キャラクタークリエイト→ゲームスタート
どのゲームも最初はどういうゲームなのかという所から始まり、説明を見たり聞いたりしますよね!?
(……ここは……どこだ?俺は家に潰されて……どうなった?死んだのか………?でもこの空間はいったい……)
目を開くと、何も見えない漆黒に染まった暗闇の空間に立っていた。
気温も高くなく、涼しい。そして音もない。
だが一つだけ暗闇ではない長方形の光のスクリーンが見えた。
俺は転ばない様にしっかり足を踏みしめながら近づいた。
そのスクリーンには大きく『企画書』と書かれていた。
(………?『固有能力』と『固有魔法』を用いた死後ファンタジーMMO……だと?)
さっぱり意味が解らない。
「おめでとう。君は私のゲームに参加する権利を得た子ども第765人目だ」
続きを読もうとした瞬間、突然360°から20代、30代くらいの少し低いテノールの声が聞こえてきた。
声が聞こえるだけで見渡しても今までと変わらない暗闇の空間のままだ。
「これはなんだ。それと、何故俺の名を知っている」
「話が早い。基本皆、最初は自分が死んだのかを私に問うんだがね」
「質問に答えろ」
「分かった分かった。それはこれから君がログインしてもらうゲームのシステムの一部だ。ログインしてもらえば直に分かるだろう」
(ゲーム…だと?)
「まぁいい。そんなに聞きたいのなら聞いてやろう。俺は家に潰されてどうなったんだ?後、お前の名前も教えろ」
「自己紹介が遅れたね。私はゲームマスターの二階堂だ。君は残念だが、死んだからここにいる。」
死んでいる事は十分予想ができた。
(……だがアイツはどうやって家を粉々に潰すことができたんだ……?あんな事ができるのは爆発物ぐらいのはずだ)
「なぜあの男が家を潰せたかって?」
「何故考えている事がわかった」
「今、君の脳を隅々まで視ている。君が疑問に思っている答えは恐らくこれだろう」
目の前にある企画書と書かれたのスクリーンの表示が変わった。
内容と題名は『魔法の存在証明』
(魔法……だと!?そんなものは人間が創りだした空想にすぎないはず……)
「だが実際あの男は使って見せた。しかもその文には開発と書いてある。空論上にしか存在しない魔法を、人間は創りだすことに成功したのだよ」
「そんな……バカな……」
アイツは俺に強化人間の対抗策として生まれたと言っていた。だが家を潰せるあの力は強大だ。もっと他に使える魔法があるのなら戦艦、戦車なども簡単に木端微塵に出来るだろう。
「技術の進化とは恐れ多いものだな。……さて、それじゃ本題に入るとしよう」
「まて、さっき俺の脳を視ていると言ったな。どういう意味だ?」
「それをこれから説明する。君は今から私が創ったゲーム『ヘヴンズゲート』にログインしてもらう。このゲームは普通のファンタジー物だ。だから武器や特定の人には魔法も使える」
「この武器をこのまま持っていくのか?」
俺は腰にある腐食された刀を持った。
このまま持っていっても使い物にはならないだろう。
「君は精神も強く、その強化人間としての肉体も強い。さらにその剣術はチート並みだ。だから君は刀を銃に変え、もともと持っていた銃と合わせて二丁で戦ってもらう」
「……なるほど。すまないがこの折れた刀を使えなくてもいいから持っていけるようにしてくれないか?記憶が無くとも、俺にとっては大事なものだ」
「……そのくらいならいいだろう。……一つ疑問だ。君はさっきから物解りが非常に早い。死んだと言われた時も、刀は使えないと言った時も常に無表情かつ冷静だ。感情でも壊れているのか?」
「俺は強化孤児の改造の時、脳にエラーがでた。それから感情というものはあまり理解できない。…だがその剣だけは何故か特別だ」
「……なるほど」
「なるほど」と声が聞こえた瞬間、目の前が突然太陽の様に光り、暗闇に慣れていた俺の視界は真っ白になった。
光とともに現れた人物は白衣を着ており、黒の長ズボン、何の特徴もない短い黒髪に黒の瞳。日本人だ。
コイツが今まで俺に喋りかけてきた張本人、二階堂という男なのだろう。
「私の姿が見えるかい?」
「立体映像でなら見えている」
「なら結構。それじゃあこれが最後だ。君は強化人間だから特別扱いで世界を選ぶ権利を与えよう」
二階堂は俺の目の前にある目の前のスクリーンに手を伸ばした。
すると表示が変わり、こう書かれていた。
『世界に協力するか、世界を敵に廻すのか』
「どちらを選んでも構わん。さほど違いはない」
「どんな事をするゲームなんだ、これは。本当にファンタジーなのか?」
「それを言ったら面白くないだろう」
(……………まぁいい)
これまで俺は大人に縛られて生きてきた。上部からの命令を聴き、それをミスなく完璧にこなす事だけが生きる意味だった。だがこれからは違う。今問われている様に選択肢がある。
一人だ。もう縛る者はいない。自由になれるのだ。
だから……。
「俺はどちらにも属さない。世界を観測し、自分の判断で生きる」
決められた選択肢が全てではない。他の無限にある選択肢の中から最有力候補、もしくは最低候補を複数選び、啓示しているだけだ。
だから実際には色んな答えがある。戦闘で予想外なことが起きるのはその決められていない択が起きたからである。
そして俺はもう出来る限り誰にも指図されたくない。決められた択から選ぶなんて以ての外だ
「なるほど……気に入ったよ。ならその望みを叶えようじゃないか」
そう言うと目の前スクリーンの表示がまた変わった。
『世界の観測者』……と。
俺はその文字をタッチした。
するとまたしても強力な光が目の前を襲う。俺は眩しさのあまり両手を目の前に翳した。
「くっ…目が…」
「フフフ……ハッハッハッハッ!!これでもうログインする準備が整った!さらばだライム君!良い旅をするがいい!」
二階堂は何か企んでいるかのような悪役の様に急に人が変わる。
光でもうアイツの顔は見えないが、声で十分に表情を察することができた。
「一つ言い忘れていたよ!ここでの出来事は一部を除き私との会話は記憶消去させてもらった!それじゃ、今度こそさらばだ!」
俺の記憶と意識は、はそこで途絶えた。
####
(……瞼が…重いな……。ここは…木の下…?)
俺は起き上がるとふと口から言葉が漏れた。
「……どこだ……ここは?」
今まで生きてきた場所とは正反対の平和な町。例えるならばヨーロッパにありそうな街中のイメージに近い。日本ではありえないような街並みだった。俺はその町の広場の木の下にいたらしい。
(ここがゲームの中……か…)
死んだ直前から今までで覚えている事は少ない。
覚えている事は誰だか分からない人にこの世界がゲームであり、魔法が存在し、固有能力と固有魔法がある事が教えられただけだ。
それと腰に有った刀が無くなり、ハンドガンになっていた。
「そこのアンタ、すまないが少し助けてくれないか?」
「…ん?」
突然話しかけられ、目の前には50代くらいの男性がいた。
見た目はその顔、服装全てが外国のものだった。
「何の用だ?」
「その制服、アンタ軍の人だろ?あの二人を追っ払ってくれんか?」
男性は右20m先にいる制服を着た二人の男性を指差す。
その男たちは何やら楽しそうな雰囲気で喋っているようだ。
「困っているのなら力を貸す。だが一つ対価だ。泊まれるくらいの金をくれ。あと、何故追っ払いたいんだ?」
「なら俺の家に泊めてやろう。で、あの二人だが……。あの二人ははたまに来る厄介者でなぁ。軍で研究に使うといって売り物を盗ったりするんだ」
「なるほど…。じゃあ殺してもいいか?」
「殺し…!?アンタそれは『禁忌の聖書』に触れることになるぞ!」
男性の顔が一瞬にして驚いた顔になった。信じられないという感じにも見える。
「なんだそれは?触れると何かあるのか?」
「『聖書第3番、相手の敵意の無い殺害は如何なる場合においても禁ずる』破ると天罰が下ることになる」
「なら敵意を向けさせたら殺していいんだな?」
俺は二人の場所に行きながらこう叫んだ。
「そこの無能、なに馬鹿みたいな話してるんだ?俺も混ぜてくれよ!」
「あ?」「なんだお前?」
「いやーちょっと市民から苦情がきてるんだけど、さっさとこの街から出てくれない?無能君?」
「ケンカ売ってんのかテメェ!」
一人の軍人Aが右ストレートで殴ってくる。
だがこんなものは遊びに過ぎない。俺は何食わぬ顔でその拳を素手で受け止める。
「なっ…!?」
「悔しかったら俺を殺してみやがれ負け犬が。そこで見ているアンタもかかってこい」
「この野郎……!」
軍人Aは手を振りほどき懐から銃を俺に向けてきた。軍人Bも同じく俺に銃を向けた。
「じゅっ…銃だ!」
「に、逃げろぉぉぉ!」
「きぁぁぁぁぁぁ!」
村人たちは銃を見ると一斉に逃げだし、周りには俺と軍人の二人以外誰も居なくなった。
「……撃つぞ」
「撃ってみろ。当たれば俺は確実に死ぬ」
この挑発にカチンときたのか、二人の口が歪んだ。
俺は二つの銃口とトリガーに意識を注ぎ、両腰のハンドガンを持った。
風向きはほぼ0、このままブレずにくるとヘッドショット、即死。
(…………だが…)
______ドォン!__ドォン!
軍人Aの弾は額、Bの弾は心臓コース。
弾のブレは約3mmと2mm。
右下にかがみ、額の弾をかわし左手の銃で弾を
______撃ちぬく。
そしてそのまま銃口を二人に向け、発砲。
(……チェックメイトだ)
二人の額を撃ちぬいた____
(……所詮は雑兵か)
「素晴らしい銃の腕前ね、貴方」
軍人の死体の横の角から若い女性が顔を見せた。
赤髪とにやける様な顔が確認できたが、体は隠れて見えない。
「お前達は誰だ?」
「私は魔導師のアルマよ。貴方、この子たちが見えるの?まぁそれも含めて凄いわね。でも殺す必要はなかったと思うけど?」
「手加減した事が無いから苦手でな。俺は殺すことしかできない」
「嘘。あの速さがあるならあの二人の後ろに回り込んで気絶させるくらい容易い事でしょう?」
「……俺に何の用だ。用がないのならこの場から去っていいか?」
「逃げた。まぁいいわ。そう言われなくても私達の方から去るわよ。もういいわよ、貴方たち。そこまでにして頂戴。行くわよ」
そう言うとアルマは顔を引っ込め、多くの熱反応が一気に消えた。
恐らく転移魔法でも遣ったのだろう。
(……ん?)
熱反応が一つだけ残っている。
(このシルエットは……誰か倒れているのか?)
軍人の死体はもう消えていた。俺はゲームというものに余り触れてこなかったため、死体はどうなるのかと思っていたがやはり消えるらしい。
俺は死体のあった場所のすぐ横の角を曲がった。
そこには一人の少女が倒れていた。年は15歳くらい、服はボロボロで足枷が付いていた。
(奴隷……か……?)
直ぐに近づき、脈を確かめる。
(まだ生きているな……だがかなり衰弱している。早く手当てしなければ)
「アンタ、あの二人を倒してくれたのか!?助かったよ!」
「なに?」
後ろを振り向くとさっきの依頼してきた男性だった。
気が付くと住民がちらほら見えてきて、最終的には最初に見た街並みに戻るのであろう。
だが今はそんな事を考えている暇はなかった。
「この子を助けてやってくれないか?」
「………?何故奴隷を助けるんだ?奴隷は所詮、くたばればそこで終わりだ」
信じられない、何故コイツはこんな子を助けるんだという顔で喋ってきた。
「…………今、なんて言った」
「だから奴隷は助ける必要がな……………」
俺は無言で腹に拳を突きつけた。
数時間は意識は戻らないであろう。
「この金、借りてくぞ」
俺はこの男の身体を探り財布から半分くらいの金を盗りだし、一番近くの店に走った。
「薬は売ってないか!?」
「うわぁ!えっと……傷薬っすか?それとも風邪薬?それとも……」
「傷だ。ついでに使い方も知りたい」
「選択が早いっすね………えぇっと傷薬傷薬っと……。これっすね。使い方はありませんよ。塗るだけっす」
「わかった。助かる」
俺は店を後にし、全速力で戻った。
(直ぐに助けてやる……もう誰も死なせない…)
頭にはある一人の少女が浮かんだ。だが今は辛い昔の過去に浸っている場合ではない。
俺は少女を抱っこし、この村から出た。
次話から本格的に物語が動き出します!(たぶん←
Twitterで活動していますので、よかったなと思って貰えればフォローのほうよろしくお願いします。
https://mobile.twitter.com/i32m6s777barrel