表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/74

第32話 フェルミニア王女 シャーナ・フェルミニア

本日16話目!



 王女は目覚めてから1番気になっていた星羅のポーズについて聞いた。


「これは精霊を見るためのです。王女さまは珍しい精霊に、氷の精霊に愛された為に眠りについてしまったのです」

「あら、そうなの? 私は長い眠りについていたのね」

「そうです。なので、もう1度精霊が来たら捕まえよう、という算段です」

「「えっ、えーー!」」


 チャロと王女の驚きの声が重なる。


「せ、セイラ殿。精霊を捕まえるって本当なんですか?」

「セイラさん。精霊を捕まえるなんて事が可能なのですか?」


 2人は声を重ねて質問してきた。


「まずはチャロから。本当だよ。そして王女さま。精霊を捕まえる事は理論上可能と考えています」

「そうなのですね。そうだ、セイラさん。私の事は王女さまでは無くてシャーナとお呼びになって」

「そ、それは」


 星羅は助けを求めるようにチャロを見るが、「良いんじゃないんですか?」という表情しかしていない。

 ので、諦めて、


「わかりました、シャーナ」

「まだちょっと固いような気がしますが良いでしょう。本当にそんな格好で精霊が見えるのですか?」


 シャーナは手をピースにして目に当てる。

 が、魔術は発動していないので結果は、


「むむ、見えません」

「そりゃそうだよ。俺の魔術だから」

「まぁ! それはどんな魔術何ですか? 今、目の前に広がる魔法陣とも関係が? それとも膨大な量の魔力に関係が?」

「まぁ、どっちもかな。魔力の方はシャーナでもチャロでも出来るよ。話し方はこんな感じでいい?」

「はい!」


 シャーナは嬉しそうに微笑んだ。


「さて、シャーナには2つの選択肢がある。このまま氷の魔法を使えなくなるか、使いたいか」

「使えるなら使いたいです! けど、そんな事が可能なのですか?」

「可能だし、そういうのを可能にしてこその魔術師ですから」

「魔術師、ですか? 魔法師とは違うんですか?」

「違う違う。特にこの世界の魔法師とは全然違う。言い方が悪いけど、精霊の力を頼りすぎだな」


 この世界では、精霊からしか魔法を使っていない。

 折角、強い魔力を持っていても、それ自体を使わないのは勿体無いと言わざるおえない。


「あら、そうなの? でもセイラさん、その事は外では言わない方がいいですよ」

「精霊は神の使途だから、でしょ? 流石に知ってます」

「じゃあ、何で私に?」

「それはシャーナが理論的な人らしいから。教会に行けば神からのお告げを貰えると言うが実際はどうだか」

「あら、神を信じていないんですか?」

「俺の世界だと神なんていないに等しい。いや、いたとしても決して助けてはくれないからな」

「なるほど」


 教会は何処の国にもあり、何処でもお告げを貰える。

 そして教会信者たちは、神を信じない者に対しての当たりが相当な物だと星羅は本で読んだから知っている。


「おっ、そんな事を話していると、シャーナの魔力に誘われて精霊が戻ってきたぞ。

 “‘反・神聖結界 《azimech》’”」


 9つの噐晶石と式句が反応して魔術が発動する。

 星羅の目でしか見えていないが、精霊が結界に閉じ込められている状況。


「あの、セイラ殿?」

「わかってる。俺が頭のおかしい人にしか見えないんでしょ?」

「そ、そうは言っていませんが」

「ま、見えないからしょうがないけどね」


 精霊はそう言ってから、また9つの噐晶石を宙に投げて、


「“‘屠殺者の幸運 《dabih》’”」


 星羅の後ろには虚ろながらに、山羊(やぎ)のような悪魔のようなモノが現れる。

 それは精霊の入った結界と魔晶石とを掴んでから、魔力を流して合わさる。


「完成、だな」


 完成した物は青く蒼く澄んだ氷のように綺麗な石。


氷晶石(ひょうしょうせき)と言った所かな」


 ――――ガチャン


「セイラが魔法を使った気配を察知してかけ……つけた」

「バルラさん! 無事に完成しましたよ」

「終わってたーーー」


 バルラは星羅の魔力を感じとって急いで来たようだが、間に合わなかったらしい。


「折角、折角授業を切り上げて来たのに」

「いや、そこは普通に授業をしましょうよ」

「セイラもわかるだろ? いや、わかるはずだ。見たこともない魔法を見た時の興奮を」

「わかるけどさぁ」


 星羅はしょうがなさそうな顔をして、


「“‘錬金土法・金’”」


 魔法大学の備品である花瓶を金の花瓶に変えてしまう。


「これで、満足ですか?」

「お、おぉお、来てよかったぁ。にしても凄いな。ちゃんと金だ」


 花瓶をペタペタと触れなから確認をしている。

 その隙に、星羅はチャロとシャーナの方を向いて、 


「はい、シャーナ」

「ありがとうございます」

「これで使えるはずだよ。式句は精霊から教えてもらってるでしょ?」

「はい。ではやってみます。

 “‘凍てつかせ、夜闇を晴らす1輪の光となれ’”」


 ピキキキッと音をたてて、氷柱が完成した。

 星羅は精霊を捕まえてシャーナの力にすることが成功して胸を撫で下ろす。


「じゃあチャロも使ってみよう」

「わ、私もですか?」

「もちろん。素質があるかどうかだけ、ね」

「わかりました。いきます!

 “‘凍てつかせ、夜闇を晴らす1輪の光となれ’”」


 しかしなにもおこらない。


「うん。残念だけど精霊は答えてくれなかったね」

「はい。でもいいんです! セイラ殿に色々な魔術を教えてもらうので」

「そうか。なら、チャロも魔法大学に入学するか? ね、いいですよね、バルラさん」


 星羅がバルラに聞くと、二つ返事でOKを貰えた。


「なら、2人とも。1週間後に入学式があるからちゃんと来るんだぞ」

「わかりました」


 その日は解散となった。

 王女であるシャーナは、念のため医務室でそのまま過ごす事になった。

 護衛には、目の覚めた黒騎士団たちがいるので大丈夫であろう。



 ※



「で、チャロは泊まる場所は?」

「そ、それがセイラ殿を探すことに夢中になっていて宿をとってないんです」

「なるほどな」


 ユリエーエの夜の街を歩く。

 1週間後に魔法大学の入学式があるというので、国のお偉いさんや、他国の重鎮たちが(こぞ)って来ている為か、宿は何処もいっぱいだった。

 なぜ、そんなに来るのか。

 未来の凄腕魔法師に今からでも唾をつけておこうと言う考えがあるらしい。


「しょうがないから俺の宿でいいか? 流石に外で放置は可哀想だし」

「せ、セイラ殿」


 チャロはそれが神からの助けと言わんばかりの表情で喜んでいる。

 2人は夜の街を歩いていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ