第6話 盗っ人侵入
高校1年生、15歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
「美味い……
お主、なかなかやるではないか」
「おー、良かった。
姉貴に散々言われただけあったな」
父も母もいない休日の昼、頻繁に料理を作れ作れとごねる割には作った料理に対して辛辣な評価ばかりする姉に今だけは感謝しといてやる。
目を輝かせながらオムライスを頬張るミューティルのあどけない顔を横目に見た。
昏睡状態から何とか目を覚まさせ、大分体力も回復したらしい。
先程よりも大分声が明るく軽い。
一生懸命作っても“21点”とか低すぎる点数しかつけない生意気な姉とは違ってミューティルは満足そうな顔をしている。
魔王の娘より横柄な態度を取る姉は一体何様のつもりなのだ。
「よし、わしは決めたぞ」
「ーーーー?何をだ?」
ミューティルはケチャップのついたスプーンをハルマに向けた。
「お主、今日からこの魔王城の使用人になれ」
「…………はぁ?!」
思わず呆けた声が出る。
「理由1、お主は料理がうまい。
この、おむらいす?で確信したぞ。
理由2、わし1人でこの城を、管理するのはかなりしんどいのじゃ。
やはり1人は使用人が欲しいところじゃ。
理由3、急な襲撃及び突然の訪問客等々の対応の仕方をわしは知らない。今までは使用人に任せていたからな。これからもできればそうしたい。
理由4…………」
「お、おいおい待てってば…」
脳での理解が追いつかず、早口で語るミューティルに制止の言葉を、かけることしかできない。
「俺は元の世界に……」
「お主の望むものを何でも1つ、お主がいた世界から取り寄せてやる。これでどうじゃ?」
「俺の支払う代償に対価が見合ってなくね?」
「じゃあ2つ取り寄せてやるぞ?
全く、お主はワガママじゃのう。
召喚にもかなりのエネルギーと魔力を消耗するのじゃよ?」
「違ぇよ……
俺が言いたいのはそういうことじゃねぇんだよ…」
拳を握り、感情をと思いを上手く言語化できずワナワナと震えるハルマの様子には目もくれず、ミューティルは再びオムライスを食べ出す。
そのマイペースさは何処となく姉に似ているかもしれない。
呆れとどうしようもなさに支配され天井を仰いだ直後。
ーーーーパキン。
「……ん?何の音だ?」
遠くでガラスの割れるような音ーーというよりは近くでプレパラートが割れたような音がした。
その音をきっかけに、部屋の明るさが1段階下がる。
その原因は、
「………光が消えた?」
唐突に輝きを失った食堂のシャンデリアにあった。
「停電か?ブレーカーが落ちたのか?」
俺が直してこようか?と席を立とうとしたハルマにミューティルは、「必要ない」と首を横にふる。
眉を寄せるハルマに、食事の手を止めずに上を見上げたミューティルはあどけない顔に不敵な笑みを浮かべ、
「どうやら、ーーーー盗人が入ったようじゃ」