第24話 多分きっとギリセーフ
高校1年生、16歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが、読んでいただけると嬉しいです!
「俺にカーレースゲームで30会連続1位取ったっていう実績と経験がなかったらマジで不可能だったぞ、これ」
「なんやかんやいいつつ運転できとるんじゃから、わしの見る目は間違ってなかったということじゃな」
そう言って、ミューティルが可愛らしくウィンクする。
そのウィンクを横目にハルマはウィンカーを出す。
「多分完璧に人選ミスってるよ?」
現在、魔王城からはかなり離れて、ハルマのいた世界でもよく見るような舗装された道路をを走っている。
しかし、車通りは非常に多く、手汗が尋常じゃないのでハンドルが滑って余計に恐ろしい。
「ってか、運転中にあんまし話しかけないでくれよ。うっかり前の車に追突するかもしれねぇよ?」
「お主のように、サラもそのうち何かいい才能を開花させるじゃろ。今のままでも十二分に役に立っておるがな」
「俺の言葉耳に届いてた?」
『この先200m先、右方向です』
「この先200メートル先、右に曲がるらしいぞ」
「ミューティルは繰り返さなくていいって。どうせカーナビも何回か繰り返し言うから」
「そうか?」
今のやりとりでもう明白かもしれないが、実はこの世界、車にご丁寧にカーナビが搭載されている。
何と発展した世界なんだ。
そうして弟救出に向かっているわけだがーーーー
「今朝、スズメが宝石に変わったのを見たじゃろ?」
「ん?あ、ああ」
最早ハルマの意見フル無視で話題だけをすり替えたミューティルにハルマ難しい顔をして、数刻遅れながら返答する。
「あのスズメが持ってきた手紙に、弟からヘルプの内容が記載されていたんじゃよ。」
「ヘルプの内容ーーーーって言うとなんかそんな危険そうな感じじゃなさそうだけどな」
「地下に監禁されて手も足も縛られて何も出来ない状態で更に意識も朦朧としているらしい。毒物を飲まされたかもしれないという記述もあったの」
「メッチャヤベェじゃん!」
思わず前の車に追突しそうになる。
言霊の力とは恐ろしいものだ。
「よくそんな状況で手紙出せたな、逆に?!」
「最後の力を振り絞ったらしいの。弟は錬金術師じゃからな、手近な石をあのスズメへと変え、手紙を託したようじゃ」
「スピードメーターMAXにしていい?」
「安全運転第一じゃ、今のままのスピードで十分じゃよ」
含み笑いをしたミューティルが面白がっているような声色でそう言い、窓の外を指し示す。
「このあたりは保安騎士団の連中も多いしの。捕まったりしたら面倒じゃからな」
「ねぇやっぱり交通道路法的なのあんじゃん!!」
アクセルペダルに全て乗せかかった体重を慌てて戻し、全身から血の気が引くのを感じる。
どうかこのまま無事に目的地にたどり着ければ良いのだが。
異世界に来て3日やそこらで逮捕されるのは御免だ。
「大分話しながらの運転も慣れてきたようじゃな。」
「慣れって怖いよな。
失踪した使用人も同じ道を歩んだ可能性あるぞ、これ」
「む……GPSが切れたの」
「え゙、何?弟の?」
「うむ、恐らくスマホの充電が切れたのじゃろう。
まぁ、カーナビにもう目的地を打ってあるし、どのみち監視の目があるから電話などは使えないじゃろうし、何も問題はないの」
動揺する素振り名もなくカーナビをツンと指でつつくミューティルにハルマは安心のため息をついた。
「あぁ、そう……、だったな。
俺らには偉大なるカーナビ様があるもんな。
ってか、弟がGPSで居場所わかるなら、失踪した使用人もGPS使えば分かるんじゃないのか?」
「あの馬鹿者、スマホも持たずに森に薬草を取りに行きおったのじゃ」
「あー、それでそのまま行方不明ってことか」
なるほど、それならGPSの反応も魔王城内、なんの意味もなさない。
スマホは命という言葉もあるのに、スマホを持たずに森に行くなんて、よほどドジな使用人だったのか。
「む……」
「ん?どうした?」
急に仏頂面になったミューティルに横目で問い返す。
「ハルマ、ちとそこの通りを左に曲がってくれんか?」
「え?カーナビは曲がんなって雰囲気出してるけど」
「…………残念ながら、ガソリンが切れそうじゃ。
補充せねばな」
普段ならもう少し持つのじゃが、補充からだいぶ時間が経ってたみたいじゃからな、とのことだった。
「異世界の車もガソリンが燃料なのか……
なんかもっと変わったもの燃料にしてるのかと思ってたわ…
えーとここを左だな?」
素早くウィンカーを出して曲がる。
まるで、車校で無事に免許取得しているかのような運転さばきだ。
が、現実は無免許未成年という、一歩踏み外せば犯罪者。
異世界だからセーフ、という考えで無理やり押し切り、ミューティルの指示通りに車を走らせるのだった。




