表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/8

一章 八話.朝食

「うん、すごく美味しいです!」

「あら、それはよかったわ」


 俺とソフィアは、和食に似た朝食に舌鼓をうちながら談笑していた。

 やはり、馴染みのある料理なので俺の口にも合う。まさか、異世界にまできて和食が食べれるなんて思いもよらなかった。それにソフィアが作る料理の味や盛り付け方ときたら、俺が日本に居た時に食べた一級料理店にも匹敵するだろう。

 店を出せるどころか、色んなところからヘッドハンティングが来そうだ。


「そういえば、ミルナちゃんはどこ行ったんですか?」


 俺はキッチンを見回しても、ソフィアの娘、ミルナが見当たらなかったのでソフィアに聞いてみる。

 だいたい時刻は七時前後だと思うのだが、未だミルナの姿を見ていない。


「ミルナはまだ寝てるかな? いつもなら早朝からソファに寝そべってあやとりして遊んでるのに」

「そうなんですか」


 一つ、ソフィアが言い放った言葉に引っかかる。

 あやとり? 今、あやとりって言ったよな?

 もしかして、俺以外に日本から転生してきた奴がいて、そいつが日本の文化を広めたとかなのか?

 確かに、あの腑抜けた神なら普段からミスをして、行き場を無くした可哀想な人間達を片っ端からこの世界に送っていそうだ。


「なんか言った?」


 すると、扉がガチャっと開いてミルナがキッチンに入ってきた。

 噂をすれば本人登場なんてよくある事だけど、まさかこんなにもすぐに現れるなんて......噂って怖いね。


 昨日のように不機嫌そうな声でそう言ったミルナは、無言で俺の前に座って準備された朝食を食べ始めた。

 なんと言うか、すごく気まずい。


「ミルナ、おはよう」

「おはよう母さん」


 ソフィアが微笑んで挨拶したのに対して、ミルナは無表情に加え飄々とした口ぶりで吐き捨てた。


「ほら、ソウマ君にも挨拶しなさい」

「うるさいなぁ」


 挨拶を促されてソフィアを睨んで舌打ちした後、俺の方を向いて如何にも心がこもってない挨拶をした。


「おはよーございまーす」

「あ、あぁ、おはよう」


 少し戸惑いつつも、挨拶をされたら返すというのが俺の主義であるため、一応挨拶を返しておく。

 もしかして、俺、嫌われてるのかな?


 朝食を半分ほど食べたミルナは早々と立ち上がり、ドアの向こうへと歩いていった。


「あらあら、今日は特に機嫌が悪そうだわ」

「いつもって、どんな感じなんですか?」

「んんー、いつもは少し不機嫌そうなところもあるけど、基本無口な感じかな」

「そ、そうなんですか」


 ということは、俺が来たから不機嫌でいるみたいなことはなさそうで一瞬ホッとする。

 ミルナとも仲良くしないとこの先ややこしい事になりそうなため、早いうちに喋れるくらいにしておかないと。

 とはいえ、両者年齢は近いもの、思春期という海で泳いでいる真っ最中であるからして、話しかけるなんてとても難しいことだ。


 さて、どう攻略していこうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ