表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦わない召喚士エレノアの異世界記録 ――名を受け取り、世界に触れる  作者: ぷにゅん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/114

幕間 呼ばないという選択

ルミナは、呼べば来る。


それは、今も変わらない。

名前を呼べば、応えてくれる。

境界の向こうで、必ず気配が返る。


それでも――

エレノアは、呼ばなかった。


理由は、はっきりしている。

呼ばない方がいい、と分かっていたからだ。


「……頼らない、っていうのとも違うんですよね」


独り言のように呟いて、

エレノアは小さく息を吐く。


ルミナは、力だ。

相棒だ。

心強い存在だ。


でも、それ以上に――

エレノアが前に進むことを、ちゃんと信じてくれる存在だった。


「……今、呼んだら」


自分が、少しだけ楽になる。

迷いも、不安も、半分になる。


それを、ルミナは分かっている。


だからこそ。


「……今は、来ないでいい」


その言葉は、拒絶ではない。

距離でもない。


信頼だった。


呼ばなくても、関係は切れない。

見えなくても、失われない。


それを、お互いが知っている。


「……私が、一人で立てる間は」


そう呟いた瞬間、

胸の奥に、静かな温度が残った。


不安が消えたわけじゃない。

怖さも、迷いも、ちゃんとある。


それでも――

誰かに預けなくても、崩れない自分がいる。


その事実を、

ルミナはきっと、喜ぶ。


「……大丈夫」


誰に向けた言葉でもない。

でも、確かに届く相手がいる。


境界の向こうで、

呼ばれなかった気配が、静かに応える。


応えないことで、応える。


それが、

今の二人の距離だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ