・・わ、私の名前は・・・日ノ山桜です。よ、よろしくお願いします!」
教室内からは大きな拍手で迎えられた。
先生「じゃあ、桜の席はあそこ。茜さんの隣に座ってくれるか?」
桜「あ、はい。」
桜は指定された席に着席する。
桜「隣・・・失礼する・・・。」
茜「なにそれ・・・。これからよろしく。」
桜「あ・・・はい、こちらこそ・・・。」
先生「それじゃあ、本日の授業初めて行くぞー。」
こうして、日ノ山桜は現代日本で初となる学校生活を始めだしたのだった。
一方・・・。とある場所では・・・。
慚愧「また怪異がやられたか・・・。」
慚愧「まぁ良いさ・・・。すでに奴らでは対処できないような戦力を、私は確立した・・・。」
慚愧「お前達は私が生み出した怪異の中でも最強に匹敵する力を得た。」
慚愧「さぁ、お前達の力を、存分に開放してくるが良い・・・。」
慚愧の命令で数体の怪異が一斉に飛んでいった。
慚愧「ふふふ・・・ふーっハッハッハッハッ!」
慚愧は不気味に高笑いを掲げる。