13☆クエスト
『コネクト』とか『フォートレス』などのゲーム内キャラ募集します!!
此処はLoSの街、その中心。
箒と陰雪、陽聖の三人は、一緒にLoSをプレイすべく集まっていた。
「で、取り敢えず揃った訳だけど……何するよ」
開口一番に問いかけたのは、箒だ。
LoSと一言に言っても、クリスタルマッチ、バトロワ、デスマッチにクエストと、遊び方は様々ある。
つまり箒の質問は、どのモードで遊ぼうか、という内容だった。
「うーん、三人だからクリスタルは厳しいねー」
「デスマは、8vs8…なので、一緒に遊んでる感じが…しないかも、ですね」
「じゃバトロワかクエストだな。正直、俺はどっちでも良いんだけど……、一旦エイム合わせにクエスト行きたい気もする。二人はどっちがいい?」
「クエスト賛成!」
「私も、大丈夫…です」
そうして三人は、クエストへ向かうことになった。
クエストとはモンスターと戦闘し、討伐するモードを指す。
対人戦ではなく、対モンスター戦を行うクエストは、他とは全く違う楽しみ方が出来るということで、一定層からの強い人気を得ていた。
仲良く並んでクエスト受付へと歩く最中、箒はあることに気がつく。
「そういやさ、なんで二人はビーストスキン付けてんの?」
ビーストスキンとは、LoSにおける猫耳犬耳兎耳、狸に狐に果ては象耳まで、多種多様な動物を模した姿に変化できるスキンのことである。
尻尾も取り付け可能で、どの程度動物に寄せるかも選ぶことも出来る。
ちなみにビーストスキンを使用するメリットはほとんど無く、逆にデメリットは尋常じゃなく大きい。
まずデメリットだが、耳と尻尾の分だけ当たり判定が増える。
尻尾の先を弾丸が掠めただけでも、容赦なく体力は抉られる上、尻尾はオブジェクトを貫通しないので、運が悪いと引っ掛かったりもする。
それだけでも十分なマイナスに思えるが、さらに尻尾の重さの分、身体のバランスが取りにくくなり、着地の際に転ぶことも多々ある。
逆に尻尾を使いこなし、人間アバターでは不可能な体術を見せる猛者も存在するが、それはLoSに肉体を捧げた奇人と呼ぶ他なかった。
箒には需要を理解出来なかったものの、物凄い数のユーザーから、動物耳スキンを希望する声が届いたため、頭上にハテナを浮かべながらも実装に至った。
そのデメリットの多さ故に、ビーストスキンの着脱と調整は、いつでも自由に可能となっている。
箒に質問を投げ掛けられた二人は、互いに目配せして微笑み合った。
「昨日病院で雨ちゃんと話してたとき、二人で決めたの。明日はビーストスキンでオシャレしてこうねって。ちなみに私のは狐だよ。どう、可愛い?」
「わ、私は……猫です。似合ってますか?…師匠」
ん?ん?どうよ箒くん、と前のめりな陽聖と、恥ずかしげに耳と尻尾を強調して見せる陰雪。
しかし箒は、その魅力を読み取る感性を持たぬようで、
「分からん。わざわざ聞いた俺が悪かったな」
と、頭を掻きながら答えるのだった。
「ちょっとこの男失礼すぎるよねー、雨ちゃん」
「正直、やっぱりかー…って感じも、しますけど」
「そうだけどさ、せめてお世辞くらいって思わない?」
「二人とも可愛いなぁ。ところで最初は何から狩る?『プテラドラン』は結構楽しいぞ。空を飛びまわるモンスターなんだけど、エイム練に結構向いてんだよ」
「うっわ雑。雨ちゃん、今からオフラインに移動して2vs1でこいつボコさない?泣くまで顔にショットガン食らわせたい」
「え、えと…勝てます、かね?」
箒のテキトーな褒め方に、真顔でドン引きする陽聖と、少し論点がズレつつ不安げな顔をする陰雪だった。
「今更やだよ。もう受付に着くぞ」
しかし陽聖の2vs1の希望が通る前に、目的のモンスターハント受付へと三人は辿り着いた。
重厚な謎金属で作り上げられた建物だが、いつ作られたのか想像も出来ないほどに、所々錆びて穴が空いている。
所謂ファンタジーで良くあるギルドハウス、という建物に似た構造ではあるが、それを近未来的に作り替えてボロボロにした、という表現が一番しっくりと来るかもしれない。
三人はその建物に入ると、空中に大きく映し出された、ホログラムのクエスト一覧映像を眺めた。
「一応、さっき言った『プテラドラン』は右側の方にあるな」
箒は巨大なホログラムに指を向けて、二人に示す。
「んー、それも楽しそうだけど、私デッカいのと戦いたいかも」
「でっかいのか。そうだな……、『アルラグネ』とかどうだ?植物型の化け物なんだけど、サイズはかなりあるぞ」
「いいねー『アルラグネ』。私はそれに一票入れます。雨ちゃんは何か希望ある?」
「私は、そうですね。二人が決めたもので、大丈夫です。ただ…先に『プテラドラン』で…エイムを合わせてからの方が、助かるかも…しれません」
「なら、まず『プテラドラン』に行って、その後に『アルラグネ』に行くのが良いね。うん、そうしよそうしよ。もうワクワクしちゃうなぁ」
陽聖は、心が踊るのに合わせて身体も揺らす。
『プテラドラン』と『アルラグネ』、その二種のモンスター達の姿を思い出して、陰雪と箒の二人も気合いを入れていた。
「よし、じゃ決まったな。あと選ぶのは難易度レベルだけど……まぁ一旦『プテラドラン』のクエストシート取るわ」
箒はそう言うと遠くに見える、クエスト一覧が纏められた巨大なホログラム――その中の『プテラドラン』の項目に手のひらを向けて、「受諾」と呟いた。
するとホログラムに映された『プテラドラン』の項目から、一枚の紙のような形をした光が飛び出して、箒たちの元へと舞い降りた。
箒はそれをしっかりと受け止める。
「おっけー、シートゲット。で、難易度だけど何がいい?今、公開されてるレベルは1から…………12?」
箒は手に取ったシートを眺めて、参加出来るレベルを確認する。
しかし箒のその表情は、何か信じられないものを見たかのような、驚きを含んでいた。
「どうか…しましたか?師匠」
「いやクエストのレベル上限、こんな高かったんだなって。あと陰雪、もう面倒になって流してたけど、やっぱその師匠呼び止めろ」
「レベル上限…ですか?それは勝手に少しずつ、上がっていくものかと…思っていましたが。何かおかしい、のですか?」
「無視の仕方が凄いね雨ちゃん」
陽聖は苦笑いしか出来ない。
箒がレベル上限に驚くのには理由があった。
実のところ、箒はこのクエストモードに関しては、普段から直接設定に触れてはいない。
それは実装当初に作った簡易なAIに、その管理の全てを任せている為だ。
プレイヤーが上達し、上限レベルのクリア者が現れると、自動的に更なる難易度のクエストを作成、公開するだけの単純なプログラム。
プレイヤーがどんな行動をしてクリアしたか。
モンスターがどんな動作を行うとプレイヤーは倒れるのか。
そういった内容を考察し、AIはクエストの難易度を上げていく。
レベル1をクリアされたら、レベル2を作成する。
レベル2をクリアされたら、レベル3を作成する。
だから勝手にレベルが上がっていくこと自体は問題ない―――のだが。
「……俺はレベル10が、人間にはクリア出来ない次元になるように、AIのプログラムを調整した筈なんだけどな」
人間では手の数が足りないとか、人間は空中じゃ動けないとか。
そういう壁が立ちはだかるのが、レベル10。
それは無理ゲーを作ろうとしたのではなく、ただレベル上限を10にすると決めた故の、ゲームデザインだった。
しかし目の前のクエストシートに記された、レベル上限の数字は12だ。
つまり、人間の限界を二度超えた奴がいる。
「……誰だよ、マジで」
「箒くん?どうしたの?」
自分の世界に入り込んでいた箒は、陽聖に声をかけられ意識を戻した。
「いや、何でもねぇ。ボーッとしてた。それで難易度どうする?」
そして慌てて言葉を繋げる。
幸い二人は、特に気にした様子は無かった。
「最初は何も考えずに最高難度ー、っていうのはどうかな?」
「良いと、思います。…楽しそう、ですし」
「んー……、まぁペナルティもねぇしな。正直俺も興味はある」
クリア出来る気はしねぇけど、というのが箒の本音だが。
とにかく箒たち三人は、『プテラドラン』レベル12に挑むことになった。
【セイジョ】⇔【セイジャ】(性別で変化)
揺らぎなき聖なる心の持ち主。傷付いた味方を癒し、時には広大なる自然すらも癒す。
・パッシブスキル
「《揺らぎなき精神》*シールドジュエル系統の使用に掛かる時間が半減」
・アクティブスキル
「《治癒の光》*当たると体力を全回復させる光の球を放つ(シールドは回復しない)」
・イクシード
「《聖域》*10秒間、自身を中心に半径20mを聖域で覆う。聖域内では全プレイヤーがスキル使用とオブジェクト破壊が不可能になり、また覆われたフィールドはゲーム開始時の状態に戻される」




