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四天王と陰陽師


「子供は遊ぶのが仕事」という考えは魔族にも存在する。


紫耀は勉強を始めて三十分程でクローシスに「そろそろ遊ぶ時間ですよ」と声をかけられた。

素直に本を閉じて片付けると、二人で紫耀の遊び場となっている中庭へ向かう。


途中の廊下で棺桶が転がっていた。

見つけた紫耀はぱぁっと笑顔を浮かべる。

棺桶の蓋をコンコンとノックすると蓋が持ち上がり、眠たげな男の顔が覗いた。


『棺桶さんおはようございます。』

「んあ~……おはよう若君…」


〝棺桶さん〝と呼ばれた眠たげな男は四天王の一人、スケルトン系魔族のアンデルセン・クロス。

今日もいつもの白いパジャマ姿だ。


『棺桶さん今日もパジャマだね。』

「僕の正装はパジャマなんだよぉ…」


ゆるゆるとした会話をしているとアンデルセンが寝落ちした。

紫耀は『おやすみなさい』と言いながら棺桶の蓋を締め、再び中庭へ向かう。

その後ろでクローシスは廊下のど真ん中にある四天王入り棺桶を壁際に寄せた。「廊下のど真ん中で寝てはいけませんよ」と声をかけたが返事はなかった。


後少しで中庭、という所で「きゃぁぁぁぁ若君~~!!」と叫びながら、文字どおり飛んできた女性が紫耀とクローシスの回りをぐるりと回って着地した。


『フランさん?』

「昼間から若君に会えるなんて運がいいわ!」


黙っていれば色気のある女性に見える顔に無邪気な笑顔を浮かべる彼女はフランチェスカ・レイヴン。四天王の紅一点。

カラスの獣人とレイス系魔族のハーフであるため、カラスの翼と薄水色の肌が特徴的だ。


「中庭へ行くなら、今はやめた方がいいと思うわ。」

「…もしやガルム様ですか?」

「クローシス正解!今筋肉がどうたらって言いながら懸垂してるの。暑苦しいし、若君に悪影響だわ!」

『けんすい?』


紫耀がよく分からないうちに、中庭に行くのは中止となった。


中庭で懸垂しているガルム・アーデルも四天王の一人。

人狼系魔族で、かなりの脳筋。

それ故、紫耀の記憶喪失を直すのに「強い衝撃なら任せろ!」とマッスルポーズを決めて、パパ(魔王)にしばかれた事がある。

その件以来、彼と紫耀の物理的接触にはパパ(魔王)の許可が必要になった。


閑話休題


部屋で遊ぼう、という事になったので、来た道を引き返す紫耀とクローシス。

フランチェスカは魔王に何やら報告があるらしく、その場で別れた。


紫耀の自室の前まで戻ると、神父服を纏った青い肌の男が待っていた。


『あ!セルブリム!』

「ご機嫌麗しゅう。若君。」


セルブリム・フリエル。彼も四天王の一人だが、少々魔族としては異端だった。

何故ならセルブリムは元人間。悪魔と取引して魔族になったという少しぶっ飛んだ経歴の持ち主なのだ。


セルブリムは小さな箱を紫耀に渡した。


『なに?』

「このセルブリムから若君へのささやかな贈り物でございます。」

『わぁありがとう!嬉しい!』


セルブリムは紫耀の笑顔が眩しそうに目を細めると、静かに祈りを捧げて去っていった。


「紫耀様、歩いて喉が乾きましたでしょう?セルブリム様からの贈り物の開封は後に取っておいてお茶に致しませんか?」

『うん』


紫耀は部屋に入ると、セルブリムから貰った箱をテーブルの上に置き、ソファーに座った。


クローシスはミルクティーをカップに注ぎ、紫耀の前に置く。

そして、紫耀がミルクティーを飲んでいる間に素早く箱を回収し、己の使い魔に預けて魔王に届けた。


紫耀はミルクティーを一杯飲み終えた頃には、箱の事をすっかり忘れていた。


数時間程で、クローシスの使い魔が「問題なし」と書かれたメモと共に箱を持ち帰ってきたので、紫耀に「セルブリム様からの贈り物ですよ」と何事もなかったかの様に渡した。


箱の中身は小さな羊のぬいぐるみだった。


セルブリムはたまに紫耀を崇めまくる言葉が書かれた聖書()とかの〝ある意味やべぇもの〝を贈ってくるので保護者が検問します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 棺桶…アンデルセン…なかに百万人くらい詰まってんだろうか
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