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【自己紹介】
「いた~い~」
羽音から鉄拳を喰らって、音羽は頭を押さえた。
「ったく……!」
羽音は憤慨した。
「油断も隙もないんだから!」
夕貴も相手が、先輩で部長であるにもかかわらず、怒りを露わにしていた。
「ところで、そちらは……」
そこで藍子が遠慮がちに聞いた。
「ん?」
それまで、四人のやり取りにウケていた琴美が、自分に話を振られた事に気付いて笑顔で挨拶する。
「あたしは、夏川琴美。二人の級友だよ」
「演劇部の遠野藍子です」
藍子は慌てて頭を下げた。
「野上夕貴……です」
しかし、怒りが収まらずおざなりに挨拶してしまう夕貴だった。