第107話.奴隷契約の色々、普通ではないと言われるユースタスさん
見張っている……。ここにジェフィリオンはいないが、どこからか何か道具を使って見張っているのか? それとも何か魔法を使って見張っているのか? そんな事を考えていた俺。でもこれについては俺が聞かなくても、ユースタスさんが聞いてくれた。
「それは何かを使って見張られているのか? それとも魔法か?」
『奴隷契約をされた時に、そっちも魔法でかけられた。あのわけな分からん力を使っての魔法だ。奴隷契約をする上で、色々な条件を付けるだろう。逃走防止や、自死防止、と色々あるが』
「ああ」
『それとは別に、強い魔力を持っている者は、絶対に逃げられたくない奴隷に対して、自らの命を使って相手の命とつながり、その相手が今何処にいるかを、常に感じ取れるものがあるだろう? 奴の魔法はそれの上位版といったとことか』
「上位版か」
『ああ。おそらく何か少しでもおかしな動きがあれば……。俺はその場で当分の間、動けなくなるほどの罰を受けるだろう。子供達に見せられないような、な』
「そうか……」
最後の方、親シードラゴンの声が小さくなり、何と言ったのか聞こえなかった。モコモコ達も同じだったようで、首を傾げねがら更に2人に近寄っていく。
「それについては分かった。ということは奴は今も、お前がここにいる事は分かっているんだな」
『勿論だ』
「はぁ、なぜそれを先に言わない。それではお前がここに長くいては疑われるではないか」
『しかし、別にお前のことは奴には言っていないからな。我のことは息子し会いにきているだけと思っているだろう?』
「何処で、何が原因でバレるか分からないだろう。まったく、これは更に早く対策を考えなくては」
途中、話しが聞こえなかった所はあったものの、何だか難しい話しになってきたな。奴隷契約にも色々あるって、さっき聞いたばかりだけど、それ以外にも色々あることが分かった。
奴隷契約をする上で、俺の小説での知識と同じで、奴隷契約に色々条件が付けられると。それが逃走防止だったり、自死防止だったり。
それ以外にもあるらしい。自分の命と相手の命を繋ぐ? 一体どう言うことなんだ?
「もしも、の話しだが、私がもし、その繋がりを断つことができたとして。その繋がりを切るのにかかる時間が少しでもかかってしまえば、すぐに罰を受けると?」
『ああ。ほんの一瞬でもだ。言ったろう? 繋がりを切るどころか。少しでもおかしな気配を感じ取れば罰を受けると。繋がりを切る前の問題なのだ』
「分かった。ではそれについては後で考えよう。どこまで今のお前の状態を、確かめることができるか分からないが。先ずは調べなければ」
『本当に繋がりを切れると?』
「それについては私もさっき言っただろう。私に奴隷契約関係で解除できない物は3つだけだと」
『そうか、どうだな。……そなのだな』
ん? どうしたんだ? 親シードラゴンが急に静かになったな。でも奴隷契約に詳しいユースタスさんがいてくれて良かったよ。もしかしたら親シードラゴンの奴隷契約と繋がり? を切ることも、できるかもしれないんだろう?
親シードラゴンの奴隷契約については、後でまた話す事になり、いよいよ本題、いやここまでも本題だったけど、逃げる方法について話し合うことになった。
『逃げる方法だが、それについては色々と考えている。長い時間ここに居ることはなかったが、それでも来たばかりのお前達と比べれば、ここの事を知っているからな』
確かに俺達はここに来たばかり。ここに連れて来られて気を失っていた時間と、ミルクを2回飲んだだけの時間しかいないからな。ユースタスさんだって調べるとは言っていたけど。
俺達が気づかないうちに、調べていたのかな? ユースタスさんは、他の人よりも気配を感じるって言っていたしな。
それでもここに何度も来ていて、そして見張られているとはいえ、動けている親シードラゴンの方が、色々ここの事を知っているだろう。
「そうだな。これに関しては、お前の作戦を聞いた方が良いだろう。私はまだ半分しか調べられていないからな。今からまた私が調査を再開していては、時間がもったいない」
『半分調べたのか?』
「ああ。ここで動いている者達の気配を感じ半分ほど、この建物について調べ終わったが? 私のように気配を感じやすい者は、これくらいすぐにできるだろう」
『……お前は普通のエルフではない』
うん、やっぱりユースタスさんは調べていたよ。というか、親シードラゴンのあの目。完璧に変なものを見る目だよ。それに普通のエルフじゃないって言わせるなんて。ユースタスさん、もしかしてエルフじゃなくて他の生き物?
俺の会った、まだ連絡の取れていないあのバカ神。あのバカ神と逆なんじゃ? 本当の神がユースタスさんで、色々力を持っているエルフがあのバカ神。その方がなんかしっくりくる。
「それで逃げ道は?」
『はぁ、まずこれを見てくれ』
親シードラゴンの言葉を無視して、ユースタスさんが話しを再開し、親シードラゴンは小さなため息を吐くと、その場へしゃがみ魔法で石を取り出した。そしてその場へしゃがむと、ユースタスさんもしゃがみ。そんな2人にモコモコ達も2人の周りに集まった。俺も急いでみんなの所へ。
俺が着く頃には、親シードラゴンが出した石で、地面に何か書き始めていて、ユースタスさんに説明し始めていた。
『まず、この洞窟は、海の中ではかなり大きい方で、道も何本もあり、かなり入り組んでいる。これが洞窟だとすると、今我々がいるのはここだ』
そこには大きな楕円形に描かれた物が。そしてその1番端っこに小さい丸が描かれていた。




