お嬢様自滅。
前回、教育係を穴に落とそうとして誤って落ちてしまったお嬢様。
ちょっと間違っちゃったお嬢様は、ぽっかりと空いた深くて薄暗い穴の底。
「てへへ⭐︎落ちゃった。しっぱーい」
『…』
穴の上にはメガホンを構えた教育係が呆れた目をみおろしていた。時折メガホンからキーンと甲高い雑音が鳴る。
「でも!負けないゾ♪」
『…』キーン
「私の冒険はまだまだ始まったばかりだ!」
『…では…ifを使った文法をテキストに沿って作って行きましょう。もし〜ならばを使い場面にあわせて』
「ちよっと!冷静に授業始めないで!」
『…で、なんですか?この大きな穴は?』
広いお嬢様の部屋にキッチリと収まった円柱の穴。大人の背丈4、5人分ありそうな深さ。
「あなたに教える義理はないでしよ?たかが教育係が?」
『では、御依頼主様のお祖母様に連絡しましょう。』
「…え?なんで?」
『なんで?って、部屋に穴が空いていたら…普通に一大事でしよ?』キーン
「そーなの?」
『バカなんですか?』
「ば、バカとはなに!私は誇り高き5代目次期党首の!茉李那!藤堂茉李那様にばがとか!」
『…ちょっと噛みましたね、滑舌が良くないみたいですね。発声練習行いましょう。』
「そうじゃ!なくて!」
『じゃあ、ifを使って文法を…』
腹の底から絞り出し声を出して会話を遮る。
「だからぁ!」
「だから?何だい?」
貫禄ある女性の声にお嬢様は驚き振り返る。背後にはいつの間にか白髪の上品ある老婆が立っていた。
「おば、おば、おば、お祖母様!」
「みっともないね、慌てて。録画して効果音つけて動画投稿サイトにアップロードしようか?」
「やめて下さい。本当にやめてください。」
『お早かったですね。』キーン
「はぁ、まさかここまで行動力あるバカに育ってるとは。甘やかしすぎだね。だから両親が忙しいのは反対だったんだよ。私の側に置いておきたかったんだけどね。勉学の成績が落ちてないからって好き放題するなんて情け無い。だいたい…」
ずさぁ!!
「すみませんでしたァ!」
見事な土下座の型でのスライディング!
『お話を遮っての謝罪はよくないと思います。』
「うるさいわよ!!」
「なんだって?」
「え…あ、お祖母様の事ではないです…。はい。心の奥底から謝罪申し上げます。」
「じやぁ、とっとと穴を塞ぎなさい。跡形なくな。」
「はい…ただいま。」
本日の授業は穴埋めしつつ英会話授業で終わった。
\(^o^)/
今回はデスゲーム要素ZERO!