第14話 窃盗犯の鬨の声
高校1年生、16歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
コンビニ内の客と店員は、サラの鬨の声を聞いて、店の外へと避難した。
特に動揺することもなく、じつにスムーズな避難行動だった。
もしかしたら異世界ではこれが日常茶飯事なのだろうか。
だとしたら随分と物騒な世界に召喚されたものだ。
なにはともあれ、剣の恐怖は拭えないが、相手もこれまた華奢でハルマより少し身長の低き少女だ。
(ワンチャンいけるかもしれないな……)
胸に浅はかな期待と自信を抱く。
「どうした?!
勇者を前に手も足も出ないのか?!」
声を張り上げ挑発する少女にミューティルは片眉をピクリと上げた。
「このわしにかかれば、お主などーーーー」
「このままでは魔王城は倒壊しお前の魔力も尽きる!早く取り返して元の場所に返したほうが良いんじゃないのか?!」
応じようとしたミューティルを遮りさらなる挑発。
発言を中断されミューティるは不満げに唇を曲げた。
不服そうなミューティルの横、ハルマはサラの発言が引っ掛かり、首を傾げる。
「おい、魔王城倒壊何たらかんたらってどういうことだ?」
「ハッ!そのままの意味だ!
せいぜい怯えるが良い!
……………ところでお前何者だ?」
「いやテンションの切り替えスイッチどうなってんだよ」
勝ち誇ったような顔を一転させ、急に胡散臭気なジト目で、ハルマを見つめる。
「この者はキサラギ・ハルマ。
我が魔王城の使用人じゃ」
「いや使用人の件承諾してねぇし?!
っていうか…」
名前と承諾してない肩書を勝手に名乗られたことへの憤慨を抑えて声のトーンを落とす。
「魔王城倒壊って、あれ、マジなのか?!
ヤバくねぇ?!」
ミューティルの説明から、盗まれた魔晶石は電気供給の役割しか担っていないと思っていたが、それは大きな間違いだったらしい。
それもそうだ。
電気を盗むなど、この異世界ではスケールの小さい話だなと薄々思ってはいた。
しかし、ここまで大事だとは思っていなかった。
どれだけ大切な物を盗まれたのかいま痛感する。
そして、それを静観し、2時間くらい放っておいたミューティルの呑気さと楽観的な精神性にも。
兎にも角にも、魔王城とミューティルの魔力の存続に関わるものならば、どんな手を使ってでも早急に取り返さなければーーーー。
「くくっ」
「は?」
「くくっ、ふふふっ、はははっ…、」
急に笑い出したミューティル。
それを異様に思ったのはハルマだけではなく、サラも同じだったらしい。
2人の怪訝な眼差しを受けても尚、ミューティルは笑い続ける。
「ははっ……、はははっ…、はぁー、すまんすまん」
ひとしきり笑い、瞳に浮かんだ涙を人差し指で拭う。
美しいその碧眼が、無理解を浮かべたサラの顔を写す。
「お主、ーーーーサラと言ったかの?お主は何か、思い違いをしているようじゃのう」
「……ハッ!笑わせてくれる。
思い違いなどーーーー」
「その魔晶石は、魔王城の倒壊に関わりさらにはわしの魔力の枯渇にも影響している。」
先程のサラの言葉を丁寧に復唱するミューティル。その声色が、
「ーーーー本当に、…………本当に、そうなのかのぅ?」
面白がるような声に変化する。
「そ、そうに決まっているだろう?
だからお前は私を、追って、ここまで……」
言葉が尻すぼみになっていく少女に、
「くくっ、そんなわけなかろう?」
サラの目が驚愕に見開かれる。
は、と声ににならない声が漏れる。
裏切られた顔で絶句するサラに、
「お主は間違えたのじゃよ。
盗む魔晶石の種類をな。
ーーーーなに、失敗などよくあることじゃ」
にやけづらのミューティルが下手くそなフォローと共にとどめの言葉を放った。




