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全てを貫く破壊の槍(トリシューラ)

魔導書


知識と魔力でできた一冊の魔法の辞書。

古代と現代の魔法を扱う器用さがあるが、どれも並み程度にしか扱えない。

魔法に適正がある人間は15才になると、一冊の普通の辞書に魔力を注ぎ、自分の手で創り出すことが可能になる。

本の内容、外見、大きさも一人一人違い、魔力をどれだけ持っているかで攻撃の威力、範囲が変わってくる。

そうじて魔導書を扱う魔導師は『最も簡単になれるが、強弱者が分かれやすい』とされている。

失楽戦争では、前後衛共によく見るクラスとなっている。

「お前は……何故此処にいる」


「此処にいるってことは、つまりそうなんだろ」


街の入り口に立つザクロ。

その30m先に立つライム。


街は、戦場になりかけていた。


「アリドのメンバーがお前を倒した奴に6対1で挑んだんだ。その結果、俺は死んだ。お陰でこの様だ」


「6対1でさえ犠牲がでるだと……!?結果は……死んだから分からないか」


「まぁそういうだ。それよりどうだ?此処で一戦。……此処で逢ったが百年目ってね」


槍を向けて、構える。

挨拶代わりの戦闘、ザクロとは生前よくやっていた。


「お前もどうせ『神』なんだろ?なら、対等にやれそうだ」


「……神?何の話だ」 


「俺は確かにザクロだ。だがこの世界ではシヴァとなり、今此処にいる」


「……その話は後にしよう。それより質問だ。……お前は嫡か?それとも……」


「そりゃ、きまってんだろ?俺特有の戦えば分かるってもんよ!」


ザクロは目にも止まらぬ速さで此方へ向かう。

それを銃で迎え撃つ。


「遅せぇ!」


簡単にかわし、槍を突き刺せる間合い。


右、左、上、左、下の突き、それをかわす。

俺は下の突きで後退し、発砲。



だがそれを槍で弾き、一旦動きを止めた。


「刀はどうした?狂戦士バーサーカー


「刀は無い。今あるのはこの二丁の銃だけだ」


「俺は全力のお前と戦う事しか望まない。この辺で終わりだ」


槍を手から離すと、金の粉の様なエフェクトと共に消える。

それを見て俺も銃を仕舞う。


「……味方か」


「そうだ。流石だな」


「戦争で待ったは無い。殺れるのなら、私情は持ち込まずそこで仕留める。お前はそれをしなかった。違うか?」


「……お見事。流石はアリド一の切れ者だ。……まぁいい。此処で話すのも視線が痛い。別のところに行かねぇか?」


「そうだな。ならこっちだ」


俺は服屋へと案内した。







####







「ちょ!?へぁ!?ななななんで!?」


「俺の知り合いだ。悪い奴じゃない」


「ちょっと邪魔するぜ」


店からリビングへと入っていく。


「俺は色々聞きたいことがある。お前は?」


奥の椅子に座る。


「俺はある人にお前に逢えば分かるって言われて此処に来ただけだ。今のところ、何も分からないがよ」


ザクロも続いて前の椅子に座る。


「外に人いっぱいいるしここ、一応私の家なんd…」「あぁ?」


「誠に申し訳ございません私はこれで」


ケイトが部屋から追い出されるように出ていった。

ザクロは相変わらず俺と変わらず愛想が無い。


「まず神について知りたい。お前はザクロではないのか?」


「ザクロは生前までだ。皆は基本シヴァと呼ぶ。だが俺は他の神より少し特殊で、神と人間の両方を持つ」


シヴァ……俺の知る限りヒンデゥー教の神であり、破壊、創造、再生、色々な物をつかさどる神だ。


さらにシヴァは最高神の一人と聞く。

王とカードに書かれていたのは最高神だからなのか?


「人間との両方?」


「あぁ。神は基本、何千何億の時を生きる。だが俺は生きて数百年だ。

それでも人間に比べちゃ長いがよ。数百も生きて、暇にならんがいいがよ」


「なら、お前は何故神になったんだ?」


「話せば長くなるぜ。それでもいいか?」


「時間なら気にするな。好きなだけ話せ」


誰が来ても、俺とザクロなら大抵は倒せるはずだ。

今のザクロに勝てない敵など無いだろう。


「俺は魔術師に、身体を改造されたんだ」






####






「では開始します、王よ。二人も、準備はいいな?」


「えぇ」「いつでもいける」


三人の魔導師は頷き、魔導書を開く。


「遺物は槍、神聖なる禁忌を破る者。汝は我と伴に在り、我と同じ運命を辿る者」


「その刄は三つ。一つは欲望、二つは行動、三つは知恵。その力を受け入れ此処に神器を承認する」


「内に全てをようするもの、あまねく広がる破壊者と優雅さをあらわすその名を継ぎ、新たな神となる者を認めるのなら答えよ」


「「「破壊神、シヴァよ!」」」


「うっ!?あぁぁ……ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


目から血が流れ、身体の至るところが悲鳴をあげている。

胸の鼓動も体験した事がないくらい異常に早い。


しかもこの脳に何かが入ってくる感じがした。


(知識……願望……?そうか、これが……シヴァの…)


『良かろう、この身体。最高に美しい』


この声は此処にいる誰一人と違う。

脳内に語りかける様な感じだ。


『貴方なら任せられるわ。器は十分、存分に力を奮わせなさい』


その声が聞こえた時には、俺はもう俺で無くなっていた。

身体が嘘の様に軽い。さっきの痛みも無い。鼓動も平常だ。


「ハァ……ハァ…やった…のか?」


「立て、魔導師。まだ仕事は終わっちゃいねぇぞ」


「……え?」


狂戦士バーサーカーの特定だ。魔導師を集めてさっさと特定しろ」


「わ、分かりました!直ぐに!」


エイダーは部屋から血相を変えて走って出ていった。


「お前らもだ。さっさと動け」


「承知した」「分かりました」


二人もエイダーの後を追うようにして部屋から出ていった。


「やることが無くなったわけだが……どうしたもんかねぇ」


「王よ、お身体の方は大丈夫ですか?」


扉から神父が顔を出す。


「あぁ、問題ねぇよ。お前の言ってた通り、結構理解した。俺が王になった事、自分の事もな」


「それは良かった。では、これからはご自分の判断で行動してください。心の往くままに…」


そう言うと神父は部屋から去っていった。

そんな俺は最初に意識がハッキリした玉座のある部屋へと戻り、特定の結果を待つことにした。



10分後、一人の魔導師が部屋へ入ってくる。


「失礼します」


「何だ?」


狂戦士バーサーカーという人物の顔さえ分かれば今直ぐにでも解析が可能ですので、狂戦士バーサーカーの顔を思い浮かべてください。私の魔法でその顔をコピーします」


「お前の固有魔法か。なるほど、ならいいだろう」


未成年とは思えないガタイ、身長。黒髪の短髪で、あの無表情の強面を頭に思い浮かべる。


「『完全模写インストール』……分かりました。直ぐ解析に入ります。恐らく一瞬で終了しますので、待っていてください」


「あぁ、期待しているぜ」


俺は玉座の間から出て、直ぐに狂戦士バーサーカーの場所に出向けるように外へでた。


その解析は一瞬で、玉座の間から離れた俺も追跡してきたのか、俺を追いかけて魔導師が話しかける。


「結果が出ました。隣の国の大きな街、ミッドガルドにて存在を確認しました」


「なるほど……なら出向いてやろうじゃねぇか。騎兵を連れてこい」


「一人で行かれるのですか?それはあまりに危険だと…」


「神の俺に近づこうと思うようなやつなんざいねぇだろ。用意しろ」


「……分かりました。今すぐに」


1分後、二頭の馬を引き連れた兵士が俺の前で止まる。


「王よ、お待たせいたしました。目的地はミッドガルドと聞いております。どうぞ後ろに」


「よろしく頼む。出来る限りの早さで着けるといいんだが」


「承知いたしました。それでは振り落とされないよう、掴まっていて下さい」


俺はミッドガルドという街へ向け、騎兵と一夜も寝ることなく目的地へむけて前に進んだ。






####








「って事で今に至る」


「なるほど……。俺とは格が違う。俺が目覚めたのは小さい街の広場だったな。後、騎兵はどうした?」


「騎兵は此処にいても大丈夫だっていうから街の外に待機させたぜ。我が国の3番目の騎士って自分から言ってたし、大丈夫だろ」


「まぁいい。お前の用件はなんだ?俺に用があるんだろ」


今知りたいような事ははあまり無い。

今度はアイツが聞く番だ


「いや、お前と逢えば何かが分かるって誰かから言われたんだけど……何も分からねぇ……ん?なんだ?」


カードが緑色に光った。今日二回目だ。


「またか?」


俺はザクロを見る。


「来ただけで何もしてねぇよ!」


俺はカードを取りだし、確認した。


『堕天使の存在を上空にて確認。数は6体。討伐報酬は一体につき100万』


「堕天使……!?」


「俺も肉眼で見るのは初めてになるな。……行くのか?」


「当然だ。放ってはおけない」


俺はすぐさま玄関へと足を踏み出す。


「金が欲しいだけじゃねぇのか?」


「今の所持金は5000円も無いからな。要らないと言えば嘘になる」


「まぁいい。死んだ者どうし仲良くやろうぜ」


俺たちは玄関をでて、街の安全をまず確認した。



……やけに静かだ。誰もいない。予備兵は堕天使を狩りに行ったのだろうか?


「妙だな」


「あぁ。討伐に行ってるなら行ってるで戦闘をしてる街の外の音が聞こえるはずだ。だが全く聞こえねぇ」


俺達は街の入り口まで来て止まる。

この先は地獄かもしれないと感じたからだ。


「ザクロ、どうする?」


「流石に6体相手はキツいな……。しかもアイツ等、飛びやがるから俺は槍を投げて無理矢理当てるしかねぇ」


「まて、声が聞こえない……つまり全員が死んでて戦闘が終わってる可能性は考えられないか?」


カードが光ってから此処へ来るまで、俺達は二、三言話して歩いて此処まで来た。


つまり光った瞬間みんなが一斉に街の外へ出たとしたら、可能性はあるのではないかと。


ザクロが家に入った時、ケイトは家の前に人が沢山いると確かに言っていた。この家から街の外へは近い。

なら全滅する時間は少なからずあると考えてもいいのではないか。


「行ってダメなら戻る。俺等なら出来るだろ」


「まぁ…そうだが」


「じゃあ行くぞ。3……2……1……」


その掛け声と同時に、足を踏み出した。




題名っぽくなってきた。


更新日時はTwitterで報告します。よければフォローよろしくお願いします。


https://mobile.twitter.com/i32m6s777barrel

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