重傷の陰陽師
更新は週に二回~三回くらいを予定しています
【主人公視点】
『……う……いた…い』
いたい
身体中がいたい
いたくて動けない
なんでぼくはこんなに怪我してるの?
ここはどこ?
目を開けても知らない景色
夜空と木と水しかない
ぼく…このままいたくて死んじゃうの?
「お……だ………うか?」
誰かの声が聞こえる……
「ひ……い……き…………なお………」
……?…いたいのきえた?
「大丈夫か?」
角がある人に抱えられた
この人がいたいのなおしてくれたのかな…
『……あ……う……』
お礼が言いたいのに上手く声が出ない…どうしよう
「……かなり衰弱しているな。治癒魔法だけではダメだ。一先ず城へ……」
あれ…なんだか眠くなってきた…
「!?おい!しっかりしろ!」
おやすみなさい…
【主人公視点終了】
【魔王視点】
抱えた体から力が抜けていく
急がなくては彼が死んでしまう!
転移魔法ですぐさま城へ戻った
「誰か!医者を連れてこい!急げ!」
指示を出すと近くにいた使用人達が慌ただしく動き出した
湖の水で冷えきった彼の体を湯で温めながら飛んできた医者に診せる
どうやら血が足りないらしい
彼の血液型を悠長に調べている時間はない…私の魔眼で見るしかあるまい
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彼…紫耀という青年は助かった
まさか私と血液型が同じとは…
異なる種族の血を輸血して大丈夫なのだろうか…と躊躇したが、どちらにせよ輸血しなければ死んでしまうと賭けに出た
彼は命を繋いだ
魔王である私の血に耐えるとは……ステータスからしてただのエルフではないのは分かっていたが…
しかしジョブとレベルが二つもあるなど……前代未聞だ
彼の意識が戻ったら話を聞かなくてはならないな
私に似た左目の事と……何ににあれほど痛めつけられたのか