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16. ハーブティーは大惨事

ミリアムのカフェは開店から数週間で大人気となり、町中から多くの客が訪れるようになった。特に、私が独自に調合したハーブティーは評判を呼び、連日満席の状態が続いていた。


思い返せば、私は以前、菜々美のカフェのバイト面接に行ったことがある。あの時は不採用となり、内心で悔しさと不満を抱えていた。だけど、その失敗を糧に、自分のカフェを成功させることに全力を注いできたのだ。


「盗んだハーブで作ったハーブティーがこんなにも成功するなんて、誰も想像できなかったでしょうね」と内心でほくそ笑む。レオンからこっそりと手に入れたハーブを使って何度も試行錯誤を重ね、ついに完璧なブレンドを作り上げた。自分の才能に誇りを感じていた。


私のカフェは町の新たな名所として注目を浴びていた。しかし、その繁栄は突然の悲劇によって打ち砕かれることとなった。


ある日の午後、カフェはいつも通り賑わっていた。常連のミラは私の特製ハーブティーを楽しんでいたが、突然顔色が悪くなり、そのままテーブルに突っ伏してしまった。


「ミラ、大丈夫?」心配して駆け寄る。しかし、ミラだけではなかった。次々に他の客たちも異常を訴え始めた。頭が重くなり、視界がぼやけるという症状が広がり、やがて彼らの体が不自然に光り始めた。カフェは一瞬にして混乱の渦に包まれた。


「助けて!何かがおかしい!」別の客が叫ぶ。


パニックになりながらも、冷静さを保とうと必死だった。「皆さん、落ち着いてください!今すぐ救急隊を呼びます!」


急いで電話を取り、救急隊に連絡する。「こちらミリアムのカフェです。多くの客が倒れてしまいました。すぐに来てください!」


電話を切ると、再び店内を見渡す。客たちは苦しそうにしており、光り輝く肌が異様な光景を作り出していた。


「どうしてこんなことに……」呟く。


私は心臓が早鐘のように打つのを感じながら、どうしたらいいのか全く分からず、ただ右往左往するばかりだった。頭の中は真っ白になり、手足が震え、何をすべきか考えられなかった。


「どうしよう、どうしよう……」と呟きながら、店内を行ったり来たりする。客たちの苦しむ声が耳に響き、私はますますパニックに陥ってしまう。


周りの人々の助けを求める声や、救急隊員の動きが混乱の中で交錯する中、私はただ、何もできずにその場に立ち尽くしていた。


救急隊が到着し、倒れた客たちを次々に担架に乗せて運び出す。動揺しながらも、責任逃れを試みた。「これは私のせいじゃないわ。ハーブの供給元が何か混ぜ物をしたに違いないのよ!」


救急隊員は困惑した表情で私を見つめたが、事態の深刻さを優先して客たちを運び出すことに専念した。「私は悪くない。すべてハーブの供給業者のせいなんだから!」なおも言い訳を続けたが、救急隊員たちは冷静に状況を処理し、次々と患者を運び出していった。


病院に運ばれた客たちの中には、何人かが深い眠りから覚めない状態に陥っていた。医師たちは原因を突き止めようと懸命に努力していたが、私はその場を離れ、自分が疑われるのを避けようとした。「私はここで待つわけにはいかないのよ。きっと誰かが私を陥れようとしているんだわ。」そう言ってその場を離れ、姿を消した。


街外れの古びた建物に身を潜めながら、これからどうするかを考えた。自分のカフェが大混乱を引き起こしたことに対する罪悪感は全くなく、心にはただ一つの考えがあった。自分が成功するために邪魔をしている者がいる、という思い込みだ。


「すべては菜々美のせいよ。あの女が私のカフェを妬んで、何か仕組んだに違いないわ。私はただ成功したかっただけなのに……」そう呟きながら、自らの行動を悔いることなく逃げ続けた。


カフェはすぐに閉店され、町の人々は私の行方を探し始めた。警察のような組織も動き出し、私の捜索が本格化した。「こんなことで捕まるわけにはいかない。私の夢はこんなところで終わらせるわけにはいかないのよ」と心の中で決意を新たにし、さらに深く身を隠した。


街の一角では、菜々美たちがカフェの混乱について話していた。「ミリアムがあんなことをするなんて……」菜々美は悲しげに呟いていた。


一方、私は再び動き出していた。密かに町に戻り、自分の無実を証明するための証拠を集めようとしていた。「このままでは終わらないわ。私は必ず再起する。そのためには何が何でも証拠を見つけて、菜々美の陰謀を暴いてやるのよ」と自分に言い聞かせながら、暗闇に紛れて動き始めた。


菜々美のカフェの周囲を探り、何か手がかりを見つけ出そうとした。しかし、リュウやガイデンの警戒が厳しく、近づくことすら難しかった。苛立ちながらも、諦めずに行動を続けた。「私は諦めない。必ずこの状況を逆転させてみせる」


その間、病院では倒れた客たちの治療が続けられていた。何人かは意識を取り戻したが、深い眠りから覚めない者も多く、医師たちは懸命に治療法を模索していた。「この原因を突き止めない限り、同じことが繰り返される可能性がある」と医師の一人が語った。


こうして私の野望は一時的に潰えたが、私の執念は消えることなく、新たな策を練り続けていた。「私は必ず成功してみせる。そのためには何が何でも、この町の頂点に立ってやるのよ」と強く心に誓い、再び闇の中へと姿を消した。

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