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スタミナ回復→刹那の戦場

堕天使


堕天した人々や、その子孫からなる天使。

元は人間だった者が多く、絶望や闇を抱えたまま死んだ人が堕天し、堕天使へと変貌を変える。

一人を倒すのに、およそ一般兵士10人がいてやっと倒すことが出来るとされている。


「なんだ……ここは」


この建物に入った第一声がこれだった。

城の様な豪華な内装、この広い空間にざっとみて1万人はいる。


「人……いっぱい」


「俺から離れるなよ」


俺はルーシャの手を握った。こんなところではぐれたら探すのが骨だ。


(まずは、ここがどんな場所か……だな)


「すまない、今いいか?」


俺は壁の下で座っている巨漢に声をかけた。

大きな剣を担いでおり、見た目どうりのパワー系だろう。


「あ?なんだアンタは?」


「俺はライムだ。この場所の説明を願いたい」


「ほぉ、アンタ新人か。いいぜ、暇だったから案内してやる。付いてきな」


巨漢はこの人が多いなか、構わず突き進む。だいぶ慣れているのだろう。


「この施設は軍が管理してる。有能な人材を見つけるためにな」


「軍……の施設…か」


突き進むこと数分、カウンターらしき場所の横についた。


「このカウンターで軍の予備兵になる権利を得る」


「予備兵……何をすればいいんだ」


「予備兵になって成果をだせば金が貰えるのさ。しかも軍に入れる可能性もある」


この巨漢の男はさも自分が軍を仕切ってる様に自慢げに言う。


「そもそも軍はなんだ。何と戦う」


「知らないのか?この空でやってる失楽戦争しつらくせんそうを」


また知らない言葉がでてきた。

しかもこの世界の戦争は空でやってるらしい。


「失楽戦争は堕天使と人間の戦争だ。お前は見たことあるか?堕天使をよぉ」


「いや、ないな」


「そうか。だが堕天使は年に二度くらい地面に降り立ち、人をさらっていく。それを黙って見過ごすわけにはいかねぇだろ?」


ここでようやく街を隠している理由が分かった。堕天使に街を気づかせないためだ。

それと一つひっかかる。


(失楽戦争。失楽……。この名前、どこかで……)




「私、会ったことがあります」


ルーシャが声をあげる。


「ほぉ……嬢ちゃん。なかなか勇敢だな。どんな姿だった?」


「……黒い翼?みたいな感じで……角があったりなかったりして……女性しか……いなかった」


「そう。奴らは翼があるから飛べるし、一人一人が神並みに厄介だ」


そんな者を相手にこの世界の人間は戦っているのかと思うと俺が思うことはただ一つ


(勝てるはずがない)


「んじゃ後はカウンターの人に任せるぜ。じゃあな」


巨漢の男はそういって外へ出ていった。


俺は言われた通り、横のカウンターに顔を出す。


「予備兵申請ですね。名前とクラスは何ですか?」


「クラス?俺は二丁の銃で戦うだけだが。あと、名前はライムだ」


「銃……ならクラスは弓兵になりますね。ではこれを」


カードを渡される。

名前と弓兵を表すであろう弓のマークが記されたカードだ。


「こちらでそのカードに任務を言い渡します。達成して各街のカウンターに渡していただくと賞金が貰えますので、頑張ってくださいね」


なるほど、だいたい理解した。

すると持っていたカードが突然緑色に光りだした。

カードを見ると、裏に文字が書かれてあった。


『ミッドガルド周辺に現れる殺人蜘蛛の討伐  2~3日』


ミッドガルドはこの街の事だ。街に入った時、そう書いてある石が彫られていた。

問題は殺人蜘蛛だ。意味が分からない。


「3日もあれば分かるだろう。まずは食事だな。行くぞ、ルーシャ」


俺たちはこの場所から立ち去った。

次はレストランやカフェの様な場所を探す。


そしたら見たことがある人物が店のベンチに座ってコーヒーを飲んでいた。


「あんた、店はどうした?」


「ほっといても誰も来ないから大丈夫ですよ」


あの洋服屋の店員だった。

店は誰も来ないほど売れていないらしい。


「ここのカフェ、いいですよ?安くて美味しいい店です」


「……ちょうどいい。俺たちも入ろうと思っていたところだ」


俺たちも同じベンチに座る。

すると洋服屋の店員は手元にあるメニュー表を差し出した。


(なるほど……現実とさほど変わらないのか……)


ルーシャに選ばせようと思ったが、見せても分からないだろうと思い、自分で選ぶ事にした。

そして偶然横に通っていた店員に声をかける。


「アイスコーヒーとオレンジとサンドイッチを3つで」


かしこまりましたと言い、その場を去っていく。


「そういえばアンタの名前を聞いていなかったな」


「そういえばそうですね。私はケイトと申します」


にっこりほほ笑んだ。


「俺はライムだ。集会所の件は感謝する」


「場所を教えただけですよ。別に感謝されるような事は一つも」


「それで聞きたいことがある。殺人蜘蛛とはなんだ?」


「あぁ、それは噛まれたり糸に触れたら皮膚が焼ける通称『赤繭あかまゆ』と呼ばれる蜘蛛です。蜘蛛にしては大きいので直ぐに見つかるかと」


それは怖い。討伐依頼がくるわけだ。

その後も色々聞いてみると、どうやら街の外にあちこちにいるらしい。

俺たちが噛まれなかったのは幸運だったようだ。


「失礼します。サンドイッチとオレンジ、アイスコーヒーで御座います」


話しているうちに店員が注文した品を置いていく。

俺は小さく礼をした。


2つのサンドイッチとオレンジはルーシャに、残りの1つとコーヒーは俺だ。


(久しぶりの食い物か……。なんだか懐かしいな)


生前はよく作ってくれるヤツがいた。

それがもう食べれないと思うと少し悲しい気もする。


だがそれとは別に、ルーシャは食べ物を前に固まっていた。


「どうした、食わないと死ぬぞ」


「……え?私の物だったんですか?そんな、高級すぎます」


「そんな高級な物でもない。これが普通だ」


そう言うと、恐る恐るサンドイッチを両手で物珍しそうに持った。

そして口に運ぶ。


「どうだ?」


無表情で頬張る顔はハムスターみたいだ。


「…………おいしい……です」


「店で金を払って食うものは基本は美味いから覚えておけ」


「……はい、記憶しました」


ルーシャは飲み込みながらほほ笑んだ。







####








「……嘘」


「もうこの槍の兵士は死んださ。さぁ、次は誰かなぁ?」


ザクロが簡単に殺られるのが信じられなかった。

だがこれを見て誰もが理解した。


ライムが死んだのは無理もない、これは本当に強敵だと。


「くっ!」


ナツメはマシンガンで撃つ。だが男にそれは届かない。

男は左手を出して見えない壁を作ったかのように弾は弾かれた。


「なっ!?」


「君たちは古すぎる!武器に頼ってやっと一人前だ!だが僕は違う、魔法を遣い君たちを排除する!」


「魔法だと!?……信じたくはないが、今の壁も、ザクロが死んだ時も魔法だというのか!」


マシンガンを撃ち続けながら言う。


「もちろんだとも。幻影魔法だから、君たちには不自然に見えただろうがねぇ」


「伏せて下さい!」


後ろから合図が飛んでくる。

ナツメはマシンガンを撃ちながら屈んだ。


「どうです!」


男は眼を見開いた。目の前には____



ミサイルだ。


「くぅ!!」


やむを得ず左にジャンプする。だが持ち上げられた身体は爆風により吹き飛ばされた。


「なかなか……やりますねぇ……。ですが、もう終わりだ!」


「まずい!くるよ!」


数十メートル先に飛ばされた男は左手を掲げ、魔法を告げるのとベリーが叫ぶのは同じだった。


「『ソウルイーター』!」


雲が黒に染まり、雷鳴が轟いた。だが、



その声と同時に、男は倒れた。




「……任務完了」


遥か後ろで、呟く声があった。






更新が一週間遅れてごめんなさい。明日、もしかしたら明後日も投稿しますんで許してください。



Twitterのほうで、更新日時を発信しています。よければフォローよろしくお願いします。


https://mobile.twitter.com/i32m6s777barrel

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