プロローグ2
この平和は永遠に続くと思われた。
古龍の歴史を見ておきながら
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(騎士エイコツ視点)
いつもどうり剣を中庭で振り摩り切断面を合わせば接合する神金製の鉄塊を叩ききっていた時の事だった
ガキャァン!!
鈍い切断音が鳴り響き鉄塊は両断される…しかし
「刃が欠けている……いつもより調子が悪いな」
王国製の刃を厚くし耐久性を高めた剣ならまだしも、極限まで鋭さを求め耐久性を失った『刀』でミスリルを切れるのはエイコツぐらいだがいつもなら刃こぼれもせず神金の鉄塊を叩き切れるのも確かである。
「何かが……おかしい?」
「流石だなエイコツ…我が友よ」
!!
「狩人か!全く、いつも通り気配が無いな、勿論褒め言葉だぞ?」
そう彼、エイコツに話しかけたのは鉄仮面を被り黒く長い鍔の付いた帽子を被り帽子にハードレザーアーマー(鉄鎧に比べれば軽く鉄の補強が付いた革鎧)の上に帽子と同じく黒きマントを羽織った狩人であった
「貴様はいつも通り馬鹿みたいにデカく馬鹿みたいに重い鎧を着て大鉈のような刀を馬鹿みたいに速く振り回しているな」
狩人が呆れたように話す
エイコツは慣れた口調で言う
「もちろん?」
「「褒め言葉だよ」」
「ハハハハ!!」
一通りエイコツだけが笑った後真面目な顔で狩人は言う
「残念ながら今は笑える状況じゃあ無いんだ」
「ほう……何があった?」
エイコツも笑みを収め威圧感のある顔となる
狩人は話しだす
「我が諜報部隊が何者かに倒され異形となった」
「!!」
エイコツは内心不調はこれが原因か!と思ったが口には出さずに質問をする
「諜報部隊だと?一体何故」
「とある行商人の団体が何者かに襲われ商品の回収に来た冒険者も人に似た謎の黒い闇術師と手の異様に長い化け物や闇術を使う化け物に殺られた、そして諜報部隊も現場に行ったのだが……冒険者と同じ数の異形が増えていたのだ」
エイコツは額に皺を寄せ事態の深刻さが察せた
「なるほど貴公の部下が異形に変わったと言い切ったのはそのためか……」
しかしエイコツはそれだけなら王国軍の騎士達だけで対処しきれると思い何故来たか尋ねた
「窓を開け城壁の上に来い」
「?…答えになってなi「早く来い!」
そして城壁から見た光景は異質と呼ぶにふさわしかった
山の木々は腐り落ち、山は変色し紫となり
異形の軍団が王国の近くまで来ているのが見えた
エイコツが狩人が問おうとした所狩人は叫んだ
「な!?もうあれほど近くに来ているだと?!」
「クソ!おいエイコツ!撃退に行くぞ」
狩人は城壁から屋根に飛び乗り王の間へ急ぐエイコツもまた後を追う
王の間へ着くと1人王は立っていた……その周りには大量の異形の死体と王が子供の時から付き添っていた執事の亡骸が見えた……
「お、王……」
狩人が狼狽えた所
「狩人!騎士!この糞共を肥溜めに突き落としに行くぞ!」
王が叫ぶその目にはキラリとした水滴が見えたような気がした
王の指示により狩人と一般兵の部下、そして王は生存者の回収と王宮内の異形の排除、そして暴れ人の制圧
エイコツは城下町の異形達の排除であった
「ウオオオオオオオオッッ」
エイコツが雄叫びをあげながら敵を切り倒していく
バタバタと敵は倒れていくが一向に数が減らない
しかもその間にも異形の爪と闇術師異形の闇術が体を削り取っていく
体はボロボロとなり回復剤は無くなったがエイコツは山ほど居た異形を片付けた
「くっそ体がギシギシいいやがる、こんな時にリンパは何処に居るんだ……」
???「こいつの事かい?」
背後から声と同時に重い玉が飛んでくる咄嗟に手甲で防いだが手がギシギシと鳴る
「クソ……てめぇはだ…れ……」
声の主の前に投げられた"モノ"を確認したのが間違いであった、背後からの言葉が耳に引っかかったから、リンパは王の愛娘であり想い人でもあったから
その投げられた"モノ"
リンパの頭部を見つめエイコツは絶望した
「…………」
???「アハ♪その表情!その表情だよ!その表情が見たくて私はズットズーット君達のゲスな生活を見ていたんだよ!不死なる竜様を当然のように屠りその上で笑っている勘違い共のお前らのその表情が!アヒャヒヒアヒャハハハ!」
声から女であると分かるがそんな物今のエイコツにはどうでもよかった
「…………」
「泣いちゃった?泣いちゃった?泣いちゃあった?」
「泣いちゃっt
ゴリャッ
空から人型の巨体が落ちてきその謎の女を踏み潰す
「エイコツ……貴様何をしている、戦えるよな?奴をブチ殺すぞ」
空から降ってきたのは王であった
王はその謎の女を壁に投げ飛ばした後女にさらに建物の残骸を投げつけた
「……勿論ですよ王…奴は許してはいけない……地獄の底まで追いかけてブロックステーキににしてやりましょう……」
確かにその声には怒気が含まれていた……
そして遅れて聖龍イトに跨った狩人が降りてくる
「…………」
狩人はイトと共に呆然としていたが直ぐに正気に戻りこう言った
「…おい、エイコツ…あのクソアマは俺が先にやる、もし俺が死んだ後奴は絶対に片付けろ、もし逃がしたりしたら容赦はしないからな?この狩人ヘリウィックに誓え」
狩人はかつてない程まで激怒していた、エイコツが好きだと知っていたから言わなかったが三の盾の紅一点リンパを好きなのは狩人も変わらなかったからだ
「おい!待て!」
そして……暗殺者の名乗りとは即ち自決を意味するのである。王にボコボコにされてはいたが謎の女から出る気配は常軌を逸していてもはや人とも呼べない
そして女は言う
「我は影として過ごしこの時代にて深淵へと昇華した影の時代から一気に衰えた貴様らなんぞ蹴散らしてくれるわ」
狩人「王よ!どうか部下ではなく1人の男として言わせてください!ありがとうございました!そしてさようなら!」
その言葉と共に謎の女の手のひらから放たれた闇の玉で狩人は"消し飛んだ"
「アララ♪残念♪死んでしまうとは情けない!」
ブチッと何処かで線が切れたような音がした
きっと王もなったのであろう
王と騎士エイコツが飛び出すのはほとんど同時であった
この時ほとんど理性は失っていたがかつての全ての時より強かったのは間違いなく、戦闘の理性は失っていなかったそして狩人の事もあり深淵は舐め腐っていたのだろう
元々狩人は暗殺特化の影人だ、戦闘は得意ではない、それでも正面から向かって行ったのはヘリウィックが"漢"であるからだろう
そして彼は深淵との戦いに役に立ったのは言うまでもない
深淵は舐めていた、この世界を王をエイコツを故に攻撃を受けて平気な所を見せ絶望させるつもりであったのだろう
そして王の天人の子孫特有の能力、神の力を借りる業『大いなる怒り』という攻撃力増加バフとリンパが生前、深淵にかけた防御力低下のデバフ
そして魔法剣士であるエイコツが独特の魔法『炎熱纏い』と剣技『和道一点』という全体重と世界の重力を使う突き
これらが全て合わさったことにより深淵は大きく建物を倒壊させながら吹き飛んだ
そしてすかさず王が一帯の回復効果を失わせる神の業『正々堂々』をかけたことにより深淵はいきなり窮地に追いやられたのである
「ゴホッゴホッオエッオエェ……」
腹に風穴が空き吐血している深淵に対してエイコツは追撃を行う、今エイコツの頭の中にある物は親友との誓いと想い人の復讐だけであった。
そしてロクな反撃も出来ぬまま深淵は空気中に霧散しどこかへ消えたのであった。
しかし平和を取り戻せたと思っていればエイコツに異変が訪れたのである
エイコツの体からボトボトと黒色の粘性の高い黒いヘドロが出てきたのである
そしてこの症状は異形となる前触れであり王の間へ移動中、亡き親友から教えられていたのでエイコツも知っていた
エイコツは静かにこう言った
「介錯を頼みます」
王はその言葉を撤回させようとしたが出来なかった、もし自分も異形となるのなら自分自身こうしてもらいたかったから
エイコツは右腕の骨が折れ血とヘドロが混じった物が覆い赤黒い鎧を纏いながら続ける
「今まで貴方の部下でいられ幸せでした、かの国ニチモトで貴方に拾われたお陰で友、想い人という存在が知れました」
「言うな……言うんじゃない……」
王は掠れた声で孤独にしないでくれという想いが伝わる声でエイコツを止める
「今までありがとうございました」
「やめろオオオオオオッッッ!!」
スパッ
エイコツが自らの刀で自分を貫いた
それを見た王は静かに無言で苦しませないようにエイコツの短刀で偉大なる英雄エイコツの首を切ったのであった。
それから時が経ち生涯の内に王は『深淵事件』の復興を終わらせ、とある研究を続けた
それこそが数々の冒険者や勇者を救い他殺、自殺という理由で死んでしまったものを蘇らせれる『蘇生の術』であったという
その成果により王は『孤独な賢王』と呼ばれる事になった
次回から本編です