#8ARROGANCE
▼ARROGANCE▼
「一体何処まで続くんだ!?この道は……」
と、ぶつくさ文句を垂れながら歩くルシファー。
「いい加減、先が見えて来ても良いだろうがぁ……」
果てしなく続く石畳。もうこの景色に飽きたとでもいう風に肩の力を落としている。
―この道を行けば、歪みの有る場所に辿り着く……そうすれば、オレの役目も果たせるって寸法だ……―
と、心に誓って歩く事だけが、今のルシファーを動かす原動力である。
「あ〜、早く着きやがれ〜!!」
荒れ狂いたくなって地団太を踏む。
そんな時、霞んだ視界の先に扉を見付けた。
「やった〜!!」
勢い欲走り出す。
『スタッタッ……』と、今さっきまでとは違い、足取りも軽い。
近付く扉。それを押し開けて中に入ると、一人の少女が待ち受けていた。
「『ルシファー』様ですね。感激です!『サタン』様の先名と同じ方にお会い出来るなんて!!」
と言いながら気軽く握手を求めて来る。それに戸惑いながら手を差し伸べる。
「これから、主人、『ベリアル』様に御会いになって頂きます。こちらに来て下さい」
と、石像が入り乱れているこの地を、歩いて案内する。
「あたいの名前は、『タミエル』。以後お見知りおき下さいね。これからの行動のペアとして何かと迷惑かけるかも知れませんが宜しくお願い致しますぅ〜」
と、人懐っこい表情で話し掛ける『タミエル』。
「この奥の郁屋が、『ベリアル』様の部屋です。でもあたい、嫌われてるから……」
というと、少し身を引くようにして、案内する。
「ここからはオレ一人で行くよ…ちょっと待ってな!」
気持ちを察してルシファーは、通路の突き当たりへと足を運んだ。
「ルシファーと言います。中に入らせて頂きます!」
と言うと同時に、扉を開いた。
「ほう、そなたが『ルシファー』か!?」
大きな重りのような玉座に『どしっ』と構えた大男が、左拳で顎を支えながら話し掛けてきた。
―いけ好かねえ奴……―
と、心で思いながら、
「本日よりこの地に入る事になりましたルシファーと申します。以後お見知りおき下さい」
と、ルシファーにしては丁寧に挨拶をする。
「『サタン』様と同じ名前とは……何とも不思議な巡り合わせでしょうかね。これからは私の支配下に加わるのです。
なるべく私の勘に触ることのないようにお願い致しますよ。『ルシファー』?では、下がりなさい…」
とだけ言うと、片手で『ひらひら』とさせながら、この部屋を出て行けと命令する。
「けっ。テメエの顔なんざ、二度と拝みたく無いや!!思いつつ扉を後にした。
「行って来たぜ、なんともいけ好かない奴だよな〜!?」
と、『タミエル』に愚痴る。
「でも、そう会う事ないから、これで一安心だよ?」
と、『タミエル』は返す。
「それじゃ、これから寮に案内するね〜」
気持ちが落ち着いたのか、少し表情が明るくなり建物に案内してくれた。
「こっちが、男子寮、こっちが女子寮」
二つの少し古ぼけた建物二つを指差して説明する。
「朝の八時には、号令があって、起床するようになってるの。それから仕事が始まるから、
それまでに体力を回復しておくようにしないと、次の日にはぶっ倒れちゃうよ?」
との忠告をしてくれる。
「ありがとな」
「ヘへ〜それじゃ今日はこれで……」
足取り軽く去って行く『タミエル』。
―明日からか……この分だと一週聞も必要無かったな―
と、少し安心したかのようなルシファーは、男子寮へと足を運んでいった。