18話 魔導書
魔導書屋の中に入ったが、そこには本が1冊も無かった。
「本がどこにも無いのだが?」
「それはそうですよ。いくら安いとは言え魔導書ですよ? 普通の本よりは高いんですから、普通の本屋のように置いておいて盗まれでもしたらお店が赤字ですよ」
「そう言う事か。なるほど」
「では、まず魔導書屋の利用の仕方から説明島しようか」
「たのむ」
「わかりました! 魔導書屋は、こちらにあるカウンターの受付の方にみたいに属性と魔法の階級を伝えてカタログを見せてもらいそこで気に入った本を購入と、言うふうになります」
役場の受付のような所が5ヶ所程あり、3ヶ所には他の客がいるようだった。
「魔導書は1冊に付き1つの魔法しか載っていないのか?」
「1つしか載ってないのもあれば複数載っている物もあります。例えるなら、初級魔法の魔導書は複数載っている物が多く、上級魔法の魔導書は1つしか載っていない。と言う感じです」
「大体分かった」
「他に質問はございますか?」
「ない」
「それではカウンターの方へ行きましょうか」
「ああ、そうだな」
そして、端の空いているカウンターの所へ2人で移動した。
カウンターには誰もいなかったので、机に置いてあった呼び鈴をエリスティアが鳴らした。
すると、すぐに店の奥から店員がでてきた。
「いらっしゃいませお客様。本日はどのようなご要件でいらしたのでしょうか?」
エリスティアは何も言わずに蓮人の方を見ていたので、蓮人は自分の要望を伝えた。
「火魔法の初級と中級のカタログを見せてもらいたい」
「かしこまりました。少々お待ちください」
そう言って受付の人はカウンターのしたから50ページ程の本とそれよりも少し薄い本を取り出して渡してきた。
「こちらの薄い方が火魔法の初級のカタログで、こちらの分厚い方が中級のカタログです。気になる事や気になる商品がございましたらこちらの呼び鈴でお呼びください」
言いながらカウンターのブースの端にある呼び鈴を指さしていた。
「了解した」
「それではごゆっくり」
そう言い残して店の奥に戻って行った。
カタログに目を移すと、見開きで1冊の魔導書の何の魔法が載っているか、いつ書かれたか、誰が書いたのかが書いてあった。
「ふと思ったのだが、初級魔法より中級魔法の方が種類が多いんだな」
「そうですね!中級からは付与系の魔法も入ってきますからね、そのせいで量が増えるんですよ!」
「付与系以外は、やはり中級は初級の上位互換なのか?」
「大体そんな感じです。そう言えばレントさんって魔法についての知識がまったくと言っていいほどありませんよね? 上級魔法が使えるのに… 何故なんですか?」
何て言うべきだろうか? 勇者召喚に巻き込まれた、とても言うべきだろうか?何かめんどくさい事になりそうな感じがするから却下するとしよう。
他には… 上級魔法こそ史上にして至高!他の魔法なぞ知らん! このような感じか? ハハッ、ないな。
だとすると、記憶喪失で気がついたらサーレイに拾われてたけど、何故か魔法の使い方だけは分かるんだ。これで良いのではないか? よし、そう言う事にしておこうではないか。
「我には記憶が無いのだよ、ここ数年の記憶が。気が付いた時にはサーレイ達に助けて貰っていた。そこで我に残っていたものは、名前と今使っている魔法の使い方だけだったのだよ」
「そ、そんな事があったのですか… 何かすみません。こんな事聞いてしまって…」
「案ずるな、大したことではない」
「それならいいのですが…」
少し重い空気が二人の間を包んでいた。
エリスティアは、自分の質問がデリケートな部分に触れることを、知らずとわいえ聞いてしまった事に多少の罪悪感を感じているようだった。
「何かお気に召す物がございましたか?」
割と時間が経っているようで、受付をしてくれた人が戻って来ていた。
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