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17節「3.5節 温泉旅行」

17節「3.5節 温泉旅行」





※ギャグがメインの節になってます。

優しい目で見て下さい。





ロスト事件から気を紛らわす為に、為心、リタ、ちゃま、ちくびの4人は温泉旅行に来ていた。

入浴までの時間を待つ間は泊まる和室部屋で座敷のテーブルを囲い各々暇を潰していた。

その中で、為心がアイテムボックスの整理をしながら言葉を口にする。


「ゲームなのになんで温泉とかあるんだろうね」


その言葉にちくびも同感の意を口にした。


「確かに…なんでなんだろうね?」


それに対して、装備の整理をしながらちゃまが答える。


「噂で聞いた事あるけど、特別なバフが付くって話だよ。 あとは……幽霊も出るって噂もあるよ?」


「幽霊!? ゲームなのに幽霊でるの!?」


「まぁ、見間違いだと思うけどね」


そう言いながらちゃまは装備のメンテナンスを終え、今度はアイテムボックスを整理しながら言葉を続けた。


「それと、鬼説ここはグラフィックに自信があるからなのか知らないけど、写真機能あるでしょ? それを使ってキャラヌードとか撮ってるって話し。 お風呂入らないと水着になれないらしいからね」


「……。」


「……。」


為心とちくびはちゃまを変な目で見ていた。

その変な視線にちゃまも気づく。


「私はちがうからねっ!? どちらかと言えば女キャラ使ってる2人の方が怪しいじゃないの!?」


何故かあせるちゃまに為心は疑問を投げた。


「そういえば写真機能使った事ないけど、ちゃまはあるの?」


「う…うん…バトル最中とか……綺麗な景色とか…?」


「へぇ……そうなんだ……」


為心はそう口にしつつ、ちゃまが座る横まで来て屈み、無邪気な笑顔で言葉を口にした。


「見せて!」


その言葉にちゃまは顔を赤く染めて拒絶する。


「絶対に嫌っ!!」


断られた為心はふてくされた顔をして言う。


「ちぇっ! ケチっ!」


そこにちくびが割って入ってきた。


「じゃぁ! せっかくだからみんなで写真撮ろうよ!」


その提案に為心も賛成した。


「お! いいね! でもお風呂で? 女湯と男湯で別れてるんじゃない?」


為心に対し、リタが冷静に言う。


「為心はその様相と中身でどっちに入る気なの?」


為心は自分の様相を再確認しながら気付く。


「………あっ! 中身男で外見は女だけど!! どっちに入れるんだ!?」


リタはわかってて為心のおバカな反応に笑いを堪えるので必死だった。

そこでちゃまが笑って為心に教えてあげる。


「普通に考えて? 混浴だよ!」


「あら、そうなの? じゃぁみんなで写真撮れるね!」


その時、為心は時間を確認する。


「よし! 時間だし、みんな行こうっ!」


全員が脱衣所に移動したところで為心が口を開いた。


「これどうやって着替えるの? 水着アイテムなんて持ってないけど?」


ちゃまが教えてくれる。


「ここに来れば特別に着替えボックスの水着がアンロックされてるんだよ!」


「おおっ! なるほど!」


早速、為心はステータス画面を開き、着替えボックスから水着を着るコマンドを使用し、水着姿に変わった。


「おお! 凄いっ!! でも……な、なんか恥ずかしくなるな。 女性の水着って下着と何が違うんだろう……」


水着はランダムに選ばれる為、為心は黒地にグリーンのデザインが入った大人の女性をイメージした水着だった。


「今更ながら胸を大きく設定しすぎたかな?」


「それ! 私も思ってた! そんなに大きくする必要あったの?」


ちゃまが為心のキャラクター設定の様相を見て疑問を投げかけていた。


「ん……職業柄だけど、顔とメイクは楽しんで設定したんだけど、如何いかんせん体の方はわからないからランダム設定にしたんだけどね。 なんでこうなったんだろう?」


そこでリタが横目で見ている事に気づいた為心は。


「…………揉むか?」


「揉まねぇわっ!!!!!!」


リタは顔を真っ赤にし、全力で拒絶した。

そこでちゃまが話を戻す。


「バカな事言ってないの! なるほどね。 その様相はあなたの趣味じゃないのね」


「そういうちゃまは?」


そう言って為心はちゃまを見た。


「あんまりジロジロ見ないでよ……恥ずかしいじゃない」


ちゃまはスタンードな白のビキニに短いスカート型のフリルが付いた水着で腕を体にクロスさせ、恥ずかしそうにしていた。


「かわいいっ! めっちゃ似合ってるじゃん!」


「え? 本当? あ、ありがとう」


ちゃまは顔を赤く染めた。

そこでちくびが割って入ってくる。


「やっぱりこの鬼説ゲームわかってる! これを見ろっ!!」


騒がしいちくびに言われるがまま2人はちくびの水着を見た。


「少女! そして金髪ツインテール! 更に! 水着と言えばこれだっ!! スクール水着っ!!」


「…。」


為心、ちゃま、そしてリタまでもが目を点にし、言葉をかけられなかった。


「なんだよっ! その反応は!」


「いや……その、スクール水着の良さが良く分からなくて……」


為心に続けてちゃまが答える。


「そういうのって何がいいの? もはや犯罪だよ?」


更にリタが答えた。


「テッパンなのはわかるけど、その美学は僕もわからない」


みんなの感想にちくびはふてくされる。


「なんだよ! みんなして! 俺を変な奴にするな!」


そこでリタと目が合い、ちくびは言葉をかける。


「………揉むか?」


「もっと揉まねぇわっ!!!!!!」


そこで為心とちくびがちゃまを見て「次は君の番の流れだよ」と目で訴えた。


「やめろ!! そのくだりっ!!」


その時、為心はリタがまだ着替えていないことに気づく。


「あれ?リタ着替えてないじゃん! 早くしなよぉ!」


「今からだよ。 何を期待してんだ」


「だって、レディースの水着でこれだけ盛り上がってるんだよ? メンズの水着も気になるじゃん!」


「いや、所詮しょせんランダムだから!」


「わからないよぉ? ブーメランタイプとかもありえるから!」


為心は嫌らしい笑みを浮かべた。


「うっ!? ブーメランはきついな……」


リタはメンズの水着には変なのは無く、スタンードのみとどっかで勝手に思っていた為に、為心の言葉にあせりを感じ始めた。


「頼むっ!」


リタは水着の着替えコマンドを神にすがる気持ちで押した。


「お!?」


そして、自分の水着を確認した。


「よかったぁ……」


リタは普通の黒のハーフパンツなのを見て心から安堵した。


「なんだ…つまらないの」


為心は恥ずかしがるリタを見れず、少し残念そうにしていた。


「よしっ! 温泉へ早速行くぞっ!!」


為心が脱衣所から露天温泉へ繋がる扉を勢いよく開けた。


「ん? 誰かいるぞ?」


為心は温泉から立つ湯気の中、人影を見た。

その発言にリタが言った。


「そりゃぁいるだろ。 ここオープンワールドだよ?」


「あ! そっか!」


そんな会話をしていた時だった。

人影が為心達に向かって話しかけた。


「なんじゃ。 主らも来とったか」


「ん!? この声!?」


「この喋り方は!?」


湯気が晴れ、人影の正体は面積の狭い真っ赤なビキニを着けた会長だった。


「会長っ!? 何してんの!?」


為心が驚き、会長に聞く。


「ワシがここに居たらおかしいか?」


「いや、ごめん! お、おかしくないけど……でもけど……」


もっともな会長の発言に為心は「確かに」と思った。

そして、リタも会長に聞く。


「てか……会長その水着……やばくね?」


会長は自分の着る水着を再確認しながらリタに答えた。


「………揉むか?」


「揉まねぇわっっっ!!!!!! それ流行ってんのかよっ!」


「なんじゃ。 てっきりワシの魅力に欲情してるのかと思ったのじゃが……違ったかのう」


「してねぇわっ!!」


「チっ……目の付け所のわからん奴め」


「いや! そこ僕が悪いのっ!? あなた中身38歳の男ですよねっ!?」


その時、後ろからちゃまとちくびも会長に気付き、声をかける。


「あ! 会長だ!」


ちくびが会長を見て言葉を発したその瞬間だった。

会長は為心達の目の前から凄まじいスピードで消えて気づけばちくびの手を握り感極まっていた。


「おおおおおお!!!! な、なんじゃっ!!!! この完璧な姿はっ!?!?!!!」


その会長の感情にちくびも喜びを感じていた。


「おお! わかってくれますかっ!? この完璧な美学をっ!? さすが会長ですねっ!? さっきまではまるで変態扱いされ……」


ちくびの美学に対する会話が続く中、会長とちくび意外の為心、ちゃま、リタの3人は目を点にして思った。


『…あぁ…コイツもそっち側か…』


その時。


「皆さんどうも……この間はお疲れ様でした」


そこへ、オレンジの髪色に胸にはフリル、下から水玉模様のハイレグが覗く水着を着たナリムが現れた。


「やだぁ! ナリムさんかわいいっ!!!」


ちゃまが目を輝かせてナリムに近寄り、それを見ていた為心とリタが思った。


『お前もそっち側の素質十分にあるんじゃね?』


そこで為心が言葉を口にした。


「ナリムがいるって事はもしかして…」


ナリムの後ろで立っていた湯気が晴れ、黒髪の男性、ノーネームが現れた。


「っ!? …………ぶっ……ぶぶっ…………」


そのノーネームの姿に為心とリタは笑いを堪えるのに必死だった。


「なんだ……何がおかしい」


為心とリタの目の前には、肩からショルダーの様に伸びた究極のV字をした豹柄ひょうがら模様のブーメランの水着に何故か赤い蝶ネクタイを着たノーネームがそこには居た。


「え?! やだぁ……ノーネームさん………素敵っ!」


ノーネームの変態のような水着を見てちゃまが興奮していた。


「ん? 君はこの良さがわかるのか?」


「はいっ!」


その会話を横目にリタと為心は思った。


『ここ……変態しかいねぇのかよ』


為心とリタの表情はモアイ像に似たしぶい絶望的な顔になっていた。

しかし少なからず、為心もリタも変態要素は無いわけではない。

中身が男性で、外見を女にしてしまう辺りは変態と呼ぶことが可能だろう。

リタでさえ、表向きに出てはいないが、空気を読む事は敢えてせず、周りとの協調性が欠けているのもある意味変態的と言えよう。


しかし。


そんなリタと為心がかすむ程に度を超えた変態達が存在する事が鬼説なのだ。

その事実に少なからず、劣等感や、恥じらいなどを感じてしまった2人もまた少なからず変態である。

2人の顔はモアイ像によく似た渋い顔を抑える事が出来ないまま、為心がリタを呼んだ。


「なぁ……リタ……」


「なんだ……為心……」


「なんだろう……この仲間外れみたいな感じ」


「俺もそう思ってたところ……割と今まで自分はぶっ飛んでると思って生きて来たのに……」


「わかる……あたしら……霞んでるよな」


「うん……劣等感が……絶え間ないよ……」


「なぁ……リタ……」


「なんだ……為心……」


「…………揉むか? いや、もう揉んでくれ……」


「………この劣等感に耐えられなくなったその時は……お願いしようかな……」


「……うん……頼むわ……」


周りの度を超えた変態達の楽しそうな会話についていく事が出来ず、なんとか変態でありたいとする2人は小さな変態で劣等感をまぎらわそうと必死だった。


その後、全員は温泉に入り、各々会話に花を咲かせ、そして会長が為心に言葉をかける。


「為心よ。 何故ここにいるか聞いたな?」


「聞いたけども……」


「実はのう。 この温泉で隠しイベントが、あると噂を聞いたのじゃ」


「隠しイベント?」


「そうじゃ」


「どんなイベントなの?」


「ワシにもわからん。 だから来てみたってところかのう」


「ノーネームさん達もそれ目当て?」


為心がノーネームに話しかけた。


「まぁ、そんなところだ。 もしかしたら違う奴が絡んでる可能性があったからな。 それも含め調べるためにな」


「ちがう奴?」


「いつか話す機会はくるだろう。 しかし今ではないな」


「そっか」


「…け…て…」


「ん? 誰かなんか言った?」


為心は何かを耳にし、それにちくびが答える。


「今は誰も何も言ってなかったと思うけど、どうしたの?」


「いや……何か聞こえた気がしたんだよね」


「それって最初に言ってた幽霊じゃない?」


「だからゲームに幽霊っておかしいでしょ!」


「…け…て……」


「っ!? 俺にも聞こえたっ!?」


ちくびも何かを耳にし、その状況を見ていた会長が言葉を口にした。


「もしや始まったか!」


「…助けて……」


今度は全員が謎の声を耳にし、そこでリタが言葉を口にする。


「幽霊の噂って……もしかてこの隠しイベントのことなんじゃ…」


その瞬間だった。

為心が温泉の中で何かに足を掴まれ、急に引きずり込まれた。


「うわっ!?」


為心が急に消え、少し離れた温泉の中心から黒の髪で全身に動かないように縛り上げられ、逆さまになった為心が現れた。

気づけば辺り一帯に淡く青色に発光する髪の長い女性達が数多く現れる。


「お決まりの羞恥プレイなのはわかるけど!! やる相手を間違えてるってぇえ!」


その姿を見て会長が感極まった。


「何とっ!! 羨ましい光景かっ!! どうしてワシじゃないのだっ!!」


会長は全力で悔しがっていた。


「バカな事言ってないで早く助けろよっ!!」


為心のその言葉にちゃまは取り巻く髪の根本目掛けて攻撃を繰り出した。


「一旋っ!!」


ちゃまの攻撃で敵の髪は千切れ、為心は解放され、そして間髪入れずに為心はスキルを使った。


「乱舞っ!!」


為心は螺旋の様に回転しながら幽霊目掛けて切り刻んだ。


「おらっ!!」


その瞬間幽霊はポリゴンになって弾けて消える。


「コイツら弱いぞっ!!」


為心の言葉を聞いた会長から指示が飛んだ。


「各自、数を減らすのじゃっ!! 十火炎斬っ!!」


会長は十連撃で広範囲にわたって流れる様に幽霊を斬って回る。

それを見ていたちくびから言葉が漏れる。


「会長っ!! めっちゃいい感じに揺れてるよっ!!」


ちくびが会長の少女らしからぬ乳房ちぶさの激しい揺れに感動していた。


「そうじゃろうっ!! ワシの魅力は世界一じゃっ!」


その会話にリタがツッコミを入れる。


「戦う気が失せるからっ! そういうのやめろってっ!!」


間髪入れずに会長が言葉を返す。


「相変わらずワシの魅力がわからん奴めっ!! 仕方がないのう……」


そう言って斬り込みからリタの横へと着地し、会長は仁王立ち、少女らしからぬ乳房を突き出し、リタに言葉を続けた。


「ほれほれ。 どうじゃ? 欲情し始めたじゃろう?」


「しねぇよ!! いいから戦えよ!!」


そこでちゃまが遮った。


「バカな事言ってないで数減らしてよっ! 全然減らないっ!」


ちくびが気づく。


「でも俺たちのHP減ってなくね?」


その言葉に全員が自分のHPを確認し、全く減ってない事に気付いた。

それを参考にナリムが言葉を発する。


「もしかして、これはただのサービスイベントなのでは?」


ちくびが言葉を返す。


「どんなゲームのイベントにある楽しみましょう的なあれか!?」


「そうです!」


ナリムの言葉は続く。


「ただ、わざわざ水着姿で戦わせてるのにはまた別の意味も感じますが……」


そこで会長が遮った。


「違うぞナリムよっ! これはそんなありきたりなものではないぞっ!!」


「っ!? 何か私が読めてない物が他にあるのですか!?」


会長の言葉にナリムは深く考える。

そしてノーネームもナリムに告げる。


「ナリム……まだお前は青いぞ」


「ノネムさんまで? 私は何を見落としてると言うのですか!?」


そこで更にちくびが言葉を発した。


「そうだよっ! このイベントはどれだけ自分自身を完璧に見せれるかのイベントだっ!! これは美学だっ!! 金髪っ! ツインテール!! スクール水着っ!! 更にバトルというシチュエーションっ!! これだけ揃えば思うことはただ一つっ!!」


そして、会長が言った。


「ワシは可愛いっ!!」


ノーネームが言う。


「俺は今1番輝いているっ!!」


ちくびが言う。


「俺が1番可愛いっ!!」


ちゃまが言う。


「はぁうっ!! わかりたくないけどっ!! このイベントは素晴らしいっ!!」


その発言に、ナリム、リタ、為心は戦う気が失せ、モアイ像に似た渋い顔で、ただ、ただ、立ち尽くし一言思っていた。



『あぁ…バカばっかだ……』



その時、幽霊達は一ヶ所に集まり始めていた。

それを見た会長が言葉をかける。


「お!? また何か新しいシチュエーションが来るぞっ!!」


幽霊達は次々に融合し、大きく一つになっていく。

そしてその時だった。


「っ!? 何だこれ?」


全員の画面にイベントの説明が現れ、リタが読み上げる。


「選ばれし者よ。 温泉の加護をもちいて我をこの苦しみから解き放て。 どう言うこと?」


その言葉に会長が言う。


「やはり! 要するに選ばれし者じゃな? ワシで間違いないはずじゃがな!」


ノーネームが言う。


「いや! これは譲れない!」


ちくびが言う。


「ごめん! 負ける気がしない!」


その発言にナリムは言った。


「私……帰っていいですか?」


そこでリタが慰める。


「その気持ちわかるよ」


大きく一つの個体になった幽霊に会長が攻撃を仕掛けた。


「心魂っ!! 光剣っ!!!」


敵に向かって力一杯上段から下段へ大きく振り抜いた事で会長の乳房が激しく揺れる。


「よしっ!! 今日1番の揺れじゃったっ!!」


「くそぉ! なんと言う美学! 悔しい!」


会長のあまりの出来の良さにちくびが悔しがっていた。

しかし、敵のHPが全く減ってない事に気付いた。


「な、何じゃとっ!! あれだけ揺らしたのに攻撃が食らっとらんではないかっ!!」


もはや誰もツッコミを入れなくなっていた。

そして、その事態にちくびが気付く。


「もしかして温泉の加護が必要ってことっ!? 特別なバフってそれの事!?」


その瞬間だった。


「げっ!? 嘘だろぉ!? 温泉の加護!?」


為心の視界に温泉の加護継承の文字が浮かんだ。


「なんで!? あたし!?」


為心が選ばれた事に会長はあまりの悔しさから膝から崩れ落ちる。


「くそっ!! 何故ワシじゃないっ!!」


続けてちくびも冷静に評価する。


「くそ……悔しいけど、最初の羞恥プレイは見事だった……」


ノーネームも為心を認める。


「しかたがない……今回は譲ってやろう」


為心は苦笑いが止まらなかった。


「待て待て待て……このイベント嫌な予感しかしない!」


そんな為心にリタが言う。


「為心早くしろっ! こんなくだらいイベントを終わらせろっ!!」


リタの御もっともな発言に為心が答える。


「そうだなっ! 速攻で終わらせてやるよっ!!」


為心は温泉の加護を使用したその時だった。

為心の周りで風圧と虹色に輝くライトエフェクトが取り巻いた。

瞳の色も虹色へと変わり、白髪だった髪もカラフルな色へと変化する。


「よっしゃっ! 力がみなぎってきた! 行くぜっ!!」


為心がスキルを発動する直前にリタが温泉イベントの詳細の更に下で小さい字で書かれていた所を見つけた。


「え? あ! ま、待てっ! 為心っ!! これはまずっ……」


リタの声は届かず為心はスキルを使った。


「閃光っ!!」


為心が眩く発光したその瞬間だった。

為心の着ていた水着がスキル発動と同時に千切れて散り、全身が裸になった為心の見えてはいけない部分は全て温泉の加護によって湯気で全て見えなくなっていた。



「はぁ!? え!? ちょっ! え? な、何これ!? 待ってっ! めっちゃ恥ずかしすぎるって!!! 温泉の加護ってそういうことですかっ!?」


為心はその自分の姿に驚き、女性の様に右手で乳房を、左手で股を隠した。

そのシチュエーションに会長が萌える。


「おおおおおお!!! 何というっ!! 何という羨ましいシチュエーションかっ!!!!! ワシが変わりたいっ!!!」


その瞬間全員が納得し、リタが答えた。


「為心が選ばれた理由が分かった気がする……」


為心がリタに聞いた。


「なにっ!? なんでっ!? どういうことソレっ!?」


「このメンバーで唯一、変態要素が少なくて、羞恥心を一番に出してたのは為心しか居なかったもんな」


「それならリタただってこっち側の人間だろっ!!」


「そこはほら…男キャラと女キャラでこの状況どっちが人気あるって話だよ……」


「そんなのどうでもいいけどっ!! これどうやって戦えばいいんだよっ!!」


「湯気で見えてないんだから大丈夫でしょ。 それに下着と水着の羞恥心の違いみたいなもんでしょ。 あともう一つ付け加えるならお前、男だかんなっ!」


「男だけどっ! これは流石にダメだって!! 恥ずかしすぎるってっ!! 良くアニメでこういうのあるけど絶対させちゃいけない奴だってっ!! これやばいよっ!!!」


「いいから早く終わらせろっ!!!」


「ああああああもぉぉおおおおわかったよっ!!!」


為心は早く終わらせたいあまりに全てのスキルを使用した。


「心魂っ! 鳴神っ! 閃光っ! 夢幻刹那っ!!」


温泉の加護の効果もあり為心は凄まじいスピードで幾度となく敵を斬った。

そして、為心の余りの速さに見えてはいけない場所を目で取らえることは誰も出来なかった。

最後に遥か上空から敵に目掛けて稲妻と共に斬り落ち、為心の姿は温泉の中へと消え、敵はたちまちポリゴンになり弾けて消えた。

それを見てリタが一言漏らした。


「やっと終わったか……」


すると為心が頭だけ温泉から出して顔を真っ赤にし、一言呟いた。


「見えた……?」


その光景に全員が歓喜し、敗北を味わい、会長が言う。


「可愛すぎるではないかっ!! 悔しいっ!! ワシに足りないのは恥じらいだったのかっ!!!」


ちゃまが言う。


「はぁうっ!! 為心がっ! か、かわいいっ!!!」


ノーネームが言う。


「この勝負圧倒的にお前の勝利だ」


ナリムが言う。


「確かに…これは可愛いです……」


ちくびが言う。


「俺も次があるなら肉食系の様相で萌の要素を…」


リタが言う。


「俺でもこれは可愛いく見えるぞ……」


そして為心が叫んだ。


「俺は男だってぇのっ!!!」


イベントは無事終わり、最後には温泉を楽しみ、全員で記念撮影もした。

その時、再度温泉に皆でひたりながらちくびが言葉を漏らした。


「ここに……佐藤さんも居れたらよかったのにね……」


その言葉に為心はちくびに言葉をかける。


「そうだね。 でも佐藤さんがこの楽しい空間を作ってくれたと私は思うよ」


「どう言うこと?」


「佐藤さんの悲しさは消えないけど、その分、死が隣にあるからこそ、後悔無い様に皆んなは全力で今日を楽しんでたと思う。 今日というこの思い出は佐藤さんが教えてくれたし、佐藤さんが作ってくれた物でもあるよ。 きっと……」


為心は温泉から立ち上がり夜空に浮かぶ月を見上げて更に言葉を続ける。


「本当の名前も知らない。 顔も全く知らない。 けど私達は確かな仲間で友達だ。 多分この命をかけなきゃいけない環境の中ならそれ以上の関係かもしれない。 少なからずこの世界ゲームの状況は許せない。 でも佐藤さんと同じようにここでしか出会えなかった掛け替えの無い仲間には出会えた。 私はそんな皆んなが大好きで大切だ。 だから私は自分の命に変えても必ず仲間を守ってみせる。 そう思える今日だった」


その言葉を聞いたちくびは為心に教えてあげる。


「為心?」


「ん? なに? ちくちゃん!」


「まだ裸だよ」


為心は赤面し、温泉の中へと消えていった。









ここまで読んで頂きありがとうございました!



挿絵はまた随時描き終わり次第入れていきます!





改めて、一応ですが、続けることも出来るように鬼説は終わらせて頂きました!


多分、続きは書かないと思いますが…




今後は「錬金術使いの異世界美容師」を書こうと思っております!




鬼説を読んでこの人の感性悪くないと思った方は是非「錬金術使いの異世界美容師」で検索をよろしくお願いします!




改めて本当にここまで読んで頂きありがとうございました!



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