もしもお硬い部長とオタクの部下が異世界に…?
暇つぶしに書いた黒歴史確定小説第1弾です
「尾田、そこの資料取ってくれ」
そう言うのはこの会社、株式会社サイの部長、片井一胤37歳、1人称は私。仕事熱心で超お硬い人である。嫁がいたが頭が超硬いせいで2年前に離婚された。ざまあみろw
「わかりましたぁ〜、今行きますー」
そう返事するのは私、尾田九郎24歳、1人称は僕。アニメゲームが大好きなオタクだ。(画面の中の娘と)結婚してから6年になる(ドヤァ)。
「なあ尾田」
「はい、なんでしょー?」
「…そのちゃらんぽらんな言葉遣いどうにかならんのか、聞いててイライラする」
「はい、分かりました。今直しました」
「それでいい」
「あ、部長ー、この資料机に置いときますねー」
「直ってないっ!」
そう言うとトイレに行くために歩いていた部長は足を少しもつれさせた。ちぇっ、転ばなかったなー、つまんないなー。
ちなみに部長、超硬いくせにツッコミはちゃんとしてくれる(その時だけ1人称が俺になり超お硬い人格は太平洋に墜落する、本人は気づいてないみたい)。ありがたや。
なんとか転ぶのを避けた片井は尾田の口調を直させるのを諦めてため息をついた。
「部長最近元気ないですよねー、何かあったんですか?」
「何かあったもへったくれもあるか! ここ半年の業績は最悪、嫁には逃げられる。おまけにお前のそのイライラする口調! これで元気を出せと!?」
「まあまあ落ち着いてー、リラックスは大事ですよ〜?」
「リラックスしてる暇などない! 業績をもっと良くするためには1秒でも惜しいのだ!」
そういう片井の怒声がオフィス内に響く。周囲の人々は迷惑そうに片井と尾田を見る。
「またあの2人よ…」
「本当にうるさいわよね…なんとかならないのかしら」
そうモブOL Bが呟いた瞬間、片井と尾田の頭のあたりからどこから来てるのか分からないアナウンスが流れた。
【片井様、尾田様、これより貴方方を王国《ラグナロク・オブ・ジ・アポカリプス・ゴッド・ファイヤー・レジェンド・ブレイブ・ハイパー・スペシャル・タナ
「「国名長いわ!!」」
多分初めて部長と気が合った。
「しかもなんだよそのいかにも ぼくのかんがえたひっさつわざ 的なノリで作られた名前! 絶対その国に住む人々の気持ち考えて作ってないよね!? 僕だったら絶対に隣国の《ネセル》に引っ越すよ!」
「いや隣国の名前は《ハーベスト》だろ普通に考えて! いや俺が考えたんだからきっとハーベストなんだ!」
「突っ込むとこそこなの!?」
と部長と言い合いしていると謎のアナウンス…天の声(仮)とでも呼んでおくか、が介入してきた。
【2人とも落ち着いてください! 隣国の名前は《ラヴアンドピース》です!】
「「知るかボケェェェ!!」」
【なっ!? その言い方は酷いじゃないですか! 折角この私が直々に話しかけてるというのに!】
「というかアンタ誰だァァ!」
【私? そうですね……】
そう言うと天の声(仮)は考えこみ、20秒程してから言った。
【『天の声』です】
嘘だよねそれ絶対今考えたよね! というか天の声(仮)がついさっき1回登場したきりもうお役御免になったよ!? 天の声(仮)が何も悪いことしてないのに地獄で泣いてるよ!?
まあそういう話は置いといて、だ。今重要なのは天の声と会話が出来るということだ。
というわけでちょっと変な天の声との会話に挑戦してみることにした。
「コホン、えー天の声さん?ちょっと聞きたいことあるんすけど」
【なんでしょうか?】
「さっきの王国《ラグナロク以下略が〜、って言ってましたけどその続きってなんです?」
【分かりました、続きを言いましょう。えーでは失礼して。これより貴方方を王国《ラグナロク・(中略)・タナトス・アサ
「「だから国名はいいって言ってるんだよ!!」」
【ええー……】
天の声の発生源辺りからしょぼーんの顔文字が降ってきそうな声だった。というか空気だった部長が何気に復活してるし。
【仕方ないです、用件だけ伝えます。片井様、尾田様、貴方方を王国へ送還します】
「そうそう、それでいいんすよ……王国?」
【はい、ぶっちゃけると異世界ですね】
「「…………………」」
えーっと、つまり? いつものように部長と言い合いしてたら異世界に飛ばされかけてるってこと? それって………
「異世界行けるってことなのか……?」
「いやだから天の声もそう言ってるだろーが」
おお! まじか! 異世界は本当にあったのか!
と浮かれている僕をよそに部長は天の声に話しかけた。
「なあ天の声、なぜ私と尾田なんだ? 尾田だけでもいいだろう?」
【それには深い事情がありまして……】
「なんだ? 言ってみろ」
【…………………】
「聞こえないのか?なぜ私と
【ああ、聞こえてます、聞こえてますよ】
「なら言え、今すぐに」
【……………気まぐれです】
「…………………」
あ、部長のパソコンフリーズしてるよ……強制終了強制終了っと。
そっちじゃなくてこっちをなんとかしてくれ……という部長の心の声を聞いたような気がした。部長?あれは処理が重くてフリーズしたように見えるだけ、すぐに元に戻るよ、多分。
【片井様〜?】返事がない
【片井様〜〜?】返事がない
【片井〜!】やっぱり返事がない
【……仕方ないです。尾田様、片井様と共に王国に旅立って貰います】
「あ、ここで僕に振るのか。まあいいでしょう、異世界とやらに行ってやりますよ! サラダバー諸君! 私は旅立つぞぉー!」
「あーはいはいいってらー(ねえ聞いた? あの片井と尾田がどっか行くんだって)」とモブOL A。
「気をつけてねー(聞いた聞いた、異世界とかに行っちゃうんでしょ? これでやっとこのオフィスも静かになるね)」とモブOL B。
……どうやら心配してくれてるみたいだ、良かった良かった。あれっ目から威力0のアクアボール(俺命名)が……
【それでは行きますよ。3,2,1……はっ!】
そんな天の声が聞こえたかと思うと次の瞬間には僕と部長は豪華そうな部屋にいた。
『あっ勇者様がやっといらっしゃいましたわ!』
『本当ですわ、しかも2人も!』
『これでこの世界は救われます! おお神よ!』
お、なになに? 早速歓迎ムード? いやあ照れるなあー。
「よくぞ参られた、勇者方。ここは王国《ラグナロク・オブ
「「またかよ! もういいよ!!」」
あ、部長のフリーズ直った。
「えー……」
その我が王国名を堂々と言おうとしたいかにも国王っぽい人はこれまたしょぼーんの顔文字が出てきそうな声でそう言った………しょぼーん?
「……もしかして僕達を召喚したのってあなたっすか?」
「いや、ワシではないぞ。そなたらを召喚したのはワシの娘じゃ」
あーそういえば天の声って女っぽかったもんね、こんなジジイじゃ断じてないもんね。
「紹介しよう、そなたらを召喚した私の娘、ソフィア・レ
ぷつん
「尾田、何をしている?」
あっ部長……
「え、ええーっと……部長、本日もお務めご苦労さまですー!」
「……(ブチッ)ちょっとこっち来い」
「……はぁーい」
ああまだ1人目のヒロインの名前すら全部書いてなかったのに……! 部長めぇ!
「恨むんなら仕事中に遊んでたお前自身を恨め」
「しょぼーん」
こうして今日も部長に怒られる日となってしまったのであった……
to be continued…?
最後までお読みいただきありがとうございます。もしこんな作品でも評価を頂けることになりましたら連載小説として再投稿します、多分。その際この話は後のフラグとなります、多分。