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戦わない召喚士エレノアの異世界記録 ――名を受け取り、世界に触れる  作者: ぷにゅん


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第193話 地下の呼吸

石の階段は、思っていたよりも長かった。


十段。

二十段。

三十段。


やがて地上の光は背後で小さくなり、松明の灯りだけが頼りになる。


足音が石に響く。


カツ…カツ…カツ…


誰も余計な言葉を発さない。


地下の空気は、冷たかった。


だが湿っているわけではない。


むしろ乾いている。


長く人が出入りしている空気だ。


グレンが前で言う。


「かなり整備されてるな」


レナが槍を肩に乗せたまま答える。


「森の地下にこんな場所があるとはな」


カイルが後ろで松明を掲げながら言う。


「古いですが……崩れていません」


「定期的に補修されています」


つまり。


誰かが使っている。


今も。


階段の終わりが見えた。


石の床。


広い空間。


遠くまで続く通路。


ヴァルクが低く言う。


「止まれ」


全員が足を止める。


リサが前へ出る。


しゃがみ込む。


床を触る。


そして静かに言った。


「足跡」


レナが聞く。


「最近か?」


リサは頷く。


「数日以内」


グレンが笑う。


「やっぱり人がいるか」


エレノアは床を見ていた。


石に刻まれた溝。


そこを流れる光。


魔力。


ネファルが低く言う。


(地脈)


ラグナが言う。


(吸ってるな)


ヴェルナシアが囁く。


(風が流れない場所)


エレノアはその溝を指でなぞる。


冷たい。


だが奥に強い流れがある。


森の地脈がここに集められている。


カイルが言う。


「この通路……」


「魔力の導線です」


ヴァルクが周囲を見る。


「つまり」


「奥に装置がある」


レナが槍を回す。


「壊せば終わりか?」


ヴァルクは首を振る。


「そう簡単ならいいが」


通路は三つに分かれていた。


左。


右。


そして正面。


リサが静かに言う。


「音がする」


全員が耳を澄ます。


遠く。


かすかな音。


カイルが言う。


「……魔力の共鳴」


エレノアは目を閉じる。


感じる。


呼吸。


地下の奥から。


弱い。


苦しそうな。


ネファルが言う。


(召喚存在)


ラグナが低く言う。


(捕まってる)


ヴェルナシアが囁く。


(鎖の風)


エレノアの胸が痛む。


確かにいる。


召喚存在。


だが。


契約ではない。


拘束されている。


レナがエレノアを見る。


「感じるのか?」


エレノアは頷く。


「……奥です」


ヴァルクが決める。


「正面」


グレンが斧を握る。


「行こう」


遠征隊はゆっくり進む。


石の通路。


魔力の光。


静寂。


やがて。


光が見えた。


通路の奥。


広い部屋。


ヴァルクが手を上げる。


「止まれ」


全員が壁に身を寄せる。


グレンがそっと覗く。


そして。


眉をひそめた。


「……これは」


レナも覗く。


目を見開く。


部屋の中央。


巨大な結晶装置。


そして。


その中心に。


召喚存在。


光の獣。


鎖で固定されている。


魔力が吸われている。


カイルが息を飲む。


「……本当にやってる」


エレノアはその姿を見た瞬間。


胸の奥が締め付けられた。


召喚存在。


苦しんでいる。


ネファルが低く言う。


(怒るか)


ラグナが言う。


(燃やすか)


ヴェルナシアが静かに囁く。


(嵐を起こすか)


エレノアは小さく首を振る。


「……助けます」


その時。


部屋の奥から声がした。


「誰だ」


全員が凍りつく。


影が動く。


人影。


外套の男。


松明の光の中に、その姿が現れた。


男は遠征隊を見ていた。


そして静かに言う。


「……なるほど」


「君たちか」


地下施設は。


もう見つかっていた。


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