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第62話 次へと進む次への道

更新



 地下迷宮であり地下帝国でもあるグランドフォル。

 そこで魔物を狩り尽くし回っている者がいた。


モエロ(●●●)


 星羅は自身のオリジナルである魔術、『五霊呪(ごれいじゅ)』で魔物を片っ端から燃やして燃やして燃やしていく。


「て、敵が一瞬で」

「そんなに驚く事か? チャロはずっと一緒にいたから今更でしょ」

「そ、それはそうですが“地下帝国グランドフォル”は地下迷宮の中でも1位を争うほどの難易度何ですよ?」

「そんな事を言われても……敵が弱いんだから仕方ないじゃん」


 そんな会話をしながら、奥へ奥へと、下へ下へと進んでいく。


 そして、


「こ、ここは」

「どうかした?」

「どうかも何もありません! ここが、今、私たちがいる所が冒険者たちの進めている最下層です」

「……なるほど。なら、ここより下なら黒い魔晶石が手に入りやすいな」

「いいんですか?」

「……何が?」


 星羅はチャロに言われても心当たりがない。

 ないから心配になる。


「えっと、セイラは力を隠しているじゃないですか」

「あぁ、もう良いよ。力を隠すって事は全力を出せないって事でしょ?」

「はい、そうですね」

「それだと大事なモノ()が守れないから、さ。っと、これより下は未知数なのか」


 星羅は目の前の下に続く階段を睨む。

 禍々しい魔力が駄々漏れているからだ。


「チャロ。気を引き締めてね?」

「もちろんです!」


 その答えを聞いて満足したのか、星羅は笑顔になってから階段を下りる。



 神殿。

 そう呼ぶに相応しい場所。

 左右に6本の柱があり、地面は白いタイルが敷き詰められている。

 そして、


「玉座、か」


 お台場のガン◯ムが座れるほどの玉座。

 その上にはローブが被さっている白骨。


 ――――キュインッ


 そんな音と共に禍々しい魔力が星羅とチャロに襲いかかる。

 星羅が唇を噛み切ると、星羅とチャロを守るようにして金色(こんじき)に輝く魔法陣の盾が現れる。


「せ、セイラのそれは凄いですね」

「まぁね。さて、あの骸骨が放ったようだけど」


 ローブを被っている白骨は玉座の上に立っている。

 それほどまでに、玉座と白骨との大きさは噛み合ってない。


「“‘魔力回廊・形成 《magia andron-formation》’”

 からの、

 “‘魔法陣・展開 《circulus magicae-deployment》’”」


 星羅の魔力は跳ね上がり、星羅を囲むようにして幾重にも魔法陣が現れる。


「準備は完了だ」


 星羅のその言葉と同時に、またも禍々しい魔力の塊が放たれる。

 が、星羅に届く頃には消え失せてしまった。


「セイラ。ここで他の冒険者は殺られたようです」

「みたいだね」


 柱の周りには色々な装備やらが置いてある。

 死体も骨も見当たらない事から、


「あの骸骨の糧になってるのかもな。

 “‘我、天城(あまき)星羅が命じる。神の魅せし光の結晶よ’”“‘集束せよ、力の根源を封じて’”

 “‘その敵を穿つための礎となれ’”“‘悪を放つ’”」


 星羅の式句に反応して魔法陣が1列に、白骨に照準を合わせて真っ直ぐに並ぶ。

 そして、一瞬の光と共に―――― 


 ――――ガガガガガガッ


 玉座諸共消え失せてしまった。


「うん。大丈夫そうだな」

「て、敵は?」

「もちろん消えたよ。それに、ほら」


 星羅は転がっている石を指さす。

 その石は星羅たちがこの地下迷宮に入った理由である黒い魔晶石だった。


「これで目的は達成だな。後はも――――」

「――――さぁ! 地下迷宮をクリアして名声を手に入れるぞー!」


 星羅の声を掻き消すほどの大声で、1人の大男とその仲間たちが入ってきた。


「おっ、先客がいたのか」

「……えっと」


 星羅はその大男を見て言葉を失う。

 大男の右腕は引き抜いたかのように……抉り取ったかのように無くなっているのだ。

 この世界の魔法でも治せないほど時間が経っているのだろう。


「ん? あぁ、この腕か。この腕は偽者の勇者をユリエーエから追い出すときに負った怪我だ。偽者の勇者は弱かった。特に何もしなかったんだからな」


 大男は誇らしげに語り、「ガハハハハ」と笑い声を上げる。

 そして、その仲間である女の子たちは大男に魅せられている。


「おっ? 可愛いねぇ。君も俺のパーティーに入らないかい?」

「いえ、結構です」


 大男は星羅からの反応がなく興味を失ったのか、チャロに目を付けた。

 チャロはと言うと、大男の話を聞いて驚きを表情に出してしまったのだ。

 それを「イケる」と思ったのだろう。


「そんな事を言わずに、さ?」

「ですから結構です」

「そんな男となんて詰まんなくないか?」

「そんな事はありません」


 星羅は面倒な流れになっている事を理解して、


 ――――パチンッ


 大男の目の前で指を鳴らす。

 そして、


「そんなに欲しいならあげますよ。ほら、お宝は柱の所にありますから」

「そ、そうか。なら遠慮なく貰うからな。ガハハハハ」


 大男は自分が欲していたモノが変わっている事に気が付かずに柱の所に走っていった。


「大丈夫?」

「はい。でも今の話は本当でしょうか?」

「うーん、どうだろう。でもユリエーエに戻ればわかるでしょ」


 星羅とチャロは地下迷宮を出る



 ……とはならなかった。


「おっと、そうだ! おい! そこの可愛い女は置いていけ。仲間にでもしようと思う」


 星羅が記憶を弄ったにも関わらず、大男は私欲に走ってしまった。


「なんで、ですか? チャロは俺のパートナーなんだけど」

「お前には聞いてないから。まさか、偽者の勇者と戦った俺に楯突く気じゃないよな?」


 ジャキンッという音をたてて大男は剣を抜く。


「へぇ。なら、大賢者である俺に楯突く気じゃないよな?」

「は? 大賢者? 何を馬鹿な事を。大賢者がこんな場所にいるわけねぇだろ? 嘘を付くならもっとマシな嘘を言えよ」


 どうやら、大賢者だと信じてもらえなかったらしい。


「まぁいい。決闘だ! それで決めれば文句はねぇだろ?」

「あぁ、構わない。1つだけ言わせて貰うと、俺が大賢者だったらお前は何かしらの罪で捕まるからな?」

「まだ言うかよ。ルールは簡単で良いよな? 相手が戦闘不能になるか降参するか、だッ!」


 ルールを言い終わると同時に大男は星羅に斬りかかる。



今からカクヨムと合わせる

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