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【配役】
「ふーん」
なるべくドキドキを悟られないように、斜め読みしたタブレットを薫に返してから、羽音は平然を装って聞いた。
「配役は?」
恐らく、音羽は話の内容を事前に聞いているはずだ。当然、配役も既に決めてあるだろうと羽音は予想した。
(どうせ、姉役をおとはがやって、妹役を藍子がやるんだろうなぁ)
そう思うと、心がざわめく。
(おとは……!)
羽音の顔が無意識に不機嫌になった。
だが、音羽はほんわか笑顔で言った。
「姉役がはのんちゃんで~、妹役が藍子ちゃんだよ~」
「えっ?」
それが予想外で、羽音は思わず、音羽を二度見してしまった。
「?」
同じく、予想外の配役に首を傾げる薫だった。