転生?
気がついたら真っ暗なところにいた。
ふわふわとしていて、何も見えなくて不安なはずなのに、大丈夫なんだと安心する。
私の名前は、白浜蒼。
アラフォーと呼ばれる38歳で職業はトリマー。
のはずなんだけど、ここはどこなんだろう?
手足を伸ばせば伸びきる前に壁?にぶつかる。
壁は建物のように固くなく柔らかい。
とはいえ、突き破ることなどは出来そうにないが。
なんか、面倒臭くなってきた。
とりあえず寝よう。
壁の外の音が時々聞こえてくる、なんか会話っぽいけど知らない言葉だ。
まさか?いや、まさかね?いゃいゃあるはずないだろ?
そりゃ、ゲームもファンタジー小説も好きだったし、それなりに持っていたよ。
歳の割りに、子供っぽいのは自覚あったし、妄想というか空想というかも良くしていた。
あくまでもそれは、無い事を前提としたものだ。
だから、気のせいだよ気のせい!
ね!?気のせいだよね!
誰に言ってるんだろう。
もう、ほんと寝よう。
明日はここから出れるかなぁ。
苦しい。息ができない。まぶしい。
「ほぎゃぁ~。あぅ・・んぎゃぁ・・・」
「あらあら、元気ですねぇ。女の子ですよ」
少ししゃがれた、女の声がした。
これで確定した。
「まぁ、ほんとに・・元気な子・・」
疲れきった若い声がした。
きっと私の母親なんだろう。さっきのは看護師だろうか?それとも産婆か?
ともあれ、私は生まれたようだ。
暗いところ、お腹の中にいたころは良く解らなかった言葉だが、生まれてみれば意外に解るようだ。
ちょっと安心した。