閑話)なろう系コミカライズ作品は、なぜ唐突に連載が止まるのか
かつて、漫画の連載は「狭き門」だった。
誌面には限りがあり、1本の新連載を立ち上げるのに、広告費なども含め、数千万円規模の費用がかかるケースもあったという。―― しかし、現在では大半の漫画家の主戦場が「ウェブ」となった。
ウェブにおける新連載では、非常に制約が少ない。
連載に関しては、あるだけ配信することができ、低コストで配信できることから、新規の配信サイトもタケノコのように乱立(この表現合ってるのか?)。かつては狭き門だったデビューの間口も広がり、「プロとアマの境界」も非常に曖昧なものとなってきている。
コストをあまりかけていないものには、出版社・配信者側も愛が薄れる。巧く契約をちょろまかせば、原稿料もPVによる「歩合」とすれば、売れない作家へのコストは、ないも同然のものとなる。
なろう系作品のコミカライズは、大半がウェブ媒体による配信。なので、おそらく作画の人々の収入の下限値の平均は、極めて低いものに設定されている。そしてPV数やDL数という数字を突き付けられ、稼げている一部の人気作画者たちとの天と地の差とも言える収入差に絶望する。そうなってくると書くモチベーションも続かない。
この構造、何かに似ているなと思ったら、正規社員と非正規労働者のそれが頭に浮かぶ。漫画に関していえば、おそらくその実態は、この対比よりもはるかにひどいはずだ。
しかし、ウェブでの配信は「良い面」のみがクローズアップされ、弱者は永遠に弱者のまま、消えていく。
雑誌での打ち切りなら、数週前からちゃんと計画的に強引な形でも終わりが示される。しかし、ウェブではそれがない。
いい所で何年も止まったままの作品があまりにも多い。
配信会社側の愛もないので「止まっている理由」すら明示されないまま、読者を置いてけぼりにする。
作画者の体調不良、モチベーション低下、その他もろもろの理由にしたって、せめてそれらがちゃんと明示される配信会社以外は、やはり漫画には触れてもらいたくない気もしてくる。




