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ARK  作者: 星河 翼
15/16

#15A CONFERENCE

▼A CONFERENCE▼


晶達が中央部に着いたのは真昼であった。

着いた早々晶は、会議の申し出を、『トロンズ』指揮長に預け、暫くの間中央部の自分の部屋に身を置いた。

それから、夕方になった頃、会議の申し出の許可を得る。しかし、

「緊急とあっては、今すぐ取り持ちたいのだが、何分すぐに集められる事はできないとの判断が下ったそうだ……明日の朝、八時に、決行する事になった。それで良いな?」

晶の部屋のモニターに指揮長の姿が映っている。

「已むを得えません……ありがとうございました」

と、晶が言うとモニターが切れた。

「晶ちゃん……」

落ち込んでいる晶に、結が声をかける。

「仕方のない事です……確かに緊急であろうと、者が集まらない事には話がつきませんから……」

「オレ達、気にしてないぜ!成るようにしかならないさ……それに、晶ちゃんに全てを委ねてるんだ。信じてるよ!」

と、要は盛り立てようとする。

「ごめんなさいね。一分でも早く貴方達を地球に返してあげたいのですが……でも、心配しないで。確実に私が貴方違を生き還らせてあげます!」

晶は、白分の部屋の玉座で決心を改めた。

「今日は、何もする気がしないわ……各自部屋を用意させて頂きました。そこで一時の休息を取って下さい。明日は荒れた会議になる事でしょうから……」

そういうと、近衛兵が要と結を各部屋に案内するように取りはからった。

「それじゃ……又、明日」

二人は静かにこの場を離れた。


しかし、晶は眠れない夜を過ごしていた。こんな夜更け前に、『ウリエル』から連絡が入ったのである。

「夜分済みません……明日の朝、『ケルビム』殿が、そちらに到着する事でしょう。それと、最後の一人『セラフィム』殿が帰還されました。が衰弱が激しいため、こちらで『ラファエル』殿の元で、身柄を預からせて頂いております。もし回復されたら、そちらに向かうようにと事付けましょう」

「そうですか……無事に帰還できたのですね。良かった……承知致しました、『ケルビム』殿。『セラフィム』殿の件は確かに聞き届けました」

「そちらは如何です?会議の方は……」

少し語尾が弱い『ウリエル』。

「今日の所は遅くなったため、明日決行する事になりました。さすがに緊急会議は無理だとの判断です……ところで、『ウリエル』殿……先に伝えなければならない事。こ度の件、会議の中で発言しなければなりません。それが気掛かりです。お許し下さいますでしょうか……?」

モニター前で晶は、その事に関して『ウリエル』を巻き込んでしまう事を気に掛けていた。

「『トロンズ』長。その事は、もとより承知しておりますよ。そうでなければ、貴方に力を賃す事など有るはずがないではありませんか?」

『ウリエル』は優しく微笑んでいた。

「そんな私の事を気に掛けるより、明日の会議の事を心配して下さい。今回の件で得た情報。それをいかに、他の者達に伝えられるか……それが、全ての鍵なのですよ!?」

「ええ……分かっているわ。罪を被っても確かな情報を伝えます。もう、後戻りは出来ないのですから……全ては、この天界のためを思ってする事。その事だけを念頭に置いておきます。色々ありがとうございました……」

 頭をモニター越しで下げる晶。

「礼には及びません。正しい事をしたと私自身、誇りに思っています。それでは……」

 と、一礼をする『ウリエル』の姿を後にしモニターは切れた。


―『ウリエル』……―


 その心遣いを思い晶はモニター前でうつ伏した。

 そんな夜、ついに晶は眠る事が出来なかったのである。


「『ケルビム』殿、間に合って良かったですわ」

 と、晶が語りかけた。

「正直、もう会議は終わったものと思っていました。間に合って本当に良かったです」

 明け方、晶の部屋に鎮は訪れていた。

「これで、『ケルビム』の七人の内の一人の長に有効な発言を求められます」

 晶は一礼をしていた。

「本当だったら、『セラフィム』も連れて来れるはずでしたが……」

 と、問いかけた。

「知っています。『セラフィム』殿の事は『ウリエル』殿にお聞きしました。休養を取って頂かなければ、こちらが気になります」

 そんな折、

「あっ、鎮兄!」

 と、言う元気な要の聴こえて来た。

「おっ、久し振りだな?」

 と、久方ぶりの兄弟の再会。

「道兄は?」

「ああ、ちょっと体調が悪いから、此処に来れなかった」

「えっ?体調が!?」

「まあ、すぐに良くなるから心配はいらない。それより、今日の会議、ちゃんと的はしぼれているか?」

 と、話をはぐらかす鎮。

「もちろん。報告書にはちゃんと記入済みだよ!」

 と、子供扱いする鎮に少し不機嫌な要。顔に出やすいタイプであった。

「後、一時間もすれば、会議場に向かいます。準傭は良いですね?」

 晶はそんな二人を微笑ましく見詰めながら問う。

「もちろん!」

 要の元気な声が部屋中に響き渡った。


「それでは、『トロンズ』の長よ。発言を御願い致します」

『トロンズ』の指揮官が、この場を取り持つかのように会議は始まった。

 辺りは、簿暗いホール。

 そのホールにスポットライトのような光が晶の元に落ちた。

「今回会議を持ちましたのは言うまでも有りません。此度の、天界を襲っている地震と歪み事についてです」

 その台詞に、辺りがざわめく。

「数千年前の聖戦からこちら、一度もなかったこの事態、奇異な事ばかりです……しかも実際、地球の時の流れが今までのこの天界のそれと、異なって来てもいるという事態も発覚しました」

 瞬く間に、辺りは騒然とした。

「それは本当なのですか?『トロンズ』長?」

 と、一人の『ケルビム』長が発言した。

「本当です。しかもそれだけではありません……魔界の時の流れにも、異変が起きているのです」

「何故そんな事が分かる!?誰一人としてその地を訪れた者などいないはずだ!」

『セラフィム』の長の発言。

「それは、罪だとは判っていました。しかし、歪み探索の命を持って、私達は、西の地『白虎』を守る『ウリエル』殿に頼み、魔界へと足を運んだのです。その時に発覚したのがこの事です……」

「なんだと?誠か!?それが真であるならば、裁かれなければならないぞ!」

 と、『トロンズ』の総指揮官がそんな話は聞いていないという風に立ち上がった。

「申し駅ございません……これは私の単独行動です……しかし、今一度、この天界を思っての行動だと信じて頂きたい!」

 と、片手を胸に持って行気話を押し進める晶。

「ここに来ている私の指示で動いた者達の発言を、お聞き下さい。そしてこの会議の主旨を御考え頂きたい!」

 すると、後方より、スポットライトを浴びるかのように『ケルビム』が現れた。

「お聞きの通り『ケルビム』の七天使長であるオレは魔界に行って来た。そして魔界の総帥『サタン』に会い見えた」

「『サタン』に?」

 ざわめく者達の声で、鎮は暫しそれが止むのを待った。

「その『サタン』は、七つの歪みを魔界人に守らせていたのは事実だった。しかし、それは、我々天界人を仇なすために作られた物では無さそうだった。既に老い衰え、神の意向が何なのかを知りたいがため、その歪みを確保しているようであった。そして何度も、神に連絡を付けているとそう言っていた」

「『サタン』が何故、神の意志を?」

 と、『ケルビム』指揮官がそう問い返した。

「それは、魔界にも訪れている異変のためだった。そしてビッグバンの勢いに押しつぶされるという奇異な問題であった」

「魔界に異変?そんな話はこの天界に届いてはおらぬぞ?」

『ケルビム』総指揮官は問う。

「それはおかしい……誰かがそのやり取りをしているはずだ……魔界の総帥『サタン』にも判らない異変を、誰かが握りつぶしたとしか思えない!」

 ざわめくホール内。

「魔界と交信が出来る指揮は誰がとっているのでしょうか?」

 今度は結がそのスボットライトを浴びて立ち上がった。

「それは、監査室第二監査使長の私です」

 と、その者が立ち上がった。

「通信があったはずです……覚えはないのですか?」

 その言葉に、

「いいえ有りません……ただ、おかしな通信は有りました。それは確かに魔界からのものでした」

「何故報告を怠ったのです?」

「それが……通信に全て乱れが有り、悪戯であると思ったからです」

 一同がなんと言う事だと声を上げた。

「今すぐ、魔界と連絡をとれ!」

『トロンズ』指揮官がその監査室第二監査使長に通達した。

「はっ。了解いたしました!」

「この件に関しては、連絡を待つしかありません……取りあえず話を進めて下さい」

『トロンズ』指揮宮が結に依頼した。

「はい。それでは、次の議題に入ります」

 と、結は一歩前に踏み出した。

「ボクも、魔界に降りた一人ですが、歪みを見付け、『ウリエル』殿に報告致しました。そして、速やかにその歪みは潰されました。しかし、日ごとに天変地異。地震は酷くなっています。それは何故に起こるのでしょうか?これが、サタンの企みであるならば、逆でなければなりません。つまり、この世界自身の崩壊を意殊するのではないだろうかと言う疑問に触れたのです」

 そこで、要が席を立ち上がった。

 すると、スボットライトが要の上に落ちて来た。

「あれは誰だ?」

 という人々の声。

「オレは、ルシフェル。今の議題を取り上げている者達と一緒に魔界に降りたアークエンジェル。身分違いだとは思ったが、敢えてこの列に参加させてもらった」

 すると、誰もが言葉を返して来た。

「不吉な……」

「『サタン』の名前と同じ者だ……」

「信じられるのか?」

 辺りが騒然としていた。しかし要は、そんな事に気を取られる事なく、話を進める。

「オレは思った。この世界の『創造神』は、本当はこの世界を壊すつもりではないのか?と。それは、創造神が一言も助言をくれない所から来るものだ。自分で創った世界にピリオドを打とうとしているのではないのか?そうでなければ、神の声が聞こえてこなければ変だ!しかし、その声は無い。そうですよね?」

 と、『トロンズ』指揮官に視線を送った。

「今言った者の言う通り、神の声は有りません。しかしそれは今始まった事では無い……神がいらっしゃるはずの玉座は、千年前の『聖戦』以来ずっと空なのです」

 辺りはざわめきの嵐。

「では、確認しましょう。今一度、神の御言葉を戴きに行くのです。そして、真偽の程を訊くのです!」

 要は言い終わると、席に着くために下がった。

 中央に集まった、『トロンズ』『ケルビム』『セラフィム』の、総指揮官達三人。何やらもめているらしかった。

 そこに、先程の議題に上った監査室第二監査使長が駆け込んで来た。

 そして話は決まったようである。

 程なくして、『トロンズ』総指揮官がスポットライトを浴びて立ち上がった。

「分かりました。では、お祈りをしに行く事を許可します。ただし、無礼な行為はしないで頂きましょうか?」

 議題の決定に静まるホール。

 そして、晶達一行は、『神の玉座』へ行く許可証を手に入れたのであった。


 世界樹を上り始めた先、その、『神の玉座』へと足を運ぶのには骨を折る思いであった。

 どうやらここだけは、天使の羽も使えない領域であるらしい。しかも、近代的な仕組みも施されていない。

 本当に毎日誰かしら『神の玉座』に訪れているとは思えなかった。

 石は風化されている箇所がいくつも有る。

 だんだんと細くなって行く階段。下を見るとその高さに目眩がして来る。

 一行は、気が遠くなる程の気持ちを押さえて一段一段上って行った。

「一体何処まで続くんだ。この階段は……」

 一番初めに、要は息を切らしながら問う。

「夕方に着けば良いくらい高い所に有るんじゃ無い?」

 とは、結。

 その言葉に『ゲッ』と嫌そうな顔を見せる要。

「少しは我慢しろ!果て無い道と言う訳じゃ無いんだ!」

 根性が足りないぞ!と言いた気に鎮は後に続いている要を一瞥した。

「へーい。判ってるよ。もう〜!」

 しかし、こう何処までも続かれると、変な気分になって来る。それでもペースを保ちつつ足を動かした。

 そして夕刻になると、やっと、その頂上を頂く門が目の前に見えて来たのである。

「第一の扉を開くわよ!」

「第一の扉?」

「そう。ここには、七つの扉が有るの。七つ目のその奥に、『神の玉座』は有るの」

「うへーっ…まだ歩くのか?」

「そう大した距離は無いから、頑張りなさい!」

 晶は呆れ果てながらそう言い残すと、大理石で出来たその扉を開く。

 中に入る四人。進んで行く度にだんだん小さくなる扉。最後の禁断の七つ目は、腰を曲げて入るくらいの大きさにまでなった。


「これが玉座?」

 初めて入ったその部屋は、神どころか、虫一匹いなかった。

「果てしなく広がる床に、たった一つの椅子……そして、空」

 今や二つ目の太陽が沈みかけようとしていた。

「やはり神はいらっしゃらない?」

 晶はため息を漏らした。

「おーい神よー!出てこい!」

 不躾にも要は叫んだ。

 しかし、誰一人としてこの場に現れなかった。

「こうして初めてこの目で見たけど、噂は本当だったのね?」

「どうしよう?晶ちゃん……このままだと、夜になっちゃう……」

 弱腰で結が晶に両いかける。

 時間は三十四時を指し示していた。

「已むを得ないわ……祈りましょう」

 そう言うと、玉座の前に跪く晶。

 それに習い、要、結、鎮は文句も言わず跪く。


 それからどれだけ経ったのであろうか?時間さえ忘れて熱心に祈っていた。すでに日は沈み、

 二つに重なった月が東の空から昇ろうとしていた。しかし、そんな事にも気付かずに四人は跪いていた。

 静かであった。何も聴こえてこない。だんだんと、その静けさが心地よくなって来た。

 しかし、跪いた足が痺れて来る。

 でも誰一人声をあげる事は無かった。

 あの要でさえも……


 静かに時は流れて行った。


 そして、月が天空に辿り着いた時、一筋の光が玉座に降りて来たのである。

『よくぞ参られた、我が愛し子達よ』

 その声は、ゆったりとした、凛とした声であった。

 途端、面をあげる四人。

 光の粒子で固められたその姿は、流動しながら揺らめいていた。

「貴方が、『創造神』ですか?」

 と、そのまばゆい光に問いかける晶。

『そう、我こそはこの世界の『創造主』だ』

「では問いたい!今、この天界。そして魔界をも揺るがす異変。これは貴方が起こされている事なのですか?」

 と、鎮は両手を広げて問いかける。

『いかにも。我が意志で起こしている事である』

「それは、何故です?」

 結が問いかける。

『この世は乱れた。そのため、我が手で壊そうと思った』

「乱れた?」

 要が問う。

『創造主の事をも忘れ、したい放題……あまつさえ、自分の手で考える事を忘れてしまった者違に制裁を加えなければならない』

「制裁……」

「『マザーコンピューター』などと言う物に全ての管理を任せているとは……天界も堕ちたものよのう。確かに、上手く管理は出来ているようだが……そんな甘いことでは、その内何もかもが堕落してしまうのでは無いかな?』

「お言葉ですが……あれを作るように命じたのは、他ならない、貴方様ではございませんか?」

 晶が問いかける。

『いや?……作る事を認めたに過ぎない』

「認めた?」

『そうだ、我が命じたのでは無い。認めたのだ……いつでもそうだ……我の意志を伝える時は無い。意志とは己の中で起こすもの……私はそれを認めるに過ぎないのだ。何か間違っているか?』

「それでは、お訊きします。『創造神』とは、如何なる事をなされているのか?」

 鎮は問いかけた。

『我が使命は、万衆の意志の道先案内だ』

「しかし、此度の事はどう説明するのです?貴方自身の意志なのでしょう?」

 結が問う。

「そう。それが、この世界を創った者の責任だと言う意志が働いたからだ』

「では問います!この世界を救う手段は、あるのですか?」

 要が問う。

『この世界を救う手段?……『創造主』である我が意志が、それを無効に。と思う意志に変われば、救う事も可能であろう」

「では、可能性が有ると言う事ですか?」

 晶は問う。

『その答えを導き出せるのであればな……』

「オレ達の意志を一つにし、この世界を救う事を考えます。オレ達は生きたいんだ!」

『生きたい……?』

「そうです。生きてもっと楽しい事、辛い事を経験したい!」

 結が言う。

「しかし、多くの魂は、死を望んで天界を蠢いている……我が目にはそう映っているが?』

「そんな事は無い!みんな必死なんだ!ただ選ぶ道を聞違えるから死を選んだりする。殺しあう!だけどそれは……いろんな思いがあってそこにあんたが言っている意志と言うものが働きかけて、そう言う者が出る!ただそれだけだ!」

 要は神の御前で有るのも忘れ叫ぶ。

「思い……使徒や、人は、その思いが無くては生きられないのか?そんなふうに私はこの世界を創ったのか?』

「そうだ……あんたは、そんな事にも気付かないでいたのか?頂点に立っているからってなめるんじゃないぞ!」

 要はだんだん腹が立って来ていた。

『お主、どこかで見た事が有るな……名は何と言う?』

 突然『創造神』から質問を浴びせられ、

「オレは、『ルシフェル』。この天界の名前でいうならな!」

「要、言葉を慎みなさい!」

 流石に、晶はそんな要に言葉を浴びせた。

『よい。威勢が良いのは良い事だ。『ルシフェル』と言ったか?』

「そうだ」

『千年前の事を思い出す……『サタン』となった天使。我が意志を裏切り、天界から堕天した使徒も、『ルシフェル』と言ったかな?その世継ぎか?』

「えっ?」

 その言葉に驚く要。

「『サタン』も、此度の件で、我に連絡しようともがいていたな……しかし、我が意志は許す事が出来なかった……あの『聖戦』でどれだけの被害があったかなど、とうの昔の事のように忘れておったからな……こんな時にだけ、我を頼ろうとは、虫が良すぎると言うものだ!』

 と言い切る『創進神』。

「ちょっと待った。オレが、『サタン』の世継ぎと言うのはどう言う事だ!」

 と、詰め掛けるように立ち上がった要。

「自分の使命を忘れたのか?名前は引き継がれて行くのだ。お前はその内『サタン』になる……』

「莫迦な!オレは、地球に戻って結城要として生きる!魔界など行かない!『サタン』そんな事知ったこっちゃない!」

『ほう?それがお前の意志か?それも良かろう……使命は果たせないが、本当にそれで良いのか?魔界の帝王になれるのだぞ?』

 その問いかけに、

「オレは、結城要だ!それに、魔界に興味も無い!」

『ふむ……面自い。天使としての自覚が無い者がいるとはな』

「それを言うなら、ここにもいるぞ!」

 と、鎮が言う。

「ここにも!」

 結が言う

「私もその類に入るかも知れませんね?」

 晶も言う。

『不届きものばかりと言う訳か……それもお前達の意志であると考慮に入れても良いのだな?』

「もちろんだ!誰の指図も受けない!」

 要は頷いた。

『ふははははは……神をも恐れないその態度、大変気に入った。もし、お前達が、この話をただの使命として終わらせようとしたのであれば、このまま我が意志は、亡びの道を綴ったであろう……しかし、そう言う訳ではなかった……思い留まろう。我が世界にピリオドを打つ事はこれにて止めよう』

 と、『創造神』は語った。

『想いか……よく分かった。一度じっくりと人界を観察してみるとしようか。楽しかった。それでは時が来た。また会う時があったらその時に会おう!』

 そう言った『創造神』は、光の螺旋を描き、天上へと還って行った。後に残された昌達は、その有様をいつまでも眺めていたのである。

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