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【事の真相】
「でも~、どうして、わたし達のお父さんの事が気になったの~?」
ほんわか笑顔のままで音羽は、首を傾げて聞いた。
「あっ……その……」
聞かれた琴美は最初、言い淀んだが、やがて観念したように口を開いた。
「……あたし、てっきり二人はお嬢様なんだって思ったから……」
「…………なんで?」
その言葉に羽音はきょとんとして思わず間抜けな声を出してしまう。大抵の事では動じない音羽でさえも、目を白黒させている。
「ほら、さっきの服、かなり高かったから……」
意味不明な表情の双子に、琴美はちょっと恥ずかしそうに説明した。
「ああっ~!」
それで音羽と羽音は、やっと納得したような顔をする。
「あれは~、お洋服代に貯めておいたお小遣いを足して、買ってるんだ~」
「さすがに、お小遣いだけじゃ無理だよ」
「なーんだ」
事の真相を知って、こちらも納得顔になる琴美だった。