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序
序
何時の代のことだろうか。この世界にまだ、精霊や、魔法使いや、様々な魔法の生き物たちが暮らしていた時代の物語である。
そんな世界に一つの伝説があった。この世界は竜の王が統べる。それは、水や、風や、土を司り、天地を結び、世界の法を保つ。されどこの世は流れゆくもの。永い命を持つ竜の王とて老いと死は避けられぬ。王が老いれば世界も老いる。天地は荒ぶり、理気は乱れ、世界は無数の災厄に見舞われると。
竜の王はその死に際し、一子をもうける。人の世で学び、新たな王となる、ただ一子を。