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水の中でも何処でももふもふ!! あたらしい世界はもふもふで溢れていました  作者: ありぽん


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第103話.小さい子達の説得、動き出す大人達

「それで、お尻振りダンスを見た感想は? と聞いているな。グレンヴィルは、人間は危険な存在じゃないだろうと」


 ああ、そうだった。何のためにお尻振りダンスをしていたのか、忘れるところだった。険悪だったユースタスさんと親シードラゴン。何で一緒に手を組んで逃げないんだ? って所から始まってたんだよな。


 まぁ、ユースタスさんの方は、人間の俺が危険な存在だと思っていない分、そこまでモコモコ達の標的にはならなかったけど。親シードラゴンはな。自分達の種族以外、全部が敵って感じで。その考えをを双子シードラゴンにも教えていて。


 でも双子シードラゴンは俺やモコモコ達や小さいフルフル、そしてユースタスさんと関係を持ったことで、親シードラゴンとは反対の考えになって。

 それでみんなで、かなり説得していたけど、なかなか今までの考えを変えなかった親シードラゴン。


 そのせいで俺は、お尻振りダンスをすることになったんだぞ? これで何にも感じなかったなんて言ってみろ、今度は俺が怒るからな。あのジト目で睨まれながらダンスしたんだから。


『きゅ?』


『くきゅ?』


 今のは怖くないでしょう? お父さんはこのダンスも怖いの? 


『いや、怖くはないが……』


 それからだった。急に双子シードラゴンが、今までで1番真剣な顔になって話し始めたんだ。


 お父さん、僕達捕まっちゃってごめんなさい。一生懸命逃げたけど、捕まっちゃってごめんなさい。パパの邪魔しちゃってごめんんさい。お父さんはとっても強いのに、僕達何にもできなくてごめんんさい。

 僕達いなかったら、お父さんはあんな悪いやつ、すぐにやっつけちゃうのに。僕達お父さんの邪魔ばかり。


 あのね、ごめんさしがいっぱいなの。でも……。 僕達初めてのお友達なの。お友達とっても嬉しいの。お父さんが僕達を一生懸命逃がそうとしてくれてるの分かってる。でも、僕達大切なお友達も一緒に、こんなダメダメな所から、一緒に逃げたいの。こんなダメダメな所に残していけないの。


 それにお父さん、今ダメダメな魔法をかけられてるんでしょう? もしかしてみんなで逃げられて、悪い人達がいない場所で、ゆっくりその魔法を消す魔法を考えられたら。いっぱいお友達がいてくれた方が、色々な方法を考えられるかも。


 お友達と一緒に逃げられて、お父さんのダメダメの魔法も消せたら、良いことばっかりでしょう? だからお父さん、みんなで一緒に、このダメダメの所から逃げようよ。


 双子シードラゴンの話しが終わると、広間の中はシーンと静まり返った。それから双子シードラゴンは床すらすれまで降りてきて、体全体をぺたっと地面につけると、とても寂しそうな表情に。

 そんな双子シードラゴンにモコモコ達が大丈夫とでも言うように、檻ギリギリまで近づき、手を振ったり、静かに声をかけたり。


 なんか、今ここにいるメンバーの中で、双子シードラゴンとモコモコ達と小さいフルフル。小さい子達が1番色々と考えていたな。俺はお尻振りダンスなんかで、文句を言ってごめんな。もっとみんなみたいに、色々考えないといけなかったな。


 俺は大人組を見る。小さい子達がごめんなさいと言いながら、これだけのことを考えたんだぞ。大人組の俺達が、自分達の偏った考えで、みんなの気持ちを踏み躙って良いのか? ここはやっぱり手を組んで、何とかみんなで逃げた方が良いんじゃ。


 昔からの考えを、今すぐに変えろとは言わないけど。だって今まで何百年とその考えできたんだろう? その考えをすぐに変えろって言うのも無理がある話だろうしな。でも、今だけでも良い、小さい子達の気持ちを汲んでさ。


 まぁ、手を組むからって、すぐの全部が解決するわけじゃないけど。どう逃げるかはこれから考えるだろうし、親シードラゴンの奴隷契約も問題だ。だけどそれについても、小さい子達が言った通り、みんなで考えれば、案外簡単にその方法が見つかるかもしれないぜ。


「おい」


 最初に声を発したのはユースタスさんだった。


「私はお前ほど、偏った考えをしていないつもりだ」


『何だと?』


「だがな、それでも。私とてここまで色々なことを、今の状況、これからの状況、そして今までの状況、全てを考えて物事を考えることはなかなかできない。私たち大人ができないことを、考えられない事をする事ができる、素晴らしい子供達だ」


『……』


「何も全ての考えを変える必要はない。それは私もだ。だが今だけでも良い。子供達の考えを尊重し手を組み、この状況を乗り越えてはどうだろうか? お前のその奴隷契約についてもな」


『……』


 またシーンとなると広間。が、今回はさっきよりも沈黙の時間は短かった。


『……はぁ。子供達にここまで言われてしまってはな』


 バッ!! と顔を上げるみんな。


『大体さっきのを見て、あんなことをする者を恐るなど。この事を他の者に知られたら、我の威厳は一気になくなってしまい、今までやってきた事が、全て無駄になってしまうは』


 そう言いながら、呆れ顔で俺を見てきた親シードラゴン。ん? なんかちょっとバカにしてないか? でもこの感じは……。


『子供達。お前達の気持ちはよく分かった。まさかお前達に教えられるとは。お前達の言う通り、ここはこの者達と手を組み、ここから出て行こうではないか』


 それを聞いた途端、モコモコ達と小さいフルフル、そして双子シードラゴンが、俺の視界から消えた。


「にょ?」


「ああ、嬉しくて檻の中を走り回っているんだ。シードラゴンも檻の中を泳ぎ回っている」


 え? まぁ、双子しドラゴンは分かるけど、モコモコ達や小さいフルフは、水のない所だとゆっくり動くんじゃないのか?

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