#6FALL LAW
名前が一々変わってるので、ここで整理しておきます。多分読んでると混乱を起こすと思いますので。
天使とか悪魔を知ってる方は判断しやすいのでは?
とも思いますが。念のためです。
「晶=『トロンズ』はアスタルテ」
「要=『ルシフェル』はルシファー」
「結=『トロンズ』は、アスタロト」
「水=『ミズチ』は、トゥナ」
「道=『セラフィム』は、リヴィアタン」
「鎮=『ケルビム』はアスモデウス」
です。登場人物多いのですが、最期までお付き合い頂けると本望です。
それでは、本編をどうぞ。
▼FALL LAW▼
落ちて行った先。その先で、まるで飛び跳ねるかのように身体が浮いた。
各人互いを見回す。
それぞれ、天界にいた時とは違った容貌をしている。髪の色は黒く。翼まで真っ黒く染まっていた。
これが、堕天使かと思わずにはいられなかった。
しかし無事、この地に降り立つ事が出来た事を確認し、安堵の溜息を着いていた時、
「ようこそお越し下さいました」
水先案内人がそう答えた。
「私の名前は、『レテ』です。以後御見知りおき下さい」
「まるで三途の川の様だな」
とは、ルシファーの言葉。
「実際、そうなんじゃないか?」
とは、アスモデウスの言葉。
眼前に広がる川。その水面がゆらゆらと光り揺れている。空は、天界とは異なって、散りばめられた星で光り輝いていた。
「あなた方は、第一級犯罪を犯されました故、この川を歩いて渡って頂き、『サタン』様のいらっしゃるお城まで行ってもらいます」
「『サタン』?」
「この魔界の支配者です」
と、質問内容も前に『レテ』は答えた。
「そこで、これからの使命を全うしてもらう事になります」
「この地での使命とは?」
と、アスタルテが問う。
「それは、『サタン』様がお決めになる事。今の私には想像も尽きません」
とだけ答えて、『レテ』は背後に在る酒屋のような小屋の中に入って行った。
「どうする?行ってみるか?」
と、リヴィアタンが皆に声をかける。
「行かなきゃこの先、路頭に迷いそうだ」
とは、ルシファーの言葉。
それもそうだと川を渡り始めたのである。
川の流れは急で、上手く足が運べなかった。一人トゥナだけが、その水を上手く泳ぎこなしている。
「お前は良いよな……」
と、ルシファーが言う。
「特権ってやつ?」
トゥナは、そう言いながらも、みんなの歩幅に合わせている。
「ほら!あそこにお城が見えるわ」
と、アスタルテが指をさした。
そこには、中世に見られる城のような馬鹿でかい建造物が暗闇に聳え立っていた。
「ほんとだ。あそこに『サタン』って奴がいるのか?」
少し、霧が出てきたのでハッキリとは見えないが、確かに、その城はあった。
「さっさと行こうぜ!時聞が勿体無い!」
と、重い水を掻き分けるようにしながらアスモデウスは答えた。
「オレ達の使命がこの世界でなんであろうと……天界での使命を優先しなきゃな!」
リヴィアタンは伝える。
頷く五人と一匹。その決心は堅かった。
「開門!」
辿り着いた先で、突如響き渡る声。
門の上に控える門番が、ルシファー達を見つけ出して声を上げながら叫んでいる。
暫くすると、その門は開かれた。
ぞろぞろと中の番人が出てきて、四方を取り巻き始める。
「よくお越し下さいました。これより、『サタン』様の元にお導き致します。こちらへ」
導かれるまま、足を運んだ。暗い通路に灯っている蝋燭の火が揺らめき、ただ歩く靴の音だけが辺りに響いている。
「『サタン』様!お連れ致しました!」
「入るがよい!」
扉の臭より、地の底から聴こえてきそうな太い声が聞こえる。
『ギーッ』と闘かれる重たそうな扉。その奥には白い布が天井より吊り下がっていた。
「よくいらっしゃった。『アスタルテ』『アスモデウス』『ルシファー』『アスタロト』『トゥナ』『リヴィアタン』よ!」
その布に光が灯り、スクリーンに映し出された『サタン』の姿は、年老いた感じで骨張った骨格をした、顔中髭で覆われた老人であった。まるで、この魔界を支配しているとは思えない程老衰している。
「驚いた事であろうのう?」
サタンはゆったり構えて問う。
「ええ」
と、アスタルテはそれを流すように答える。
「もうこの地を治めてから、数千年が経つ。その間、我は一度も転生してはおらん」
その事を誇りに思いながら答えているようである。
「そろそろ、世代交代の時期だとは思っているのだが……未だそのような人格者に遭っていない」
「……」
沈黙する五人と一匹。考えている事は一緒だろう。こんな世界に君臨したくは無い。
「さて、本題に入ろうか?そなた達には七つの地を治めている領地に赴いてもらおう。おお……今では六つか……そして、今その場で起こしている使徒の手伝いをしてもらおうか?」
「六つの地?」
「そうだ。今、この魔界は、天界に対し戦いを挑もうとしている……それも生き延びるために」
「それは?」
「創造神は何を考えているのか……この宇宙は拡大し、増長し始めた……もう、この魔界はその片鱗にある……」
「それは、この魔界が圧迫し始めていると言う事なのですか?」
と、その真髄を聴きたくアスタルテは問う。
「そうだ。何時も創造神に連絡をしているのに答えが返ってこない……何が行われているかさえも解からない。お前違は何か知らぬか?」
『サタン』は逆に問いかけてきた。
「いえ?残念な事に知りません。ですが、ここのところ、大きな地震が起こっています」
と、天界での事をアスタルテは伝える。
「そうか。予兆が天界にも及んでいるのだな……」
「それで、オレ達の行き場所を教えてくれないか?『サタン』様?」
時間の節約を考えて、リヴィアタンが、問いかける。
「そうであったな……それではこの部屋を出て、番犬『ケルベロス』の後に着いて行けばよい……
さすればその地に繋がる道を案内してくれるであろう」
「わかった。そうする」
簡潔に手っ取り早く、ルシファーは答えた。
「くれぐれも宜しく頼むぞ」
『サタン』は彼等を見送るようにして、その映像は途絶えた。
「取りあえず行ってみるか?」
「六つの地……に減っているらしい……これは何を意味するのか……」
アスモデウスは呟く。
「予想するに、歪みの数だ……行くしかない。今回に限っては、一人で行動する事になるな……」
人数を数えて、リヴィアタンは答える。
扉を開けた。すると、三つの頭を持った番犬がそこに控えていた。
「こちらに着いて来て下さい」
と、その番犬は話をした。その後を歩く。
暫く歩くと、七つの扉が有る部屋に通された。
「『アスタルテ』殿は、こちらの扉より入って下さい」
その扉の前に歩いて行って指図する。
その扉には『慣怒』と刻まれた文字があった。
その扉を開く。その先には業火の道が続いていた。
「それじゃあ、お先に」
とだけ告げて、アスタルテは中に入って行った。
「『ルシファー』殿は、こちらの扉より入って下さい」
と、その扉の前に歩いて行って指図する。
その扉には『傲慢』と刻まれた文字があった。その扉を開く。その先には石畳の道が続いていた。
「じゃっ!お先!」
と軽く手を振り、ルシファーは中に入って行った。
「『アスタロト』殿は、こちらの扉より入って下さい」
その扉には『怠惰』と刻まれた文字があった。その扉を開くその先には、泥沼の様な道が続いていた。
「それじゃあ、失礼します」
とだけ告げて、アスタロトは中に入って行った。
「『トゥナ』殿は、こちらの扉より入って下さい」
その扉の前に歩いて行って指図する。
その扉には『貪欲』と刻まれた文宇があった。
その扉を開くその先には、氷の道が続いていた。
「一人か……まっいいか〜」
とだけ呟いて、トゥナは中に入って行った。
「『リヴィアタン』殿は、こちらの扉より入って下さい」
と、その扉の前に歩いて行って指図する。
その扉には『嫉妬』と刻まれた文字があった。
その扉を開くその先には、雷鳴轟く道が続いていた。
「一人か、やっと清々する……」
とだけ告げて、リヴィアタンは中に入って行った。
「最後に『アスモデウス』殿は、こちらの扉より入って下さい」
と、その扉の前に歩いて行って指図する。
「こっちの扉は?」
と疑問に思い問う、アスモデウス。
その扉には『暴食』と書かれていた。
「その扉……その地はもう閉鎖されましたので、こちらの扉をお願い致します」
その扉には『淫欲』と刻まれた文字があった。
その扉を開くその先には、内臓のようなぬめった道が続いていた。
「最後か……」
と独り呟いて、アスモデウスは中に入って行った。こうして、各々が導かれるようにその扉を開け各地に散って行ったのである。