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【すとらいくばっく】
「音羽ちゃんは、選ばないの?」
さっきから後ろで見ているだけだった音羽に、琴美は首を傾げた。
「うん~、あとでね~」
音羽はほんわか笑顔で答えた。
「?」
しかし、琴美はますます首を傾げる。
「わたしは~、あっちだから~」
それを見た音羽は、別のコーナーを指さした。そこにはフリルが沢山ついた可愛らしい下着が飾られていた。
「音羽ちゃんは、そーいうのが好みなんだぁ?」
琴美は、わざとらしくちょっといやらしい笑みを浮かべた。
「うん~」
けれども、音羽は恥ずかしそうな素振りも見せず、ほんわか笑顔で頷く。
「なんか、凄く負けた気分……」
琴美は悔しそうに言った。その様子に音羽はわからないような顔できょとんとする。
そんな二人のやりとりに冷汗笑いをするしかない羽音だった。