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『高慢と偏見』はどういう話なのか①ベネット家の五人姉妹

 主人公エリザベスはベネット家の次女。

 なかなか年齢を言わないのですが、作中後半あたりで20歳なのかな?という感じのお年頃です。


 ベネット家は、皮肉屋の父、めちゃくちゃ頭が悪い母(思考がイケメンと結婚すれば大勝利!というお花畑ヒドイン系で、言いたいことをとにかく垂れ流し、相手がどう思うかまったく考えないタイプ)、5人姉妹という構成。

 父は地所を相続人を男子に限定する「限定相続」で相続しており、父が亡くなったら、父からは甥、エリザベスからは父方の従兄弟のコリンズが相続することが確定済み。

 先に父が亡くなれば、母+五人姉妹は放り出されるので、なにがなんでも結婚しないとヤバい…という状況です。


 ちなみに、同じ牧師でも、オースティン家より資産状況がよろしくなかったっぽいブロンテ家の姉妹達は、寄宿学校に入ったり短期留学した上で、住み込みの家庭教師や寄宿学校の教師として働いています。

 ていうか、『ジェーン・エア』は住み込みの家庭教師の話ですしね。

 ほんとうに放り出されることになったら、そうやって働くことになったのかなぁと思いますが、エリザベス達がそういう職につけたかどうかは謎…


 というわけで、エリザベスを中心に、五人姉妹のあれやこれやが岩波文庫版では上下二巻で延々描かれるので、まずは姉妹紹介から。


=ベネット家の五人姉妹=


長女:ジェーン

 誰がどう見ても美人。

 人の行動をとにかく善意に解釈しようとするお人好しな面も。

 作中後半で22歳だか23歳だったはず…(どっかに書いてあったはずだけど、見つからない…付箋つけときゃよかった…)


次女:エリザベス

 誰がどう見ても美人…ではないけれど、快活で魅力的な女性。

 姉と違い、ツッコミ型の性格で、ぱっきり物を言うタイプ。

 作中中盤で21歳ではないと言うところがあるので、たぶん20歳か22歳。


三女:メアリ

 姉妹唯一の不美人(と、はっきり書いてある…)。

 ならば知力で勝負や!と本を読んで抜き書きをしたり、ピアノの練習に励んでたりするのですが、楽しい集まりの席で小難しい曲を弾きまくるとか、空気読めない系。

 あと、言うことがいちいちペラい。

 私、この世界に転生したら絶対メアリ枠だよと…と共感性羞恥にのたうっておりましたが、ほかの姉妹が家を出て、比べられることが少なくなったからか、落ち着いてきたと終盤にあって、良かったね…ってなりました。


四女:キャサリン

 美人。

 パリピのリディアに引っ張られがち。


五女:リディア

 16歳。姉妹の中で一番背が高い。

 イケメン大好きパリピ性格で、なにかにつけて近所の駐屯所に行って士官達ときゃっきゃうふふしようとする。

 ほんとに頭が空っぽで、母親そっくり。

 ちなみに、ベネット父が、家格で劣り、明らかに頭が悪い母となんで結婚したかというと、若い頃は美人だったから…という身も蓋もない記述が下巻にありました。

 >>戦犯、ベネット父!!<<


 ちなみにこの五人、学校などには行っていない&家庭教師もつけていなかったようです。

 この階級の男子は大学まで行くものみたいですが、女子は家庭教育中心のよう。

 それにしても、ほぼ年子の5人姉妹に読み書きを教えるとなると、相当な負担なので、乳母的な人が初等教育に相当するようなことはしてたの??

 詳しい説明がないのでよーわからんですが、各種習い事の先生はつけてもらったとエリザベスは言っている一方、もうちょいお金があったら、ロンドンの私立学校に行ったんだけどみたいな話も出てきます。

 執事がいたり、メイドの統括みたいなことをしてるっぽい女性がいたりもするのですが、馬車は一台みたいだし、ジェントリ(郷紳)階級ではあるけれど、そこまで豊かではないという感じっぽい。


 この頃のイギリスの場合、不労所得者=圧倒的にエラいという価値観で、商売でがっつり儲けたら土地買って地主になり、地代で食っていく不労所得者になるというのが王道だったようです。

 詳しくは「ジェントリ」「ジェントルマン」あたりでググっていただけますと、よろしいかと。

 ベネット夫人の弟は商売人でロンドンで暮らして、エリザベスは叔父夫婦が大好きなんですが、ベネット家よりお金あるっぽいものの、どうもなにかにつけて下に見られてますしね…

 他にも、ベネット家の近所には、商売で成功して市長になり、ナイトの勲章を貰って「サー」で呼ばれるようになったので、商売は畳んで地主になった人も出てきます。


 で、働かずになにをしているかというと、男性なら書斎でぐだぐだしたり(ベネット氏は書斎にわりと立てこもってます)、釣りをしたり。

 娘たちは近所の友達や親戚を訪問したり。

 下のリディアとかは、とにかく素敵な士官と出会おうと必死ですが。

 たまに似たような規模の田舎地主同士、夕食会とか舞踏会をなんとなくの持ち回りで開いたりして、わちゃわちゃやっている感じ。

 村には小作農や、いろんな労働階級の人もいるはずなんですが、ほぼほぼ出てきません。


 そんな感じの狭いっちゃ狭い世界に、ベネット家の倍以上の年収を持つ独身の好青年ビングリー、ビングリーの友達でさらに大金持ちのダーシーがやってきて大騒動勃発なのです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] >ベネット父が、家格で劣り、明らかに頭が悪い母となんで結婚したかというと、若い頃は美人だったから…という身も蓋もない記述が下巻にありました。 あったあった! だから、妻の愚かさを見つける…
[一言] 「働いたら負け」を地で行く世界ですものね。 何だったか忘れましたが、社交界に入れる人たちの区分みたいなので、商人は駄目となっていたのを見たことがあります。デビュタントだっけ? ヴィクトリア女…
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