勝利の敗戦→クエストのその裏で
魔法使い
魔導師、精霊師、魔術師を指す。
魔術師は杖を用いた強大な魔力を放射する攻撃的な現代魔法を使う。
精霊師は魔力に満ちた手を用いた補助と範囲攻撃を得意とする古代魔法使う。
魔導師は魔力と知識が宿る書物、魔導書を使用する事によって現代、古代魔法全てを並みに扱うことができる。
「ヘッドショット……1キル……」
男とアリドのメンバーが立っていた2km先、狙撃手の少女ライチは狙撃した。
脳天を撃ち抜く完璧なショット。間違いなく死亡だ。
「ザクロ……助けてやれなくて……ごめん」
「……える?……聞こえる?ナツメよ。任務としては成功……だけど、成功って認めたくないよね……」
「ザクロが殺られる前……撃てたはずなのに……ごめんなさい……です」
「ザクロの遺体は持ち帰ってちゃんと埋める。今は戻りましょう」
「……はい。了解……です」
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「反省会って訳じゃないけど、何か言いたいこと……ある?」
夜、アリド達は一つの部屋に集まっていた。
椅子に座り、誰一人笑顔の者はいなかった。
「僕は……見ていることしかできなかった……後悔や怒りよりも……悔しいです」
ミントは顔を下に向ける。
「あぁ、ミントのいう通りだ。俺も何もしてないし、あの時、みんな誰一人意表を突かれて動けてなかった」
ジャックがそういうと、全員が顔を下に向けた。
正にその通りだったのだから。
「……でも……ライムに比べたら……マシ……」
「家が崩れて、死体もバラバラになってるだろうからね」
ベリーが言うことは正しかった。
ライムの反応が消えた場所と崩れた家があった所はほぼ一致したからた。
「アタシが……死ねば……よかっ…」「そこまでだ、ライチ」
ジャックが即答する。
ライチはライムの後に生まれた強化孤児。常にライムの背中を追いかけ、兄の様な存在だったライムの死は大きい。
「この話を続けても意味はないわ。今日は解散した方がいいと思う」
「そうだね。これ以上みんなの傷を広げあうのは止した方がい」
「はい……僕は……もう行きますね」
ミントは一人でさっさと部屋を出ていった。
それにジャック、ベリーが少ししてから出ていった。
部屋にはナツメ、ライチだけが残る。
「……今日は……ここに残る……」
「そう。……分かった」
ナツメも部屋から出ていく。
一番辛いのはライチだ。大事な人を無くし、さらに同じ仲間も無くした。私達も無くした人は同じだが、この違いは大きい。
出来る限りの配慮はしたい。そうナツメは思った。
「もう……無理かな……アタシ……」
一人、部屋で涙を流した。
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全て間食した二人は、ケイトに別れを告げて街の外に出た。
アイツは何か上機嫌で俺達二人分の食費も出した。これが続くのならもう警戒しなくてもいいかもしれない。……裏があるとしか思えないが。
「結構いると聞いたが、何処にいるのかも分からないな。……見つけ次第、片っ端から殺していくか」
街の外は何時間か前に見た光景だ。何も変わっていない。
後ろには街という名の森だ。
するとルーシャが森(本物)の方に指を指した。
「……ご主人様、あれです」
赤色の背中、八つの足、さらにかなり大きい。
確かに殺人蜘蛛と言われて納得する見た目だ。
「なるほど、結構大きいな。タランチュラくらいか」
俺は銃を取りだし、
「ルーシャ、耳を塞げ」
俺は殺人蜘蛛に向け、銃を撃った。
赤い鮮血と鳴き声と共に蜘蛛は散る。
「接近なら血が掛かっていたか……銃で助かった」
「ご主人様、前方に二匹」
「分かった、助かる」
そして、二発の銃声が鳴り響いた。
「後は……見当たらないな。ここにいても何もないし、戻るぞ」
「……ご主人様、あれは何でしょう?」
ルーシャが指を指す方向には、何か飛行する生き物がこちらに向かってくるのが分かる。
「……ルーシャが言っていた堕天使とはまた違うな……なんだ?」
翼は無く、浮いている。つまり堕天使ではない。
人間味を帯びてはいるが、人間というには何か違和感がある。
「もっと近くに来てくれないと分からないな」
「あの見た目……ご主人様、あれは精霊種と思われます」
「妖精……?」
「精霊種と書いてエルフ。人間には好意的なので大丈夫です」
自信のある声で説明してくれた。
確かに、この世界では俺よりルーシャの方が先輩だ。説明はありがたい。
だが、その事よりルーシャがよく自分から喋る事が最近増えた事が俺は嬉しい。
出会ってこの街に来るまでの2日は、何も喋ってくれなかった。
父親になった様な気分がする。
「なら放っておけ。行くぞ、ルーシャ」
「はい。分かりました」
俺達は集会所の建物へ向かった。
####
「君はどの選択をするんだい?君にも選ばせてやろう」
暗い場所に一声が鳴り響く。
「なら……世界に幸あれと願うまでだ。何の話かは知らんが、人には優しい男になれと師に言われたからな」
「君達は狂戦士と同じでもあり狂戦士じゃない。君は……例外にするとしよう」
「話が噛みあってないな、どういう意味だ?」
「それは君が狂戦士と逢ってから考えるのだな。例外の意味が分かるかもしれん」
男の眉間が動く。
狂戦士と逢う、それはつまり____
「無表情、無感情、無敗を持ち、人殺しに関しても何も思わず、戦争を楽しむ最強の人間。俺の知る狂戦士はコイツだけだ。……ソイツがいるだと?」
「それは自分の目で確かめるのだな。向こうでは地位も用意してあるし困ることはないだろう。では、天国の旅を楽しむといい」
そう言い終わった後、目の前が光が生まれどんどん広がっていく。
手に持つ槍を握りしめ、叫ぶ。
「待ってろよ……ライム!」
明日も同じ時間に更新します。
どんどん話が動いていくなか、ちゃんと理解できる内容に仕上がってるか不安です……
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