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35億年前地球に植物が発生した。これは地球の歴史において最も偉大な進歩と言って良いだろう。

植物には脳機能は無いが常時睡眠状態でも栄養を太陽光から得ることが可能で、動き回る必要がない。

日本ではそんな植物が実らせる花に意味を持たせた。それに願いを乗せ続け500年。2215年に第三次世界大戦が起こり生態系が完全に崩れた。


2240年


「人類の発展により排出されるガスによる気温上昇や資源の枯渇が地球を脅かしているからね、10年前に終戦した戦争はなんとか勝ったけど、影響はまだ残ってるよね。そのせいであと何年かで火星に移住する計画も進んでいるし、地球の生態系は終わったんだ。」

昼ごはんの後5限。爽やかな春風と陽気な心地が眠気を誘う。

「蓮見!寝るな!」

周りからクスクスと笑いを堪える声が聞こえる。

「新田の授業で寝るなんてお前勇気あるな笑」

「次の体育の授業に向けて体力を温存しとかないとだから」

「バカタレ!」新田により勢いよく頭を引っ叩かれた。

新田は体罰を辞さない過去からタイムスリップしてきたような教師である。滅びてしまえ。


1年で少しの間ある春という季節は植物を最も開花させる。近年春は1ヶ月もない季節になってしまった。

少ない期間で植物は精一杯に花を咲かせている。


「高校生にもなってドッジボールかよー。」

「やってらんねー。」

所々から不平不満が漏れている。

かく言う自分も体育でドッジボールなどゴメンだ。帰宅部である俺からするとドッジボールなど危険極まりない。野球部かバスケ部にしばかれて終わりだからだ。なるべく元外野になりたい。


昇降口を出ると春らしく咲き誇る桜の木が出迎えてくれる。桜が咲く通りを抜けてグラウンドに向かうのだが、桜が咲いている通りに似合わない枯れかけの木がある。

こんな木あったっけ?そんな疑問を胸に抱き通り過ぎ去ろうとしたその時、

「危ない!」唐突に後ろから叫び声が耳に届いた。

「前から車が!」

宅配便の車が徐行して近づいてきた。

道の真ん中を譲り、端にある木に足が触れた。

「たすけて!」頭の中に知らない男性らしき声が響いた。

周りにこんな甲高い声を出せる奴はいない。

「僕と契約して戦って!」

ああ、幻聴か。俺の頭の中のきゅう○いが魔法使いにしたがっているらしい。

「君は選ばれたんだ!」

うん、確実に聞こえてしまっている。

「ごめん、体調悪いから保健室行くわ。先生に伝えといて。」斜め後ろを歩いていたクラスメイトに伝言を頼み、1人向かう先を変えて保健室へと向かった。

「誰ですか?俺に話しかけてくるのは」

周りに人が居ないから良いものの誰かに見られたら病院送り間違いなしだ。

「僕たちの代表として戦ってほしいんだ。」

だから誰だよ...

「誰ですか?」

「…あー、君たちからは木蓮と名付けられてるよ。好きに呼んで!」

木蓮?何それ?

「あんまりピンときてないみたいだね。さっき触れた木あるでしょ?あれが僕。」

あー。俺は頭がおかしくなったみたいだ。

「評判の良い精神科を調べないと。」

「君の精神性に異常は無いと思うよ。あと、頭で念じれば僕に通じるよ。」

先に言ってくれや。

「そんなことより僕たちの代表になって戦争に勝ってくれ。君が戦ってくれないと僕たちは全滅してしまうんだ。」

木蓮を代表して戦う?意味が分からない。

「もちろん僕たちも全面的に協力するよ。」

植物の全面的な協力って何ができるのだろうか。

「君に力を与える。その力を使って他の植物の代表者を殺してほしい。」

物騒な話だ。そもそも何故急に喋れるようになった?

なんで争わなくちゃいけない?

「君たち人間によって500年も願いを込められ続けてきたんだ。思念を抱いてもおかしく無いだろう?争う理由は君たちが争う事で僕たちも犠牲になっているんだ。自分の種を守るためには他の種を蹴落とさなくちゃいけないんだ。」

じゃあなんで俺なんだよ。

「君なら勝てるかもしれないと思ったからだよ。」

こんな状況じゃヤバそうだから家に帰るか。


そういえば戦争って誰が代表か分からないと始まらないんじゃ?

「敵が近づいてきたら僕が教えるから心配しないで。」

というか戦い方も分からない。喧嘩も人生であったか思い出せない程度だ。銃火器でも海外から購入した方がいいんじゃ?

「僕の能力を使えば問題ないよ。」

能力?どんな能力が使えるの?

「硬くなるのと、身体を変形できるぐらいかな。」

終わった…。弱すぎる。銃火器決定。


「さっそく敵がものすごいスピードで近づいてきてるね。」

逃げます。

「無理だね。敵が速すぎるよ。あと1分で接触するよ。」

いかにも横揺れが好きそうな世紀末兄ちゃんがバイクに乗って猛スピードで接近してきた。

「おい、お前依代だろ。何の植物の力があるんだよ」

知らない言葉が出てきた。依代?力の使い手の名称だろうか。キツっ…。

「教える訳ないだろ。」

「俺は竹だよ。力を試してみたいんだよ。申し訳ねーけど犠牲になってくれや。」

勝手に開示してきたよ。アホやんこいつ。

ただ、戦いたく無いがこんな奴の犠牲なんてまっぴらだ。どう抜け出そうか。

「戦いなんてしないで同盟を組まない?2人なら絶対に勝てるって。」

「お前みたいな雑魚仲間にいらねーよ。」

即答…。次の作戦を考えないと。

「マジで許してください。まだ死にたく無いんです!」見事な土下座をお見舞いした。これならどうだ?

「じゃあそのまま動くんじゃねーぞ。楽に殺してやる。」

人を殺すことに躊躇ないのかよ。時代錯誤だろ!


「能力を使うかい?」

うん。仕方ない。

身体の中心部から熱が引いていくのが分かる。腕に花の紋様が浮き出てきた。


「おら死ね!」

手を竹槍のように変形させた兄ちゃんが自分に向かって殴りかかってきた。

「ハハっ俺つえー!」

寸前のところでなんとか避けれた。

あぶね!刺さったら死んじゃうじゃん!

でも、攻撃方法が思いつかない…。硬くなるだけて。とりあえず殴りたいけどあんな攻撃をしてくるとなると迂闊に近づけない。

「遠距離攻撃が出来ないと勘違いしてんのかてめえ!」

足元の土が盛り上がっている。そんな攻撃もできるのかよ!?

胴体のど真ん中を竹が貫いた。

竹が刺さっている状態でも致死量であろう血飛沫が飛ぶ。

「死ぬ…」


「この程度じゃ死なないよ。植物の生命力も受け継がれるからね。」

痛い痛い痛い痛い痛い。土手っ腹を貫かれた。人生で味わったことのない痛みが身体を支配する。

やばい…。死なないけど痛すぎて動けない。

「頑丈な奴だな。さっさと死ねよ!」

兄ちゃんの前腕が竹槍に変形した。

やばいやばいやばいやばいやばい。動け動け動け動け動け。

「もう腹の穴は閉じてるよ。もう痛くないはずだけど。」

腹の穴が閉じたからって痛いものは痛い。こいつ人間の事分かってないな。

身体の変形の仕方もイマイチ分からない。勝ち目が薄すぎる。もう一発くらって死んだフリするか?

「死ね!」

竹が首を貫通した。

胴体を刺された時ほど血は出ないが、息が吸えない。

「死んだか…?楽勝じゃねーか!」

去るまでこのまま待つか。

今更ながら腕が棍棒のように変形した。

明確にイメージ出来れば変形できるのか?

腕を鋭く尖らせるイメージ…。

腕が不完全でありながら尖った。これなら殺れる!

呼吸がままならないなら数秒でいいから止めろ。起き上がってから殺すまで相手に悟られるな。確実に殺せ。

頭がやるべき事をハッキリ認識した。


目の前の敵を殺せ!


血が足りず、フラフラになるが、ゆっくり立ち上がり油断している敵の背中を足音を立てずに追った。


グチュ

肉を鈍く千切る音がした。右腕に温かく、柔らかい感触が襲う。

「は?ゴフッ。死んでなかったのかよ、」徐々に力が抜けて、体重をこちらに傾けているのが分かる。

この腕が木の幹みたいに太くなれば確実に殺せるかな。

それをイメージした瞬間、自分の腕が内臓を掻き分け広がっていった。

念のため脳も潰すか…。

血まみれの腕を引き抜き、棍棒のような形にして、頭を目掛けて振り下ろした。


「やはり僕の目に狂いは無かったんだ。

君は適応の天才だ。」

「これから他の種を全滅させるまでよろしくね、

蓮見尚樹。」







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