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一話 事の発端

短めの連載モノです。

の降る、12月。

一年の終わりが間近に来た今。

恋人たちが互いの体温で体を温めながら街を行く姿が日常となったこの街で。


寒空の下、僕は・・・・・恋をした。




12/4


順次「じゃあ、俺達の成功を祝って。乾杯!」

沙羅「かんぱーい!」

蓮哉「乾杯!」


ガラガラのファミレスで、三人の明るい声が響く。


順次「いやー。今回は手際よく・・そつなくこなせたな!」

蓮哉「そうだな。まぁ危ない瞬間もあったけど。」


俺は、そう言って隣で嬉しそうにジュースを飲み干す沙羅を見た。


沙羅「え、何?私の事?」

蓮哉「そうだよ。お前、左羽の部分少し脆かったぞ?飛ぶときにかなり揺れたのはそのせい。」

沙羅「あー。やっぱ?」

順次「まぁ、いいじゃん?成功したんだしさ。これで次への意欲はバッチリだ。」

沙羅「だよねー。そうだよねー。蓮哉は細かい事気にしすぎなんだって!」

蓮哉「・・・そうかよ。」


細かい事、と言われると確かにそうだったかもしれない。

確かに、コレに関してはかなり神経質になりすぎる、と昔言われた事があった。


・・・何が成功したって?

それは俺達の部活の一大イベントだ。


たった三人の部員による、こじんまりとした部活動。

名前は「大空研究部」。部長は俺。

・・・まぁ、こんなネーミングだから俺達、幼馴染三人しかいないんだが。

何をするかって?飛行機を作るのさ。

紙じゃないぜ?遠隔操作が可能な超小型飛行機を作ってるんだ。

システムは俺と順次。ボディー全般は沙羅の役割だった。

今まで失敗ばかりだったテスト飛行が、やっと成功したんだ。

今日はその祝いと次への意欲上昇のためのパーティ。らしい(順次曰く)


順次「次は、もうちょっと長く飛んでられるようにしねーとな。」


順次が、頼んでいたステーキを小さく切り分けながら言った。


沙羅「そだね。もうちょっと削って軽くして・・軽量化した方がいいかな?」

蓮哉「・・多分な。システムの面はもう完成してるし、後はボディだな」

順次「次はいつにする?こうなったら近い内にした方がよくねーか?」

蓮哉「次・・か。」


俺は考える。次。

大空研のために使える時間が減るのではないか、と・・。


順次「どした?」


考え込んだ俺を不審に思ってか、声を掛けてきた。


蓮哉「あ・・いや。まあ、その内ってだけだな。詳しい日時はまだ未定だな」

順次「そうかぁ?お前がそういうならいいけどさ。」


順次は切り分けたステーキを俺と沙羅に小皿で渡した。


蓮哉「さんきゅ。」

沙羅「・・・・・ねぇ、蓮哉。」


受け取ったステーキを口に運ぼうとした瞬間、沙羅が呼んだ。


蓮哉「・・・何?」

沙羅「あのさ・・。昼間、カフェ通りでさ。九条先輩と何話してたの?」

蓮哉「―――」


言葉が詰まった。

見られた?よりにもよってコイツに・・?


順次「何だ、お前カフェにいたのか?何話してたんだよ?」


順二がニヤニヤしながら言う。


蓮哉「・・・いや、別にこれといって。ただ、帰りにカフェに誘われただけだよ。」

沙羅「九条先輩が・・?・・・・何、どうして蓮哉を呼ぶのよ。」


いつの間にか不機嫌な沙羅の声だった。


蓮哉「知らねーよ。・・とにかく、別に何も無かったって。それにお前が気にするこっちゃねーだろ?」

沙羅「そう・・・だけどさ。」

順次「オイオイ・・。落ち着けよ。沙羅も何怒ってんだよ?蓮哉が気にするなって言ってんだから。大丈夫だろ?」

沙羅「順次まで。あの九条先輩が、蓮哉を呼んだんだよ?何も無い訳ないじゃん!」


「あの」

そう、「あの」と言われた様に。九条という先輩にはいい噂を聞かなかった。

百人と付き合って全員振ったとか。後輩に嘘の告白をして遊んでいる、だとか・・。

その噂通り、今まではいいイメージを持っていなかった。少なくとも「今日」までは。


沙羅「・・・・・帰る。」

順次「沙羅・・。一体どうしたってんだよ?」

沙羅「別にいいでしょ。・・気分悪くなったから帰るってだけ。・・・また明日ね。」


沙羅は、机の上に広がった食事をほったらかしにしてカバンを掴むと、足早にファミレスを出て行った。


順次「・・・ハァ。沙羅の奴。そんなに怒んなくてもいいだろうに・・なぁ?」

蓮哉「そう・・だな。少し、言い方キツかったかな・・・。」

順次「お前まで・・。今日は祝いだぜ?まぁ今日はこんな状況だから祝いとは言えないけどさ。ま、しきり直しでまた祝うか。」

蓮哉「・・悪い。俺のせいで。」

順次「気にすんなよ。俺達の仲だろ?お前が大丈夫って言ってるんだ、それを信じるよ」

蓮哉「ありがとう。・・落ち着いたらさ、話すから。もちろん沙羅にも」


順次は、笑いながら「そうしろ」と言って沙羅の分の食事を食べ始めた。

おれもそんな順次に感謝しながら食事に手を出した。



そして思い返す。昼間。カフェでの出来事を。








九条「蓮哉君。あの・・私の―――彼氏に、なって・・くれないかな。」






1-END

ブログにて他小説と一緒に更新しています。


http://kurokibuta.blog133.fc2.com/


よければ、ご覧下さい。

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