2話 我が力
そう言えば進化とはどうするのだったか……
確か倒した物から魔力を吸収し、自らの力と混ぜ合わせ生命の器を貯めてゆき器が満杯になれば無事進化……だったか?
むぅ……何年も眠っていたせいで状況を整理しただけで頭が痛いな
それに記憶もあやふやだ……
やはり進化するために我が愛刀を振るい魔物共を倒すか?……いやその前に骨の体で『異刀タツテン』を振るえるか?……その前に何か忘れてないか?
何を忘れていたかなぁ……?我が手が骨になったせいで動揺していたしその時に忘れていたかなぁ……
ン?骨になっている?骨になっているのが見えた……
テン
テン
テン
ポーン
「我は裸ではないか!!」
そう言えば我は関節ぐらいしか見えない重装鎧をそれに関節も守るように鎖帷子を着ていた!
何故腕が見えることに疑問を持てなかった!?
…はぁ…はぁ……まぁいいそれより進化の前に目標が出来たな、まず主目標は『鎧の奪取』
副目標は……そうだなぁ……魔物の皮で鎧でも作るかなめすことが出来る短剣もないので荒くなるがな
さて……では我が愛刀を持ち魔物でも倒すかな
そういえば先程は話がズレたがタツテンを持てるのかなぁ……
タツテンは大鉈よりも重くツヴァイヘンダー(両手剣)ほど大きく刀のように鋭い
骨で持てるはずが無いのだが……試さずにいるのは嫌いでね
フ"ン"ッ!
ボッ!
バラバラ……
え、ぇええええ!?
マジか……擬音だけではわかりにくいと思うので説明しよう
まずは我が全力で引き抜いたまずはそれからだからな……
するとタツテンがまるで我が生前の状態で引き抜いたように障害物が無いような早さで引き抜かれた、それが『ボッ!』だ
そして衝撃で地面に亀裂が入ったそれが『バラバラ……』であるな
というかこれ……まさか生前の頃と力や強靭が変わっていないのでは……?
試してみるか……幸いここは森だ魔物は大量にいるはず……
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
やっと見つけたぞ……『パワフルボア』
我が生前の頃にはそれこそ
木の多さ=パワフルボアの数であったじゃないか
それがなんだ日の傾きを見る限り3時間程経ってるじゃないか……
まぁいいスケルトンであるならパワフルボアに勝てるはずもない
まずは普通に切ってみるか……木に飛び移り頭上に移動し
落下しながら……斬る!
「オラァ!」
「ブヒッ!?」
スッパーン!とパワルルボアは上下に別れ
ビラァ……と内臓を出した
嘘……だろ?……力も技量も……生前から変わっていない
まさか……スケルトンになった時は死ぬかもしれぬと思ったのに……
今は空も紅くなってきている、ボアの肉を食べ魔力を吸収した後に皮で鎧でも作るか……
エイタツで肉を切るのは気が引けるな、普通に齧りとるか
ムチィ……
ムチムチ……
プチッ
なかなか歯ごたえのある肉だな……まるでパワフルボアがとても良い餌を食べてきたような美味さだ
パワフルボアは弱いから……ムシャムシャそんな事は有り得んのだが……
生前でもパワフルボアの生食は修行時代に散々やったがここまで美味くなかった
これからはパワフルボアを食う生活になりそうだ
むっ!何かが体の中に入り埋まった……これは魔力か?これを繰り返せば進化するという訳か
そして鎧だな……これはエイコツを使うしかないか
まずは肉を齧る前に剥ぎ取っておいた皮を我がサイズに合わせた鎧のそれぞれのパーツに切り分ける
そしてエイコツで紐をとおす穴を作る
紐は蔓を何重にも合わせ捻り回し
しっかりとした紐にするうむ完璧だ
後は部位と部位をしっかりと繋げ……
完成だ!粗雑だが動物程度のキズに対してならパワフルボアでも魔物は魔物、傷も付かん
副目標達成だな