第11話 コンビニのありがたさ
高校1年生、16歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますがが読んでいただけると嬉しいです!
「……ハルマ」
「お、おうどうしたミューティル」
「どうやら到着したようなのじゃが………
まさかこんな所にコンビニが出来ているとはっ!!」
「ちょっ、危なーーうぉ、っと、と、と、っ…あだぁっ!」
目を輝かせジャンプ1つでメルヴィルの上から地面へと飛び降りたミューティル。
慌ててハルマも下へ降りようと足のとっかかりを探すも、うまく見つからない。
仕方なく毛を握ってズルズルと下へ降りてゆき、ーー巨体の半分ほどまで降りたところでメルヴィルに振り落とされ地面に追突した。
ぶつけた肩を擦りながら目の前を見れば、”レッシュイレブン“の文字が書かれたコンビニそっくりの建物ーーーー否、コンビニがそこにあった。
場所は魔王城近くの森の中。
時は魔晶石が盗まれてから2時間以上経過した今。
ようやくハルマ達は盗っ人の居所を突き止めていた。
「マップを見た時は何かのバグだと思っておったが、まさか本当にできているとは……
食料や生活用品を買うには近くの都市まで行っていたから、ありがたいのぅ」
「言ってること完全におばあちゃんだな」
草原に囲まれ森のほうが近くにあるという大自然の中立地する魔王城を見れば彼女の言葉にもかなり共感できる。
草原の先には家々が見えたような気もしなくはないが、ミューティルの言う“都市”があまり近くないことには間違いないだろう。
だが口調も相まってミューティルが田舎に住んでいるそこら辺のおばあちゃんに見えてしょうがない。
「……GPSの反応があるってことは、こん中に犯人がいるんだな?」
「うむ。魔晶石が投げ捨てられたりしていなければな。」
「さすが戦利品をコンビニに置き去りにする盗っ人じゃないと思いたいな」
魔晶石が店内に置き去りとなっていた場合事態はさらにややこしくなる。
非常に面倒くさいのでやめてほしい。
できれば魔晶石with犯人の状態で見つけたいところだ。
「……って何で俺がここまで一緒に来てるんだ」
オムライスを作ってさっさと元の世界に帰してもらうつもりだったのだが。
しかし、困った人がいれば助けたくなる性分を持っているのが人間だ。
特に、相手が小さく華奢で、幼い女の子ならば尚更に。
……まぁ、ミューティルのゴリ押しとその場の流れ的なものがなかったといえば嘘になるのだが。
「よし、慎重に行くぞ、ハルマ」
「えぇ……店内にまで同行すんの、俺」
「当たり前じゃろ。
相手がかなりの魔力の持ち主や強く屈強な戦士だった場合、まずお主がそいつの背後に回り込んでーーーー」
「待てよ盗っ人ってそんな危ない奴なのかよ?!」
コンビニの中にいることから勝手に親近感を覚えていたハルマは急激に背筋に寒気が走るのを感じる。
「わからぬ。
そんなに強くはないとは思うが……」
「俺、多分何の戦力にもなんねぇよ…?」
「大丈夫じゃ」
「何も大丈夫じゃなくね?」
大丈夫の言葉の真意が理解できず目を白黒させるハルマにミューティルは片目を瞑ってグッドサインを作り、
「魔王の娘であるこのわしに勝てないものなどおらぬ」
「(義理)だけどな」
ハァっっっとハルマは深い溜め息をつき、パチン!と両頬を叩く。
「うっし分かった。俺も行くわ」
か弱そうな女子の前で尻尾を巻いて逃げる男にはなりたくない。
高2男子のプライドと意地がハルマの心を奮い立たせる。
「お主ならそう言ってくれると思っていおった」
固めた覚悟もミューティルの手のひらの上か。
心理戦にも強いと見た。
「メルヴィル。少し離れたところで待っておれ」
魔法猫はニャンと一鳴きし、元の小柄な姿にシュルシュルと戻っていく。
改めてその変幻自在な姿に圧倒される。
その小柄な姿で近くの茂みに隠れたのを見届け、ミューティルはコンビニの扉の前へと向かった。
ハルマも後ろを着いていく。
女子を前に立たせているところについてはさすがに容赦してもらいたい。
中に何がいるのか分からない所に知識も実力もない異世界人が先陣を切っていくのは自殺行為だ。
というかシンプルに恐怖しかない。
「よし、ハルマ。慎重に、慎重に突撃じゃ」
「矛盾してね?」
そっとコンビニの扉を押した途端。
ピコンピコン。
いらっしゃいませー。
聞き馴染みのある入店音と店員の呼び掛け声が店内に響き渡り、ハルマの肩は思わず跳ね上がり、額に冷や汗が浮かぶのだった。




