【1】いつもの朝と幸福理論
サァ!いよいよ始まりました!この物語は大体1カ月くらいのペースで投稿していく予定です(´∀`)
魔法に溢れたこの世界で、ふと思うことがある。
もし、この世界に魔法なんて無かったら自分はどんな人生を送っているのか。けれど、大体予想はついている。
いつも通り寝て、本を読んで、寝ての繰り返しだろう。
誰も俺の存在には気が付かない。
誰も振り返らない。
そういう俺の望んだ通りの、【誰にも踏み込まず、踏み込まれない】生き方。
そんな人生を今この現実でも歩きたいと思っている。
ピピピピピィィィィーーーーー
うるさい目覚ましの音。締め掛けのカーテン。
今日もまた眠い。
「シーナァァァァァァァーー!!!起きなさァァァァァァァーーーイ!!!」
これは、誰の声だろう。毎日目を開ける度に、考えることがある。けれどこれは現実で実際にはいつも通り、母さんが一階のリビングで叫び声を上げているにすぎない。
はぁ……本当にやめてほしい。
母さんは気付いていないだろうが、母さんが動くたびにあちこちミシミシという音が響きわたり、家の老化を毎日コツコツ招いている。
「はぁ……だる……」
寝よう。
現実は酷い。
コンコン……
コンコンコン……
何度もドアのノックの音が部屋に響いた。
時間が経つ度に、ノックの回数が増えているような気もするが、そんなことすらどうでもいい。
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン……
カチャ……
呪いのような、いやまさに呪いのようなノックの音が止み、また別の音が部屋に響いた。
ドアが開く音だ。ゆっくり、ゆっくりと足音が聞こえる。
「坊ぉやぁ~おはようぉ~」
全ての動作に指先まで注意を払いながら、古いランタンを持ち薄暗い部屋の中を歩く人物。
「今日もすぅばぁらしぃ~朝が来たわよ~~」
あぁ……マジでうるさい。
「さぁ……起きて坊ぉやぁ?」
こんなことで『俺』が起きるわけがない。
「本日の営業は……終了……致しました……」
「坊ぉや?」
呪いの声が布団越しに聞こえた気がした。
「ねむだる~~」
それに、寒い。
けれど俺の声は誰にも聞こえていない。いや、誰も聞いてくれないのだ。
「シーナ………起きろぉぉぉぉぉぉー!!!!」
布団が宙に浮き、カーテンが朝の訪れをまた告げた。
あぁ……朝なんて来なけりゃ良いのに。
今日も我が家に雷鳴と地響きが響いた。
「はぁ……いつまで寝てるつもりなのよ!!」
布団を床に投げ落しながら母さんは言った。
「茶番が終わったら起きようと……布団プリーズ」
「あげるわけないでしょ!!何時だと思ってんの?!!」
「暴力反対ー!」
そう言いながらも、枕に顔を擦り付ける。
あぁ……枕よ。天使!!いや、神……
「ぐぅ~~」
また寝始めたシーナであった。だが、彼の維持がそう続くわけではない。
「こらぁ!!寝るなぁ!!」
シーナの頭にチョップを食らわせ、夢世界への勧誘を途切れさせた。
「早く準備しなさい!!今日は【入学式】なんだから!!
えっ……?
「えっ?」
頭に手を当てながら母さんの方を見た。
「えっ?」
腰に手を当てながら母さんは俺の方を見た。
「What ?」
「だ・か・ら!今日は、高校の入学式でしょ!もしかして、忘れてたの?」
この期に及んで?と母さんは哀れな怪我人を見るような目で俺に問いかけた。
「え、まぁ、そんな感じですかね?」
その後、鉄の塊が頭に落ちたのは言うまでもない。
「ん?あっ……」
だが、これは我が家の日常で。
「えっ?今度は何?」
平和の象徴のような出来事なのだ。
「学校始まり、15分前よ……」
俺は変わりたくない。
あの日の思い出にそう誓ったのだから……
もう、あんな思いはしたくない。
だから、誓うと共に忘れることにした。
「えぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!!」
シーナ・キリア。15歳。今年で高校生。ごく普通の平凡な男子。それが、僕に与えられた人生の【レーヴェン】この世界の幸福理論だ。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
今回は前振りのような感じでしたが、次話から本格的に入っていくと思われます!(気長にやっていっているので……)
と、いう事で次話でまたお会いしましょう!
【バイバイとさよならの境界線】略して【バイさよ】今後ともどうぞよろしくお願いします(*´∀`*)