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第6話.俺をどうするかの話し合い

 何にも問題がないって聞いて安心した。生まれて間もなく命を消されかけ、溺れている所を、どうやって助けてもらったかは分からないけれど。とりあえず今の俺は健康ってことで良いんだよな。な?


『よし、では次の話には移る。まぁ、ここからが本題なのだが。この人間をどうすか』


 あっ! 健康で喜んでいる場合じゃなかった。そうだよ俺、この世界の家族に捨てられたんだった。この人達は俺を助けてくれただけ。俺、これからどうなるんだ?  

 この世界って、その辺どうなっているんだろう? 孤児院みたいな所があれば、そこへ連れて行ってもらえると助かるんだけど。


 それか里親制度みたいなものがあって、誰かが俺の新しい家族になってくれたら。あの家族の所へ戻されたら大変だ。今度はあの騎士みたいな連中に、剣で確実に殺されかねない。


『色々と方法がある。1つはこの子供を何処かの人間の街へ連れて行き、後は人間に託す。人間の所には孤児院があるからな。もちろん、きちんとした孤児院か確認はする。見つかるまでは我々が世話を』


 また別の声が聞こえて、俺のこれからについて話し始めた。俺には何通りか選択枠があるらしい。最初に聞いたのが、人間の街の孤児院に預けるだった。


 良かった、この世界には孤児院があるらしい。いや人間の街には孤児院があるらしい。そういえば、気を失う前、バカ神がこの種族なら大丈夫とか言っていたような? 

 ということは、この人達は人間じゃないのか? なら何だ? 俺には人間にしか見えないんだが。まぁ、顔の整った人ばかりだけど。


 みんな綺麗すぎるんだよな。女の人も男の人も、みんな綺麗なんだ。それにみんな綺麗な洋服を着ている。キラキラと少し光る、ヒラヒラとした洋服を着ていて、時々そのキラキラがその辺を飛ぶんだ。それがまた綺麗で。

 

 本当に人間じゃないなら、何の種族なんだろう?


『おい、バカ神』


『普通に神で良いじゃないかな』


『この人達は誰なんだ?』


『…‥無視? はぁ、この人達は海に生きる者達だよ。まぁ、あとはお楽しみということで。きっとこれからの話し合い、君にとっては良い方向に進むと思うからね。あ、そうそう。あと少しで僕と話はできなくなるけど、この国にも教会はあるから、そこへ来られるようになれば、時々話しができるようになるからね』


『ああ、そう』


『ああ、そう、って』


 海に生きる者達か。ならきっと、この種族の誰かが、あの荒れ狂う海の中を泳いで、俺を助けてくれて。地上まで、ここまで連れてきてくれたんだな。なにしろ海に生きる者達だからな。本当ありがたい。


 続いて2つ目。2つ目も俺が考えていた通りで、人間の誰かに里親になってもらうだった。

 これも里親が誰になるか。俺がその家族ときちんと暮らしていけるか、確認できるまでは、この人達は俺と一緒にいてくれるらしい。何て良い人達だろう。


 次いで3つ目。人間の元で、もし俺が上手く生活出来なさそうなら、頼りになる知り合いのエルフの元へ連れて行くと。

 エルフと聞いて喜ぶ俺。この世界にはエルフもいるのか! そうだよな、魔法と剣、そしてもふもふの世界だもんな。エルフが居たっておかしくないよな。


 エルフにはハイエルフとエルフがいるらしいんだが、ハイエルフの方は滅多に人前に姿は現さないらしい。

 俺を預けるのはエルフの方で、彼らはここの人達と仲が良いらしく。また、他者をとても大切にするため。俺のこともしっかり育ててくれるだろうと。


 と、ここまでみんな口を挟まずに話を聞いていたけど、急に俺を抱っこしている女の人が、口を挟んだ。


『確かにあの人達の預けるのは問題ないは。今言った通り、しっかり育ててくれるでしょう。魔力のことだって、彼らならきっと何とかしてくれるはず。でもそれなら、私達が育てても問題ないでしょう?』


 ん? 今何て? ここで育てても問題ないって言った? 俺としては、まだ出会って本当に少ししか一緒にいないけど。何故かとっても安心できているっていうか、不安も怖さも感じていない。

 それどころか、ここが俺の場所って感じが、目が覚めてからずっとしているいるんだ。だからここで育ててくれるって言うなら、とっても嬉しいんだけど。


『シェリアーナ、最後まで話しは聞きなさい。シェリアーナが今言った通り、このまま私達の元で、この人間を育てる。これが最後の候補だ』


 一瞬部屋の中が静まりかえった。どうかな? 俺はここに居たいって思っているんだけどな。でも嫌だっていう人がいるなら、エルフの所に連れて行ってもらえないかな?


 と、大切な話し合いの最中だった。赤ちゃんの俺がトイレを我慢できるわけもなく、そのままおしっこを。そして下半身に不快感が。そのせいで大切な話しをしている最中に、俺は泣くことを我慢できず。


「ふ、ふにゃあぁぁぁ!!」


『あらあら、どうしたの?』


『きっとおはなしがわからなくて、つまんなくてないちゃったんだよ。あたしがおうやたうたったげる!! ⚪︎△◻︎*⭐︎~』


『ああ、ケニーシャ。それは違うわよ。確かに話が分からないでしょうけど、つまらなかったのはあなたでしょう? この子はおトイレよ。綺麗にしてしまいましょう』


 静かだった、大切な話しをしていた部屋に響き渡る、俺の泣き声と、女の子の何とも言えない歌。そして始まる女の人の俺のおトイレのしまつ。みんなの視線が俺達に集まっているのを感じた。


 考えたらそうだった。はぁ、この歳になって、いや今は赤ちゃんなんだけど、色々と見られるなんて。何とか慣れないとなぁ。あっ、そういえばご飯は? 最悪な家族の元に居た時は、布みたいなものにミルク的な物が含まれていて、それを飲まされたっけ? ここでは?


 女の人が俺の下着を取った。

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