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【恋の行方】
「そんなことないよぉ~」
冷汗笑いで藍子は首を横に振った。
否定を強調するように、手を胸の前でヒラヒラさせる。
「部長にとってわたしは、刺激みたいなものだから……」
「はぁ?」
しかし、夕貴は怪訝そうだった。
はっきり言って、意味不明だ。
「それに……」
藍子はふっと目を伏せた。
「部長には……副部長がいるから…………」
「えっ……?」
その言葉に夕貴は眉を顰める。
「副部長は妹だよ?」
夕貴は唖然となって、藍子を見た。
「そう……なんだけど……ね」
その視線から逃れるように目を剃らし、音羽達が去って行った方を見る藍子だった。