魔女と見つけるコーヒーブレイク
「わたし、魔法の使えない魔女なんだ」
バイト先に来る、少し変わった格好の常連客は────そんなことを言った。
非現実的なことは信じていない男子高校生・笹倉一輝は、少し古めの喫茶店でアルバイトをしていた。
従業員の数が少なく、シフトは先輩である藤川有栖と二人きりのことがほとんど。
一輝は、そんな有栖に密かな想いを寄せる。
だけども、有栖の興味はとある常連客に向いていた。
ハロウィンでもないのに、いつも魔女の格好をしている女の人。
ファンタジー世界を夢見ている有栖は、その人が本物の魔女かもしれないと言い出して。カフェデートをしてあげるという有栖の提案と引き換えに、一輝は彼女の正体を確かめることに。
ただ、その常連客と関わる中で思わぬことを知る。
彼女が口にしたのは──有栖に迫る危機だった。