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第9話 圧倒的猫派

高校1年生、16歳の天音雫です!

何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!

「お、来たようじゃな」


ミューティルのスマホを借りてひっくり返したり細部を見ていたり、集中してスマホ観察をしていたハルマはその声でようやくミューティルにスマホを返し、


「何が来ーーーー」


そのまま声を失った。


遠くからこちらに向かって走ってくるのは車や馬車などではなく。


かといって異世界チックなドラゴンでもなく。


「……ヤベェ、かわいすぎるだろ」


ハルマはその生物のキュートさに骨抜きとなった。

何故ならそれは、


「異世界にも猫はいるんだな…

猫は世界を救うもんな」


猫に弱い如月家。

ハルマもその例外ではなかった。


向かってくるのは可愛らしい猫。


小柄な体で、フワフワな長毛を風に美しくなびかせている。


海老茶色の縞模様が入っていて綺麗なエメラルドグリーンの瞳をしている。


ふやけた笑みを浮かべるハルマの横を素通りし、猫は真っ直ぐにミューティルの足元へと駆けつけ、彼女の足に頭を擦り付ける。


「よく来てくれたのぅ、メルヴィル。

盗っ人成敗を手伝ってくれるかの?」


猫の頭を撫でるミューティルの目は優しく、猫も真っ直ぐな眼差しでミューティルを見つめ返している。


フワフワな尻尾は満足そうに揺ら揺らと横に揺れていて、まさに相思相愛であった。


ハルマが割り込む隙などどこにもない。

実に悲しい。


しかしそんな心の傷も束の間だった。


瞬き一つの間に、その猫の愛らしい顔はハルマの前から消えた。


否、フレームから収まりきらなくなったと言えばいいのか。


ハルマの目の前には、ハルマを2人分束ねたくらいの太さの柱が4本。


その柱には真っ白に海老茶色の縞模様が入っていて、フワフワしていて。


「おいおい、まさか……」


頭上高くまで伸びていきそうな柱の終わりを見つけるため、上へと目をやれば。


「デカぁ?!」


一瞬のうちに巨大化した猫の姿を見、ハルマは驚愕に目を見開いた。


「何だこの猫……デカすぎねぇ?枕にしたいわ……」


「メルヴィルという名の魔法猫じゃ。好きなように体の大きさを変えられるんじゃ。

……驚いたか?」


「驚いたどころじゃねぇよ……」


可愛らしい見た目はそのままに家くらいのサイズに巨大化したメルヴィルは、鈴のような声でニャオーンと鳴き声をあげる。


「よし、準備も整ったことだし行くとするかの」


その言葉を合図にメルヴィルは体を地面へと伏せ、標高がガクンと下がる。


箱座りに似た姿勢になったメルヴィルの足をステップにミューティルは軽々とした動作でメルヴィルの背へと飛び乗る。


ドレスと巨大な猫と大草原。


実に絵になる。

まさに異世界だ。


ここに一眼レフカメラがあるなら何枚でも美しい写真をとって写真コンテストにでも出すだろう。


「ほれ」


「ーーーー?何だ?」


絵になる光景に見惚れるハルマに向かって、魔法猫の背の上からミューティルは手を差し出す。



「お主も早く上に登ってくるのじゃ」


「…………へ?」


「ほれ、早く」


「……………は?」


「早く出発するぞ、お主」


「ーー。ーーーー。ーーーーーーーー。

俺も行くのかよ?!」


エコーがかかったかのように、その声は魔王城周辺に美しく響き渡った。




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