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100Gのドラゴン  作者: カエル
第六章
59/61

ドラゴンの国10

「くっ」

「焦らなくていい、ゆっくり降りろ」

「ああ」

 足を滑らせないように、慎重に崖を降りるアドにエリアが声を掛ける。その気になれば簡単に下まで降りられるのだろうが、エリアはアドを気遣い、同じペースで崖を降りている。

 ネイドは、もうとっくに下まで降りており、アドとエリアを待っていた。

 崖はほぼ垂直にそびえ立っている。掴まる個所は多いが、それでも足を踏み外せば一気に下まで落ちてしまう。

 決して、アドが崖を降りるのが遅いわけではない。下まで、あっという間に降りたネイドと、涼しい顔でアドのアドバイスするエリアの身体能力が高すぎるのだ。

 崖の上からは、ミリンダとクロが心配そうにこちらを見ている。ミリンダには、クロと一緒に近くにコピルニアモンキーがいないか見張りをしてもらっていた。

 崖を降りている最中にコピルニアモンキーに襲われれば、ひとたまりもない。

 もし、コピルニアモンキーが近くにいれば、ミリンダが大きく手を振って知らせることになっている。しかし、幸いなことにコピルニアモンキーが現れることはなく、アド達は無事に下まで降りる事が出来た。

「ああ、やっと着いた」

下に降りる頃には、アドの体力、精神力は大幅に削られていた。

「頑張ったな!」

ネイドがアドをバンバンと叩く。エリアもアドに続いて、難なく下に降りる。

「疲れただろうが、休んでいる暇はない。行くぞ」

「ああ」

 アドは気力を振り絞って立ち上がる。そして、上で見ていたミリンダに手を振った。全員下に降りたことを確認したミリンダは、安心したように息を吐くと、すぐに近くの茂みに隠れる。ミリンダにはアド達が全員下に降りたら、すぐに身を隠す様にあらかじめ言ってあった。

 コピルニアモンキーの住処かもしれない場所にミリンダを連れて行くことはできない。アド達が戻るまで、ミリンダにはクロと一緒に隠れてもらうことになった。森に隠れるのは、危険も伴うが、それでも一緒に行くよりかはマシだという判断だ。

 ミリンダは、エリアにもらった懐中時計を見る。

『二時間以内には、必ず戻ってくるから。もし、二時間経っても戻ってこなかったら、この子と一緒に島の外に逃げて』

 ミリンダ一人だけなら、クロが背中に乗せて島の外まで連れて行く事が出来る。背中に乗せて空を飛べば、下から見上げる監視船からも死角となるため、突破できる可能性は高い。体重の軽い、子供のミリンダだからこそできる手だ。

 ミリンダが隠れるのを確認し、アド達は遺跡へと向かう。


 遺跡の入り口は、崖から降りて二百メートル程離れた場所にあった。アド達は入り口付近の茂みに隠れ、遺跡の様子を伺う。コピルニアモンキーはいない。

「行ってくる」

 まず、エリアが遺跡の入り口まで走った。

遺跡の入り口には、巨大な柱が二本そびえ立っている。エリアは、物音ひとつ立てずに柱の陰に移動すると、そこから遺跡の中を見る。暫くすると、エリアはアドとネイドにこっちに来いと手招きする。それを見たアドとネイドは素早く、柱の陰に移動した。

「コピルニアモンキーは?」

「いない」

 アドもチラリと柱の陰から、遺跡の中を見る。確かにコピルニアモンキーはいない。

「行くぞ」

 エリアの合図で、アド達は柱の陰から出る。二本の柱の間を通れば、そこはもう遺跡の中だ。


 遺跡に入ると、まず目に入るのが多くの家だ。

 家は石でできており、形は正六面体。窓が二つ、戸がひとつ。そして、屋根には煙突のようなものが付いていた。他の家も外観はどれも同じ形をしている。

家の近くには木が何本も生えており、家に巻き付いている木もあった。

 アド達は、窓から家の中の様子を確認する。ここにもコピルニアモンキーはいなかったので、試しに家の中に入ってみた。

 家の中の物の多くは、石で作られていた。石の床、石で造られたテーブル、石で造られた窯、石で造られたトイレ、さらには、石で造られたベッドもあった。

 大昔、確かにここにヒトが住んでいた。そう思わせる物ばかりだった。

 しかし、今ではツタのようなものが家全体を覆い、壊れた床の隙間からは、植物が芽を出していた。家の近くに生えている木の根が、壁を壊して入り込んでいる場所もあった。

 植物の力は凄まじい。ヒトが手入れしなければ、あっという間にヒトの世界を浸食し、文明を丸ごと覆い尽くしてしまう。

 アド達は、家を隅々まで調べる。もしかしたら、ここに捕らわれたヒト達がいるかもしれないと考えたが、残念ながらここには誰もいない。

 しかし、コピルニアモンキー達が此処を住処にしているのは、間違い。その証拠にコピルニアモンキーの毛があちこちに落ちている。今はいないようだが、いずれ戻ってくるだろう

 家中を見ながら、エリアが呟く。

「作りは、ミクスメイトの物とも似ているが……」

「ミクスメイトって、ミクスメイト文明のことか?」


 ミクスメイル文明は、『トランの民』と呼ばれる民族によって作られた文明だ。

 トランの民は突如として歴史の表舞台に現れた謎の民族で、その出自は定かではない。彼らは、強力な軍事力を有しており、その圧倒的な力で大陸の一部を支配していた。

「ミクスメイル文明は、とても発達した文明だった。軍事力だけではなく、建築技術、医療技術、天文学など、現在にも引けを取らない知識を有していた」

「へー」

 エリアは、ドラゴンだけでなく歴史にも詳しい。ミクスメイト文明の名前だけは知っていたアドは、思わずうなる。

「ミクスメイル文明は、二千年以上の長きに渡り繁栄したが、五百年前にスペリシア人によって滅ぼされてしまった。『トランの民』はスペリシア人に皆殺しにされ、滅亡したとされている。しかし、今もどこかに生き残りがいると信じている者は少なくない」

 アドはもう一度、家の中を見る。

「じゃあ、もしかしてここの遺跡は……」

「それは、詳しく調べてみないと分からんな」

 もし、ここの遺跡が生き残っていた『トランの民』が作ったものだとすると、歴史的な大発見だ。だが、残念なことに調べている時間はない。

「じゃあ、他の場所を……」

 探そうかとアドが提案しかけた時、いきなりエリアに襟首を掴まれた。そして、石のベッドがある部屋に連れて行かれると、その下に押し込まれた。

 ネイドもそれに続き、ベッドの下に潜り込む。

「なっ?」

「静かに!」

 アドの口をエリアが手で塞ぐ。アドがエリアとネイドの行動の意味を理解したのは、その数秒後だった。

「キッ、キッ」

 鳴き声と共に、コピルニアモンキーが家の中に入ってきた。

 ベッドの下からでは何匹家の中に入ったのかは分からない。だが、少なくとも三匹以上は入ってきたようだ。どうやら、出掛けていたコピルニアモンキー達が戻って来たらしい。

 エリアとネイドは、コピルニアモンキーが近くに来たことを察知して素早く、ベッドの下に隠れたのだ。もし、少しでも隠れるのが遅れていたら、鉢合わせしていただろう。

 エリアの素早い判断に感謝しつつ、アドはベッドの下からコピルニアモンキーの様子を伺う。

 家に入ってきたコピルニアモンキー達の中に大型のコピルニアモンキーはいない。通常サイズだ。彼らは、木で作られた籠を背負っており、手には小さな袋を持っていた。

 コピルニアモンキーは背負っていた籠を地面に置き始めた。籠には、何かが大量に入っているようで、地面に置くのも大変そうだった。

 アドは、目を凝らして籠の隙間から中身を見る。すると、籠の中の物が動いた。籠の中身に入っていたのは、生きた魚だ。

 おそらく、漁から帰ってきた後なのだろう。よく見ると、コピルニアモンキー達の体は皆、濡れている。どうやら、ここにいるコピルニアモンキー達はアド達を襲ったコピルニアモンキーとは違うようだ。

 アドは、コピルニアモンキー達はこれから捕ってきた魚を食べるのだろうと思った。

 しかし、何故か、コピルニアモンキーは捕ってきた魚には手を付けずに、手に持っていた袋を広げた。バラバラと袋の中に入っていた木の実が床に落ちる。

 コピルニアモンキー達は、落ちた木の実を拾い皆で分け合いながら食べ始めた。

(どうして、魚を食べないんだ?)

 ここにいるコピルニアモンキー達も先程、アドとエリアを襲ってきたコピルニアモンキーと同じように痩せており、骨が浮き上がっている。彼らが食べている木の実はどう見ても、栄養があるようには見えない。

 何故、魚を食べず木の実を食べるのか?そして、食べないのなら、どうして魚を捕って来たのか?

 アドが、考えていると一匹のコピルニアモンキーが木の実をこぼした。地面に落ちた木の実は転がり、ベッドの下に潜り込む。コピルニアモンキーは木のみを追ってベッドの直ぐ近くやって来た。

 コピルニアモンキーがこのままベッドの下を見れば、見付ってしまう。もし、見付かってしまえば、たちまち仲間を呼ばれてしまうだろう。それは、なんとしても阻止しなくてはならない。アドは、麻酔銃を取り出す。エリアの目がヒトのものではなくなり、ネイドも拳を握った。

 コピルニアモンキーが、ベッドの下に手を伸ばしかけたその時だった。


「コーーーーーーーーーーーカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ」


 不気味な鳴き声が、遺跡中に響き渡った。

 その声を聴いた途端、コピルニアモンキー達の動きが止まった。ベッドに近づくのをやめ、慌てて置いてあった籠を担ぐ。他のコピルニアモンキーも木の実を放り出して、魚が入っている籠を担ぐと、一斉に家から出て行ってしまった。

 コピルニアモンキーがいなくなったのを見計らって、アド達はベッドの下から出る。

「今の鳴き声は?」

 明らかにコピルニアモンキーの鳴き声ではなかった。まるで、地獄からはい出てきた魔物のような、あらゆる不吉を呼ぶような声だった。

 外から見えないように身を隠しながら窓の外を見ていたエリアが、アドとネイドを呼ぶ。

「見てみろ」

 アドとネイドが窓から外を見ると、何百というコピルニアモンキーが物凄いスピードで走っていた。おそらく、他の家にいた者や遺跡のどこかにいたコピルニアモンキーだろう。それが、一斉に遺跡の奥へと向かっている。

 コピルニアモンキーの群れは、アド達に気付くことなく、そのまま行ってしまった。群れが去るのを確認し、家を出るとネイドが呟く。

「何だったんだ?あの鳴き声?」

「さぁな……」

 あんな鳴き声は聞いたことがない。どうやら、コピルニアモンキーの他にもこの島には何かがいるようだ。

「とにかく、行ってみるしかないな」

 何故、コピルニアモンキー達が鳴き声のした方に向かって行ったのかは分からない。しかし、ここに連れ去られたヒト達がいない以上、どの道遺跡の奥には行かなければならない。

「行こう」

「ああ」

 緊張と若干の恐怖を胸に抱え、アド達は遺跡の奥に向かった。


 多くのコピルニアモンキーが遺跡の奥へと向かったが、まだどこかに潜んでいる者もいるかもしれない。アド達は、コピルニアモンキーに見付からないように慎重に遺跡の奥まで進んでいく。

 遺跡の入り口付近は、多くの石でできた家があった。しかし、奥に行けば行くほど家の数は少なくなっていった。その代り、シンプルだった家の形は二階建て、三階建てと豪華になる。そして、遺跡の至る所に生えていた植物も奥に行くにつれて減っていった。

 やがて、家も植物もほとんどなくなった頃だ。続いていた道の先がなくなっていた。

「まだ、下があるのか……」

 アドが溜息を吐く、この遺跡がある場所が、崖の一番下ではなかったのだろうか?

「ちょっと、見てくる」

 ネイドが先行し、下の様子を見る。

 下の様子を見たネイドは数秒ほど、何かに驚いたように動かなかった。やがて、振り返えるとネイドはアドとエリアを呼んだ。大声は出していないが、とても興奮している様子だ。不思議に思いながらも、アドとネイドは下の様子を伺う。

 アドもエリアも驚いた。

 結果として、アドの心配は杞憂に終わった。途切れた道の先は、崖ではなく、坂になっていた。傾斜は急だが、崖を降りるよりは遥かにましだ。

 しかし、アドが驚いたのはそんなことではない。坂の先にある建造物を見たからだ。


 そこにあったのは、巨大な神殿だった。


 巨大で、美しい神殿がそびえ立っていた。おそらく、数百~数千年前の物だろうが、そのあまりの美しさにアドは、目を奪われる。

 神殿は、色鮮やかに煌めいていた。おそらく、宝石がいたるところに埋め込まれているのだろう。地面から延びる階段は、三百段以上ある。階段を上った先には、神殿の入り口があった。選ばれた者しか入ることを許されなかったであろう、神聖な入り口だ。

 神殿に目を奪われていたアドの裾をエリアが引く。それで、アドは我に返った。

「あれを見ろ」

 エリアは、神殿の下を指差す。

アドがエリアの指の先を見ると、コピルニアモンキーの群れが神殿の前にいた。距離も離れているため、コピルニアモンキーは、こちらに気付いていない。しかし、アドからも遠すぎてコピルニアモンキーが何をしているのか、よく見えない。

 アドは、あるドラゴンが吐いた特殊な糸から作られた袋の中から、双眼鏡を取り出した。

 この双眼鏡は、多くのドラゴンベンチャーが愛用していており、多少値は張るが、遠くも綺麗に見る事が出来ると評判だ。アドは双眼鏡を目に当て、コピルニアモンキーの群れを見る。ちなみに、エリアとネイドは双眼鏡を使わない。エリアとネイドは、裸眼で十分見えるからだ。


 上から見ると、コピルニアモンキーの群れは規則正しい正方形の形をしていた。コピルニアモンキーの群れは皆、座り混んで動かない。まるで、何かを待っているかのようだった。

「おい、あれ!」

 ネイドが群れの先頭を指差す。そこには、ネイドが大きな傷をつけた大型コピルニアモンキーもいた。


「コカ」


 突如として、先程の不気味な鳴き声が聞こえた。その鳴き声はアド達のいる場所まで届くほど大きい。


「コカ、コカ、コオオオカカカカカカカカカカ」


 不気味な声は、どんどん大きくなる。アドはその鳴き声が、神殿の中から聞こえることに気付いた。鳴き声はより一層大きくなり、最高潮に達した。その時、神殿の入り口から、鳴き声の主は姿を現した。


 魔物、怪物。そうとしか呼べない姿をその生物はしていた。


 アドは、その怪物を双眼鏡でじっくりと見た。

 怪物の大きさは三メートルを超えており、体は丸みを帯びている。二足歩行をしており、太い腕もあった。腕の先端には、ヒトと同じ五本指の手があった。形もヒトの手とよく似ており、親指のような太い指と他の四本の指が向かい合っているため、物を掴むことが出来そうだった。足は腕以上に太く、鋭い鍵爪が三本生えている。

 しかし、それよりも真っ先に目が行くのは、その生物の頭だ。頭部が体全体の三分の一を占めており、巨大な口の中には鋭い歯と特徴的な歯が見えた。

「コカカカカカカ」

 神殿の入り口で鳴いていた怪物だったが、その鳴き声が突然やんだ。

 次の瞬間、怪物は大きくジャンプした。同時に体から大きな翼が二つ、バサッと広がる。怪物が空中で翼を数回羽ばたかせると、怪物の体は三百段以上あった階段を軽く飛び越え、コピルニアモンキーの群れに降り立った。

 怪物が目の前に舞い降りても、コピルニアモンキーは動かない。そんなコピルニアモンキーを怪物はじっと見つめ、歩き出した。怪物は、コピルニアモンキーを一匹、一匹まるで観察するように歩く。そして、怪物はネイドによって傷を負わされた大型コピルニアモンキーの目の前で止まった。

「コカコカカカ」

 怪物は大型コピルニアモンキーに向かって、大きく鳴いた。それはまるで、叱責しているかのようだった。

 やがて、怪物が口を大きく開いた。九十度近く開いた怪物の巨大な口が大型コピルニアモンキーに迫る。怪物は、どう見ても大型コピルニアモンキーを食べようとしていた。

「ギャアアア」

 恐怖に耐えかねたのか、それまで動かなかった大型コピルニアモンキーは突然、立ち上がり、そのまま怪物に殴り掛かった。

 ヒトの頭蓋骨なら簡単に砕く巨大な拳が、怪物の頭部に命中した。辺りがシンと静まり返る。

「コカ」

 怪物が鳴く。

「コカ、コカ」

  楽しそうに鳴く。

「コカカカカカカカ」

 その鳴き声は、まるで笑っているようだった。

「ギャ……」

 拳を叩きこんでも、なんともない怪物に大型コピルニアモンキーが怯える。怪物に振るった拳はプルプルと震えていた。


「コカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 凄まじい叫び声と共に、怪物の一撃が大型コピルニアモンキーに命中した。

 大型コピルニアモンキーの体は数メートルも吹き飛び、後ろで座っていた痩せたコピルニアモンキーの中に落ちた。数匹のコピルニアモンキーが下敷きとなる。

「キャアアアア」

 痩せたコピルニアモンキー達が一斉に逃げ出した。だが、怪物は逃げ出したコピルニアモンキーには目もくれず、大型コピルニアモンキーに近寄る。怪物の一撃を受けた大型コピルニアモンキーは、ピクリとも動かない。

「コカアアア」

 怪物は、口を大きく開く。そして、大型コピルニアモンキーの頭に齧り付いた。

「コ、コ、コ」

 怪物は、大型コピルニアモンキーを頭から飲み込んでいく。

「コ、ココ、コカカカ」

 やがて、大型コピルニアモンキーの体を丸ごと飲み込んだ怪物は、満足そうに鳴いた。

「コカコカコカカカカッカカカカカカカカカカカカ」

 その不気味な鳴き声は、いつまでも辺りに響き渡った。


 その光景を見ていたアドは、あまりの衝撃に動けなかった。

 あの怪物の口の中には、鋭い歯のほかに特徴的な歯があった。火打石のような、その歯を擦り合せれば、火花を発生させることができる。その火花にガスを引火させれば、炎となる。この特殊な形状の歯は、『火歯』と呼ばれている。


 『火歯』を持つ生物は、ドラゴンだけだ。


 アドは、双眼鏡を外してエリアを見る。エリアの顔は、普段の無表情が消え、驚愕に染まっている。エリアは、しばらく黙っていたが、口を開くとポツリと呟いた。


「何だ?あのドラゴンは?」

 


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