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戦わない召喚士エレノアの異世界記録 ――名を受け取り、世界に触れる  作者: ぷにゅん


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第179話 暴走

森は、また静かになっていた。


さっきまで残っていた光の粒も、もう消えている。


レナが周囲を見回す。


「……これで終わりか?」


カイルが首を振る。


「まだです」


「地脈の流れが、乱れています」


ヴァルクの視線が森の奥に向く。


「何か来る」


その瞬間だった。


――ズン


地面が揺れた。


エレノアの足裏に、重い振動が伝わる。


次の瞬間。


森の奥の木々が、まとめて倒れた。


レナが叫ぶ。


「来るぞ!」


巨大な影が、木々の間から飛び出した。


それは、獣だった。


だが普通の獣ではない。


熊のような体。


背中には黒い結晶。


目は赤く濁っている。


カイルが息をのむ。


「……召喚獣!」


エレノアの胸が強く打つ。


でも、すぐに気づく。


違う。


これは召喚獣ではない。


召喚獣だったものだ。


(壊されてる)


ネファルが言う。


(無理やり動かされている)


ラグナが低く笑う。


(面白ぇ)


レナが槍を構える。


「来るぞ!」


巨獣が地面を蹴る。


一直線に突進してくる。


速い。


レナが前に出る。


槍を振る。


金属音。


だが。


「硬い!」


結晶が刃を弾く。


巨獣の腕が振り下ろされる。


レナが横に飛ぶ。


地面が砕ける。


カイルが叫ぶ。


「結晶が魔力を増幅しています!」


ヴァルクが指示する。


「動きを止めろ!」


レナが再び突っ込む。


槍が巨獣の足を狙う。


だが巨獣は止まらない。


エレノアは一歩前へ出る。


(ラグナ)


ラグナが笑う。


(やっとか)


エレノアの周囲に炎が走る。


地面から、赤い光が立ち上がる。


次の瞬間。


炎の柱が弾けた。


そこに立っていたのは――


ラグナ。


炎の召喚存在。


人の形。


だが目の奥に、火が燃えている。


レナが思わず言う。


「……人?」


ラグナが肩を鳴らす。


「人じゃねぇよ」


声は低い。


そして笑う。


「燃やす方だ」


巨獣が咆哮する。


ラグナは前へ歩く。


ゆっくり。


炎が足元から広がる。


巨獣が突進する。


ラグナは避けない。


拳を振る。


炎が爆発する。


轟音。


巨獣の体が吹き飛ぶ。


森の木が数本、折れた。


レナが呆然とする。


「……なんだ今の」


ラグナは笑う。


「火だ」


巨獣が立ち上がる。


結晶が赤く光る。


暴走している。


ネファルが言う。


(壊すな)


ラグナが舌打ちする。


「めんどくせぇな」


エレノアが言う。


「止めてください」


ラグナが振り返る。


「殺さねぇってことか」


「はい」


ラグナは笑う。


「面白い」


巨獣が再び突進する。


ラグナは今度は横に動く。


炎が巨獣の足元を包む。


だが燃やさない。


熱だけ。


巨獣の動きが鈍る。


その瞬間。


ヴァルクが動いた。


結晶を狙い、剣を振る。


カイルが魔力を流す。


レナが槍を突き込む。


結晶が砕ける。


巨獣の体から光が漏れる。


咆哮。


そして――


崩れた。


体が光の粒になる。


静かに空へ昇っていく。


森が静かになる。


レナが深く息を吐く。


「……召喚獣って、こんな戦い方するのか」


ラグナが肩を回す。


「普通はもっと燃やす」


エレノアが言う。


「今日は違います」


ラグナは少し笑う。


「優しい召喚士だな」


ヴァルクが地面を見る。


結晶の破片。


魔法陣の痕跡。


そして低く言う。


「……これは兵器だ」


カイルの顔が青くなる。


「召喚獣を武器にしている」


エレノアは南を見る。


胸の奥で、何かが確信に変わる。


これは偶然ではない。


誰かが。


召喚を壊している。


ヴェルナシアの声が風の中で響く。


(嵐は始まった)


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