Episode2 Dark Land
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とあるところに、「Light land」という国がありました。しかし、ある時そこに1人の男が紛れ込みました。彼はLight landの軍隊に侵入し、内部でその軍隊を破壊していきました。その事実を知った王様は、その男を追い出しました。しかし、その男は激しく怒り狂い、やがて「魔王」となり、「悪魔」を産み出し、「Dark land」を作り出しました。そして、それを知った王様は直々に魔王を光の魔法で倒しに行きました。しかし、魔王は最後の最後で力を振り絞り、自分の怨念をかき集めた真なる「魔王」を作り上げました。そして、それにより「悪魔」はさらに力を増し、「Light land」に攻め込もうとしているという……
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「んで、これがどうかしたの?」
ドリンクバー3杯目のココアを飲みミニパフェを食べている俺は、20杯目となるサイダーを飲んでいる蓮に話しかけた。
「えーっと。ここからが重要で。『Light land』をこの国『Charon』に置き換えてるんじゃないかって思ったんです。」
なるほど。馬鹿げた話だ。しかし、『魔王』と『悪魔』がいる以上、これが事実でないとは言い切れない。実際、その国であった出来事を分かりやすいようにおとぎ話にしたなんて話はある。しかし、これだけでは根拠が弱い。普通なら突っぱねてるのだが━━
「……」
目の前にいるのは、その「魔王」から生まれた存在なのだ。無論、そんな根拠はなく、それこそ馬鹿げた話なのだが、実際さっきはテレパシーかなんかの力で俺に映像を見せていたし、今までに戦った未知の生物。もし王様がいうとおりそれが『悪魔』なのだとしたら、その悪魔もなにかを創造する魔法を使っていたし、痛みを『情報』として与えてくる悪魔もいた。もちろん、そんなのただの偶然だと言えば簡単に崩れる。しかし、この話をすべて信じれば辻褄は合うのだ。少なくとも俺は、これが積み石がギリギリのバランスで城を作っているようには到底思えなかった。
「分かった。信じよう」
「ありがとうございます!私は『魔王城』の場所もわかります。これを食べ終わったら早速準備をして行きましょう!」
そう言った蓮の手には、いつの間に頼んだのかステーキの刺さったフォークが握られていた。
お会計の時に提示された金額は5000EPだった。ワイン1杯100EP、スープバーとサラダとライスがつくランチ500EPの店でこんなに払うとは……申し訳なさそうな目をする蓮を見ながら、支払った。
さて、腹ごしらえも済んだし、そろそろ出発するか。
「ねぇ、蓮、魔王城ってどこにあるの━━」
そう言った時、蓮が急に倒れかかってきた。
「え、大丈b━━」
そこでチラッと目をやると、蓮は気持ちよさそうに眠っていた。
(人騒がせだな……)
まぁ、無理もないだろう。いったいいつからここを目指していたのかわからないが、ここまでやってきて王様と話して無事に終わって、お腹いっぱいご飯をたべたら誰だって眠くなる。
「ごめん、お母さん。ちょっと今日も泊まらせてもらうわ」
そう言って、蓮を抱き抱えた。蓮は、人間とは思えないほど軽く、冷たく、でも少し暖かかった。これが、魔王から生まれた存在ということなのか。いや、とにかく早く帰ろう。そうやって、ゆっくりと、それでいて早く俺は家に帰った。
EPとは通貨の単位です。円と同じような価値だと考えて良いでしょう。ちなみに、蒼は「poypoy」という電子マネーアプリで支払ったそうです。
ちなみに、蓮と蒼の行ったお店は「サイセリア」というファミレスです。
来週の17時に短い閑話を出します。その後、18時にEpisode3を投稿します。